
世界的なIT調査会社Gartner(ガートナー)は、社会的なテクノロジートレンドとなっているフィジカルAIについて、トレンドだからこそ起きがちな認識違いや誤解をまとめた「フィジカルAIに関するよくある10の誤解」を発表した。
フィジカルAIで最もよくある誤解が「フィジカルAI=ヒューマノイドやロボット」。フィジカルAIとは「AI、センサ、制御、ロボティクス、シミュレーション、データ、IT/OTなどを組み合わせ、現実の世界を認識し、判断し、行動し、その結果から継続的に学習、改善するシステム」であり、車両、ドローン、機械、設備、インフラなども含まれる。ヒューマノイドやロボットはフィジカルAIの代表的な実装形態ではあるが、決してそれだけではない。
またフィジカルAIは、工場や倉庫などで人の代わりに働くイメージで語られることがあるが、実際は製造業や物流など特定の産業向けのものではない。建設や小売、医療、エネルギー、農業、都市/社会インフラなど、現場がある産業すべてに関わるものである。
フィジカルAIに関連したビジネスとして、AIモデルやロボット、センサ、データなどの構成要素を1つでも持っていれば十分に競争できる、またそうした技術や製品を持つ日本企業が集まって国産化すべきだというのも大きな誤解。企業は単独の技術だけでは競争力を作るのは難しく、かつ国内企業だけですべての技術をまかなうのは至難の技。世界の優れた技術を利用しながら、自社や国内でどこの何を握るのかを明確にするのが良いと指摘している。
フィジカルAIは「一度構築すればあとは自動でAIが育っていく」「リアルタム性のためにオンプレやエッジだけで構築するのが良い」という誤解もある。システムは一度完成してからも、結果を反映しながら改善していき、オンプレやエッジ基盤、大規模な学習や追加学習、シミュレーションなどはクラウドや大規模な計算基盤が適している。使い分けながら、適宜更新していくことが必要。
また、フィジカルAIが高度化すれば完全自動化ができるというのも誤解のひとつ。自動化や自律化は手段であり、安全で人に優しい環境と生産性や柔軟性を両立させることを目標に、人間中心の全体最適を目指す必要があるとしている。
まとめとして、フィジカルAIは単なる新技術の導入ではなく、産業構造そのものを変える産業革命クラスの変化であり、すべての企業はNew Worldへの移行を前提に、事業、組織、人材、テクノロジ、投資を含む経営全体を抜本的に見直す必要があるとしている。






