同じ轍はもう踏まない 今度こそ「フィジカルAI大国」の実現を
先週は、日本のフィジカルAIの社会実装に向け、各社がNVIDIAとの協業のニュースを一斉に発表し、製造業界はNVIDIAとCEOのジェンセン・フアン氏の動向で持ちきりだった。これほどまでに日本が同社とフィジカルAIに関心を持っているとは、正直、意外だった。
確かにフィジカルAIは、人手不足の解消に役立ち、生活も便利になり、かつ機械メーカー、装置メーカーにとっても価値向上と競争力強化につながる。国にとっても製造業各社にとっても取り組まない理由はない。逆に、フィジカルAIこそが日本の勝ち筋、生きる道と定め、取り組みを強化している。そう考えると、フィジカルAIの最大のキープレイヤーであるNVIDIAと良好な関係を結べたことは喜ばしいことであり、ニュースになるのも納得だ。だからこそ、それに浮かれてフィジカルAIをバズワードとして消費し、大した成果も出せずに終わるのだけは避けなければならない。
約10年前の2015年、国は「ロボット新戦略」を定め、国策に近い形でロボット産業の振興を進めたことがあった。当時ブームであったIOTや第四次産業革命と合わせて色んな団体やプラットフォームが誕生し、期待に胸を膨らませた。しかし10年経っても多くはPOC止まりで、当初想定していたような社会実装までは進まなかった。フィジカルAIでは、それを繰り返すことは許されないのだ。
しかし、10年前と今では状況が大きく異なる。10年前の日本はまだ余裕があったが、今は人手不足が進み、中国など他国の製造業が力をつけ、日本産業全体が危機感を認識している。また「共創」という意識も当たり前になり、会社同士が手を組んでプロジェクトを進めるというのにも慣れた。あの時とは違うのだ。フィジカルAIは日本がリードする。メイドインジャパンの復権を果たすのだ。