Slerの新製品開発 失敗する裏側にあるもの(上)

増加する新規事業企画の相談

近年、弊社では新規事業のコンサルティング案件が増加傾向にある。

背景にあるのは、企業を取り巻く環境の変化だ。デジタル・ディスラプションなどといわれるように、IoT、AIなど新しいデジタル技術の変革が社会を大きく変えようとしている。急激な外部環境の変化に追従するため、市場情報の収集・分析を専門とする弊社のような外部機関を活用するのは、手前みそだが正しいやり方の一つであろう。

矢野経済研究所では、日頃より産業情報の収集・分析を行っている。新規事業のご相談については、対象市場における最新動向やトレンド、ポイントなどをお伝えし、事業や製品のアイデア企画の上流からお手伝いしている。アイデアが決まれば、実現可能性調査(フィージビリティ・スタディ)として、より具体的な情報を収集・分析し、クライアントとともに事業企画を次々と肉付けしていく。弊社の場合は、新規事業支援のノウハウのみならず、特定業界に精通した分析担当を配備しているため、業界特有の市場情報をミックスしてコンサルティングをできるのが強みとなっている。

さて、そうした活動の中で、BtoB向けに受託型のビジネスを行うような企業が、新たに新製品開発を目指すような場面に出会うこともよくある。

企業としては、従来は「待ち」の姿勢とならざるを得なかった受託型のビジネスから、「攻め」として展開できる製品開発型のビジネスも立ち上げ、収益の幅を広げようというのが狙いとなる。

ところが、SIerなどが代表的な業種になるが、受託開発型のビジネスから製品開発型のビジネスへチャレンジしてもうまくいかないケースも多い。その理由は、アイデアや構想に問題があったりなどさまざまであるが、意外に知られていないのが、既存組織とのフィット感である。

受託開発に最適化された組織が、製品開発型のビジネスを展開しようとすると、組織文化や体制などの側面で苦労することが多い。ところが、その課題は見えにくいものであるため、何がうまくいかないのかよく分からないまま四苦八苦する企業も少なくない。もし新製品開発がなんとなくやりにくいと感じているのであれば、それは組織構造が原因かもしれない。

■矢野経済研究所 主任研究員 忌部佳史
2004年矢野経済研究所入社。情報通信関連の市場調査、コンサルテーション、マーケティング戦略立案支援などを担当。現在は、製造業システムなどを含むエンタープライズIT全般およびビッグデータ、IoT、AIなどの先進テクノロジーの動向調査・研究を行っている。経済産業省登録 中小企業診断士

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