営業にも上手い/下手がある。一般的に営業の上手い人と言えば、もともと対人関係の上手い人や外交的性格の人、あるいは営業経験の長い人などが挙げられる。逆に営業が苦手と言う人は、対人関係が苦手で内向的な性格な人、外から営業の仕事を見て自分には合わないと思ってしまう人である。
しかし営業の上手い/下手は苦手意識と同一ではない。社会人であればほとんどの人は上手くなることができる。
FA営業の場合、売り込む相手が技術系の顧客のため、理系科目が苦手だった販売員は営業が上手くなれないのではないかと思いがちである。しかしそれと上手くなることは別である。他人と話をすることに苦痛でなければ、そして根が素直であればFA営業は上手くなれる。
昨年、NECA(日本電気制御技術工業会)は変貌への曲がり角を迎え、制御機器から制御技術への名称変更とともに活動領域を広げている。長年使ってきた名称を変えた背景には、誰の目にもわかるほどに、製造業を取り巻く環境や技術が変わっていくのが見えるようになったからである。これから新しい需要が生まれ、やがては新しいマーケットに成長する。その「新しい」に対応するための営業が必要になったのである。
これまでも販売店営業は手をこまねいていたわけではない。制御商品を拡販するかたわらで、新しい商材を検討したり、顧客開拓を重点課題に上げて少しずつ売り上げの拡大を図ってきた。しかし令和期に起こる「新しい」に対応するには、売り上げ拡大ありきの戦術戦法ではない、新しい需要や新しいマーケットがある前提での戦略が必要だ。戦略的目標、戦略的行動を遂行するには「確信」が必要だ。「確信」がないと、従来から続けてきている売り上げ拡大ありきの戦術戦法の枠から抜き切れない。
その「確信」を得るためには情報が必要である。その情報は、各メディアから得る情報のみだけではなく、各メディア情報を参考にして、できるだけ多くの顧客に当たってみることである。どの顧客も成長するために動いている。その動きを見れば、どこに重点を置いているかが見えてくる。
多くの顧客に当たるのは販売員である。平成期の販売員の情報力は情報の提供に重点を置き、種類の多い制御商品の情報や難しくなっていく商品技術情報、商品を使った用途情報を提供してきた。しかし「新しい」と言う制御技術の拡大領域を見つけるには情報収集が肝心である。
情報収集が肝心だからと軽く考え、顧客情報の収集に力を入れようとすると情報収集マニュアルを作成してアンケート的に情報を一気に集めようとするだろう。しかしそれではおそらく都合の良い結論が出るだけだ。それでは意味がない。だからこそ情報収集の基本動作を身に付けておかなければならない。情報収集の基本は日々の営業活動の中で身に付くものだからだ。急がず基本を繰り返すことである。
これまで情報収集の基本として、「①観察」「②興味・関心」「③疑問」について詳しく述べてきた。今回はその④として「傾聴」を挙げる。
一般的に「傾聴」と言うと、他人が話していることをよく聞く行為を指す。営業においてもその通りである。しかし情報収集での「傾聴」は少し違っている。相手が喋りやすくなることであり、強いて言えば「相手に喋らせること」である。
相手はどういう時に口が軽くなるのか、自分の身に置き換えてみれば分かる。人には承認願望がある。他人に認められれば嬉しくなるし、嬉しくなれば口は軽くなる。そのためにも相手の話をじっと聞き、相槌を打つことだ。ここで言う相槌は、表情や動作を交えた「そうですか」「なるほど」程度のものではない。よく相手の聞いていれば話の内容の中で知らないことや疑問が浮かぶ。だから質問できるほど真剣に聞き、相手に質問することであり、質問が見つからなければ感想を述べ、承認することである。それができるほどによく聞くことが情報収集の基本動作の「傾聴」なのである。
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