日立とニチレイフーズが協創、AI活用で食品工場の最適な生産計画・要員計画を自動で立案

2020年2月5日

日立製作所とニチレイフーズは協創を通じ、AI活用による最適な生産計画および要員計画を自動立案するシステムを国内4拠点の食品工場へ導入し、1月から順次本格運用を開始した。

同システムは、熟練者が立案する複雑な制約条件を考慮した計画を高度なAI技術により再現・進化させるもので、ニチレイフーズはこのシステムの導入によって、これまでの当該業務時間を従来の1/10程度に短縮することが可能になるという。また、熟練者以外の従業員がよりフレキシブルな生産計画・要員配置を作成できることから、労働時間の低減や休暇取得の向上など「働き方改革」の一助となることが期待される。

AIを活用した「最適生産・要員計画自動立案システム」のイメージ

 

ニチレイフーズ・日立の協創、開発導入の背景

近年、食品メーカーでは、需要変動に対応して商品を生産・供給することが求められる一方、生産年齢人口の減少に伴う熟練者の不足などを背景に、先進のデジタル技術を活用した、高効率な生産体制構築への重要性が高まっている。

このような状況下、ニチレイフーズでは安全・安心な商品の提供に向けて、業界に先駆けて2004年から品質管理や就業管理、セキュリティの強化などの生産現場のシステム化に継続的に取り組んでいる。これまでは、業務を熟知しているニチレイフーズの従業員が自ら業務を整理し、改善のポイントを見極めてシステムに反映させる内製化を行うことで、実効性の高い効率的なシステムを構築していた。

生産計画や要員計画は、経験を有する熟練者が各工場別・ライン別・生産品目別に、1) ノウハウや経験則に基づく勘、2) 設備や納期、コスト、3) 作業者のスキルを考慮した配置(勤務シフト)などの複雑な制約条件、4) 過去の膨大な計画履歴などを基に長時間かけて立案して成果を上げてきた。しかし、一定の効果は出せるものの、人手作業で継続するには限界があり、熟練者の経験則に基づく勘をシステムに反映する事は困難な状況にあった。結果、熟練作業者や一部の作業員の負担が大きく、その改善が課題となっていた。

こうした中、デジタル技術を活用した先進的な製造体制構築に取り組むニチレイフーズと、自ら製造業として長年培ってきたOTとITを融合し先進的なデジタル技術を活用したLumadaソリューションを提供する日立は、両社の知見・ノウハウを融合し、生産計画および要員計画の最適化に向けた協創を2018年から開始した。

 

今回のシステム開発とシステム概況および導入効果

両社はまず、日立独自のデザインアプローチを活用して、計画立案に関する一連の業務を見える化。それらに現場の各種データをかけ合わせ、熟練者のノウハウを日立のLumadaソリューション「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」へ組み込み、2018年8月からニチレイフーズの事業所へ試験的に導入し、効果を検証してきた。

同システムでは、機械学習と数理最適化技術を組み合わせた日立独自のAI技術を用いて熟練者独自の計画パターンを数値化・重みづけし、それらを抽出・組み合わせて解析。効果を検証した結果、1工場で最大16兆通りの組み合わせがある中から、日別のラインごとの生産商品・生産量などの生産計画、作業者のシフトスケジュールなどの要員計画の最適解を、従来の1/10程度の時間に短縮して自動立案することが可能となった。

また、この内容で生産・要員配置を行った際の結果や課題を学習させることにより、これまで困難だった熟練者の効率性と品質を両立した生産・要員計画立案を再現できるシステムを実現。さらに、需要変化に即応する生産体制の構築と業務効率の向上、生産性の向上、働く場の制約なしに作業者が広く働くことができる機会の提供などが可能となる。経営者、労働者双方にメリットが生まれ、働き方改革の取り組みの加速が期待される。

 

システム導入後の展開・めざす姿

ニチレイフーズでは今後、同システムを、国内11工場および海外工場へ順次展開・拡大する計画。また、同システムをはじめとしたデジタル技術の活用を通じて、生産性向上や生産リードタイム短縮、在庫圧縮への取り組みと働き方改革をさらに推進していく。

日立は、今回適用した「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」をLumadaソリューションとして幅広い業種のお客さまに展開し、お客さまの社会価値・経済価値の向上に貢献するとしている。
■「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」に関するWebサイト
 

出典:日立製作所「ニチレイフーズと日立が協創 AI技術を活用した、食品工場の『最適生産・要員計画自動立案システム』本格稼働へ」