
シュナイダーエレクトリック インダストリアルオートメーション事業部 営業本部 本部長 根来 知宏 氏
Pro-faceブランドで展開されているHMIをはじめ、年々、日本市場で存在感を高めているシュナイダーエレクトリック。これから日本企業が本格的にDXに取り組み、色々な壁にぶつかることが想定されるなかで、実際に自社工場でDXを実践したものを体系化して世界中に横展開し、結果、世界の先進的な工場「Lighthouse」に自社工場11拠点が選出されている同社の取り組みは、大いに参考になり、それと同時に頼れる存在としても心強い。
そんな同社で新たにインダストリアルオートメーション事業部の営業部門を率いることとなった、営業本部 本部長の根来 知宏 氏に、今後の方向性について話を聞いた。

以前から感じていたポテンシャル FA・PAともに強み
――これまでのキャリアについて
新卒で日系のタイヤメーカーに入り、海外業務部で輸出入や物流、貿易実務といったオペレーションの基礎を身につけ、その後は海外営業を9年間担当し、その間にシンガポールにも4年ほど駐在した経験があります。その後、外資系の流体機器メーカーとFAメーカーを経て、2026年2月にシュナイダーエレクトリックに入社し、現在に至ります。
――入社前、シュナイダーエレクトリックはどんな印象を持っていましたか?
入社前は大きく二つのイメージがありました。一つは「Pro-Face(プロフェイス)」という圧倒的なHMI(プログラマブル表示機)のブランドイメージ。もう一つは「AVEVA(アヴィバ)」関連のソフトウェアをはじめとするデータ収集基盤、そして受変電を含めた重電領域が強い「電気の会社」というイメージです。
フィールドのコンポーネントからエッジのコントローラー、ソフトウェア、上位システムまでが揃っており、低圧から高圧まで、FAだけでなくPAの領域まで網羅しているメーカーは他にほとんどないと感じていました。
――実際に入社されてみて、その印象に変化はありましたか。
入社後はその印象は変わらないどころか、むしろ強まりました。特にプロセスオートメーションまわりの強さを改めて実感しています。
以前から安全計装システム「EcoStruxure Triconex」などは知っていましたが、DCS(分散制御システム)「EcoStruxure Foxboro」など、プロセス産業向けに保持しているハード・ソフト両面の豊富なソリューションやポートフォリオが非常に強いことを肌で感じる機会が多く、そこは大きな発見でした。
世界中の自社工場でDX推進 Lighthouseの常連に
――それ以外にもシュナイダーエレクトリックならではの強みを感じた部分はありますか。
入社後に一番印象が変わったのは、DXやスマートファクトリーへのコンサルティングサービスの可能性です。シュナイダーエレクトリックでは、自社の工場で実際にDX化を進め、明確な指標を決めて各工場で実直に実行してきましたが、その知見を持った人材の知識やメソッドをアドバイザリーサービスとして提供しています。
DXコンサルティングと言うと日本ではコンサルティング会社などが手掛けていますが、「実際の現場と機器をどうするのか、どう実行していくのか」までなかなか落とし込めないケースも多いです。弊社の場合は、コンポーネントや現場を分かっているハードウェアメーカーとして自社で実践してきた知見を提案・案内できるため、非常に価値が高いと感じています。
――実際に御社はグローバルで毎年「ライトハウス(スマート工場の世界的先端事例)」に認定されていますね。
2026年も米国エルパソ工場や中国北京工場などが新たにライトハウスの認定を受けました。当社としては通算で11拠点、16認定を受けています。世界各地の工場で認定を受けているということは、全社で体系立てて取り組み、グローバルに展開できている証拠であり、持続可能かつ再現性のある形でスケーラビリティを持って進められていることの証明です。
社内には「SPS(シュナイダー・パフォーマンス・システム)」という独自の指標を設けて、世界中でDX化を進めています。元々はトヨタ様のTPS(トヨタ・プロダクション・システム)に強い影響を受けており、シュナイダーエレクトリックとして人にフォーカスする要素などを加えて独自に設定し、進化させてきたものです。何をどこまでやれば何点かという定量化・点数化が世界中で徹底されていて、実際に自社で実行してきた実績があるからこそ、お客様にも安心して提案できます。
――エネルギーマネジメントやデータセンター分野でも強い商材を持っています。
エネルギーマネジメントやデータセンターの分野において、弊社は非常に強いポートフォリオを持っています。昨今の電力事情やAIの台頭により、電力が一つの重要資産となってくるなか、エネルギーマネジメントやデータセンターの分野のポートフォリオが揃っていることも大きな武器になります。インダストリアルオートメーションやプロセスオートメーションといった製造分野の業務と、電力の最適化やサステナビリティの要素を掛け合わせて最適提案ができる点は、当社ならではの大きな強みです。

まだ伝えきれていない事業の強みやメリット
――逆に、課題と感じている部分はありますか
「知名度・認知度」の不足が挙げられますね。
HMIの「Pro-face」、UPSやサーバーラック関連の「APC」はブランドとして日本市場で盤石な知名度がありますが、それ以外の領域を含めたシュナイダーエレクトリック全体のポートフォリオや総合力はまだまだ業界の皆さんに伝わりきっていません。これだけの製品とポートフォリオを持っているからこそ、日本のFA・PA市場に対してもっとアプローチできる伸びしろは十分にあると感じています。
DXの加速を追い風に パートナーと共に日本の製造業を支える
――今後に向けて
DXの推進には手間がかかり、レガシー機器の対応など課題も多いですが、AIが登場した現代においてデジタルトランスフォーメーションは避けて通れないフェーズに入っています。日本の製造業には素晴らしい現場力や改善文化があります。現場主導で使えるノーコード・ローコードツールやデジタル技術を活用し、レガシーな仕組みをモダナイズしてデータを経営判断の指標として扱えるようになれば、日本の製造業はさらに強い力を発揮できるはずです。
今後は現場のOT側とIT側の垣根がなくなり、相互に融合したものづくりが進んでいきます。当社はPLCのソフトウェア化やオブジェクト指向化といった開放的な取り組みを進めており、現場OTとITの架け橋となるトータルソリューションを提供していきます。
シュナイダーエレクトリックには、HMI(表示器)やIPCといった入り口から、上位のデータ基盤、ソフトウェア、そしてエネルギー最適化までトータルで支援できる強みがあります。
そして、全国各地の現場の工場を最もよく理解されているのは販売代理店であり、FA・PA業界の構造が変わりつつある今、強いパートナーである販売代理店とのパートナーシップを一層強め、ともに伴走しながら日本の製造業を支え、変革を起こしていきたいと考えています。
来年(2027年)4月には、全社規模の自社イベントを約8年ぶりに開催する予定で準備を進めています。弊社の総合的なソリューションや最新のユースケースをお見せできる場にしたいと考えています。







