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【FAトップインタビュー】パナソニック インダストリー 新たな事業コンセプト「Machine Evolution Partner」で攻勢へ 装置を進化させる3つのS 「Speedy. Simple. Suitable for All.」

常務執行役員 産業デバイス事業部長 中山 聡 氏

2022年にパナソニックグループの再編とともに誕生し、産業用モータやFAセンサを中心にパナソニックのFA事業部門を担うパナソニック インダストリー。パナソニック モータ社やパナソニック デバイスSUNXなど、それぞれ別部門であった歴史的背景から独自の動きが目立っていたが、ここに来て組織再編と各部門の融合が一段落し、新たな事業コンセプト「Machine Evolution Partner」を策定し、事業拡大に向けた加速をはじめている。

新たな事業コンセプトとそこに込めた意思、どのような事業展開をし、現場はどうなっているのか。パナソニック インダストリー 常務執行役員 産業デバイス事業部長の中山 聡 氏に話を聞いた。

目次

デバイスメーカーから課題解決のソリューションパートナーへ

――新たな事業コンセプト「Machine Evolution Partner」について

お客様の現場では、熟練技術者の不足や装置の複雑化が進み、単品のコンポーネントを購入して自社で組み上げるだけでは追いつかないという課題が顕在化しています。当社に対するニーズも製品単体ではなく、「自社の装置開発や工程における課題をいかに解決してくれるか」という方向に大きく変わっています。

これまで当社はサーボモータやセンサなど各種デバイスで高い技術力と性能を評価していただいてきましたが、その一方で「課題を丸ごと解決できるソリューションのイメージが薄い」という課題を抱えていました。

こうした状況のなかで、豊富な製品ラインナップと技術力を組みあわせることで、お客様にどのような提供価値をもたらせるのか、そして当社自身がお客様にどのような姿勢でお客様に向き合っていくのか。それらを明確かつ端的に表現したのが「Machine Evolution Partner」です。

当社が目指すのは、お客様自身がまだ気づいていない潜在的な課題を泥臭い現場から掘り起こし、競争力を高めることです。現場で「なるほど、そうやって解決するのか!」という驚きと気づきを感じていただき、期待を超える価値を提供していく。それこそが当社の提供するソリューションだと考えています。

提供価値の3つの柱「Speedy. Simple. Suitable for All.」

――具体的にはどのような価値を提供しようとしているのでしょうか?

「Machine Evolution Partner」の核となる理念として、「Speedy. Simple. Suitable for All.」というタグラインを設け、これが提供するソリューションの具体的な柱となっています。

一つ目の「Speedy(スピーディー)」は、お客様の装置パフォーマンスを飛躍的に向上させるソリューションです。当社が長年培ってきた制御技術を駆使し、他社には真似のできない高速・高精度な制御を提供することで、装置の処理能力や生産性の向上に貢献します。

二つ目の「Simple(シンプル)」は、お客様の装置におけるトータルコストやエンジニアリング工数を削減するソリューションです。最終製品が高度化するにしたがって装置自体も年々複雑化しています。装置の小型化やモジュール化に貢献する小型で使いやすいデバイスや、あらかじめ設定や機能をパッケージ化したシステムを提供することで、お客様の設計・立ち上げ・メンテナンスにかかる工数を「シンプル」に削ぎ落とします。

三つ目の「Suitable for All(スータブル・フォー・オール)」は、装置の開発リードタイムを大幅に短縮するソリューションです。多様な課題への対応が求められる中、装置の開発から市場投入までのタイム・トゥ・マーケットは一層の短縮が迫られています。当社がお客様の課題に対して即効性のある最適なシステムを提案し、短期間での装置稼働を強力にサポートします。

また、この「Suitable for All」には、一般的なQCDの枠組みだけでは捉えきれない、現場の多様なお困りごとに対しても、決して見捨てずに最適な解決策を提示し続けるという強い意思も込めています。過大なスペックやオーバークオリティに陥ることなく、お客様の現場にとって「ちょうど良い最適解」を素早く提供していきます。

パナソニックグループを支えるFA事業部門

――FA事業の統合が整い、「さあ、やるぞ」という意気込みも感じます

2019年に、FAセンサのパナソニックデバイスSUNXとパナソニックのモータやコントローラ事業部門が1つになって、現在のもととなるパナソニック インダストリアルソリューションズ社がスタートし、2022年に現在の形になり、そこからSUNXの工場でモータを製造したり、相互に技術者同士の連携をしたりと少しずつ融合を進めてきました。昨年度にはコントローラ事業とモーション事業を統合し、センサ、モータ、コントローラ、表示器、安全機器まで網羅し、一体となってシステム提案できる体制となりました。その段階で改めて事業の方向性を明確にし、言語化したのがこのコンセプト「Machine Evolution Partner」です。

当社の最大の強みは、幅広いFA機器のラインナップと、長年培ってきたコア技術や現場の調整力にあります。昭和9年にモートル1号機を発売して以来、90年以上積み重ねてきたモータ技術は、最新のサーボシステム「MINAS A7」シリーズへと引き継がれ、業界最高峰のモーション性能を実現しています。これにより半導体製造装置や実装機など、極めて高い精度を要するお客様へ強力なソリューションを提供できています。

また、小型化技術やものづくり力という面でも、厚み3mmという世界最小サイズの小型光電センサ「EX-Z」に代表されるように、内部構造の設計ノウハウや実装技術を保有しています。

これまではそれぞれが個別提案となっていましたが、今はまとめて提案し、強みを発揮できるようになりました。

グローバルで戦える体制を構築 成果も続々

――コンセプト発表後の市場やお客様の反応はいかがですか?

「Machine Evolution Partner」というコンセプトは世界共通で、2025年度は上海工業博覧会やIIFES(日本)、Automation World(韓国)といった各国の展示会で紹介し、非常に好評です。2026年度もSPSイタリアを皮切りに、8月の台北国際自動化工業大展など、世界中でこのコンセプトを広く訴求していきます。

また、このコンセプトを世界で展開していくには、それに対応できるだけの体制が必要です。当社は2024年にメイン市場である中国で「中国FAビジネスユニット」を立ち上げ、現地ビジネスユニットに設計開発や材料調達の権限を大幅に移管しました。日本で培った高度なモノづくり技術や品質ノウハウを、変化の激しい中国の生産現場へと迅速に展開できるようにし、現地での厳しいコスト競争に勝ち、市場の変化に即座に対応できる能力を獲得しました。

中国市場で粘り強く現場で揉まれながら獲得した開発体制やコスト競争力は、結果として「Machine Evolution Partner」を実現し、日本やグローバル市場へ水平展開する際の強力な武器になると考えています。

――すでに具体的な成果が出ているのでしょうか

象徴的な事例として、ある海外の包装機メーカーへのシステムソリューション導入があります。

包装機自体の性能アップをしながら、開発から立ちあげまでの時間は3カ月しかないという難しい案件でしたが、モーションコントローラ「GMシリーズ」を軸に、サーボモータ、表示器、各種センサを包括的に組み合わせたシステムソリューションを提案し、海外販売会社のフィールドエンジニアと日本本社の技術サポート陣が一体となり、現地で密着した立ち上げ支援を実施しました。結果として、お客様は目標通り3ヶ月という短期間で装置の立ち上げを完了し、タイム・トゥ・マーケットでの製品投入の成功をサポートすることができました。

また、当社自身の製造現場で培ってきたノウハウを汎用化し、「ネジ締め工程パッケージ」や、変位センサ・PLC・表示器を組み合わせて厚み・段差の測定からログ取得までを手軽に実現するパッケージなどの提供を開始しています。お客様がゼロからプログラムや構成を考える必要をなくし、「Simple」に開発工数を削減できるソリューションとして好評です。

AIと半導体製造装置への取り組み強化 泥臭く顧客の課題解決を

――2026年度の施策について

2026年度も引き続き「Machine Evolution Partner」というコンセプトを世界中で周知していきます。それと同時に注力するのが、大きな成長が見込まれるAI関連市場と半導体製造装置分野への取り組み強化です。

これまでも当社は、半導体メーカー様のご要望に応え、高温環境下で使用可能なドグ検知センサや、安全規格に適合したマイクロフォトセンサなどを開発し、エンジニアリング工数をかけずに「Simple」に課題を解決する製品を提供してきました。

さらに現場密着を強化するため、これまで本社や工場に在籍していた商品企画者を、九州や台湾といった半導体産業の最前線エリアに常駐させ、お客様の潜在的な困りごとを素早く吸い上げ、ニーズに即応した商品企画とソリューション提供を行っていきます。

製品面においても、小型化技術を活かした光電センサや、制御技術を極めた最大128軸制御対応の新モーションコントローラ「GM5」の発売を予定しています。これにより、さらに大規模で高度なシステムにも対応可能となります。

――今後に向けて

「Machine Evolution Partner」における“パートナー”とは、装置メーカーやエンドユーザーだけを指しているわけではありません。お客様との間に立ち、一緒に価値を届ける販売代理店、そして我々の高品質なモノづくりを支えているサプライヤーも含めた、すべてのステークホルダーがパートナーだと考えています。

事実、販売代理店とはソリューション戦略や技術ノウハウを共有し、ともにお客様の装置を進化させる体制づくりを進めています。また、サプライヤーともこのメッセージを共有し、短納期対応や安定供給に向けたサプライチェーンの強化を一体となって推進しています。

FAの世界は、綺麗な理論やデジタルだけで完結するものではなく、現場で泥臭く汗をかくことが不可欠です。我々はこれからも現場に深く入り込み、「Speedy. Simple. Suitable for All.」の理念のもと、お客様の課題解決に邁進していきます。https://industry.panasonic.com/jp/ja/products/3s_solutions

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