2015国際ロボット展 過去最大規模で開催

12月2日から5日の4日間、「2015国際ロボット展」(主催=日本ロボット工業会、日刊工業新聞社)が東京ビッグサイトで開催された。21回目となる今回は、446社・団体、1882小間で過去最大規模になった。

今回は「RT ロボットと共に作る未来」をテーマとし、前回13年を大きく上回る数の企業・団体が出展。特に産業用ロボット関連は前回から413小間増加の1328小間となり、サービスロボットも同203小間増加の554小間となった。産業用ロボットメーカーによる実機を使った大規模な展示デモのほか、最新のサービスロボットや福祉・介護ロボット、災害対応ロボットなどが一堂に会した。

併催イベントでは2日に「ロボットサミット ロボット革命元年-ものづくりの未来を拓く-」を実施。パネルディスカッションでは、川崎重工、ファナック、不二越、安川電機、ABB、KUKA Roboterのロボット事業トップと、ホンダエンジニアリングと富士通がユーザー代表として、ロボット活用の未来について意見を交わした。

このほか、NEDOのロボット事業を紹介する「NEDOロボットフォーラム2015」、人とロボットが共生する未来を探る「ユニバーサル未来社会推進フォーラム」、ロボット技術を農業に活用する「未来を創る農業ロボットフォーラム」、国内外の高校生が展示会場でロボットを学び、課題に沿って発表する「インターナショナルロボットハイスクール2015」といったイベントが行われた。

■製造業強化のデバイス自動車・電子機器が牽引
IFR(国際ロボット連盟)の調べによると、今後の世界の産業用ロボット市場は、2018年には40万台に達する見込みだという。中国や新興国に加え、日本やアメリカ、ドイツといった先進国でも需要が旺盛。ドイツのインダストリー4.0をはじめ、世界中で国内の製造業強化を図る動きがある。産業用ロボットはそのキーデバイスとして位置づけられており、市場規模の拡大が確実だ。

世界におけるロボットの販売台数の推移をみると、14年は22万5000台。15年には25万台を突破し、16年からは年率15%の成長率で拡大。18年には40万台に達すると想定されている。

需要をリードするのは、従来と同じ自動車や電子機器業界。IFRのバロンセリ会長は「産業機器の世界的競争がロボット市場の急拡大を牽引(けんいん)している。自動車と電子・電気分野のオートメーション化で64%を占めている」と分析する。

実際に、自動車業界は14年に1年間で10万台を導入し、これまでの新記録を更新。新興国の生産能力向上とバッテリー製造や自動車向け情報機器といったカーエレクトロニクス関連が支える。

エレクトロニクス産業も同様に、前年の34%増となる約5万台を販売して新記録を樹立。特に家電や情報機器、コンピュータ、医療機器の製造におけるロボット需要が高まっている。

18年まではこれらの業界が、インダストリー4.0など製造業のデジタル革新とオートメーション化で市場を牽引。特に人とロボットが協働する協働ロボット(協調ロボット)が普及の担い手になる。

また同時に新しい用途とマーケットの拡大もあり、中小企業がロボットを活用する時代が来る。特に金属や樹脂、食品や包装業界でロボット導入が進むとIFRでは見ている。

地域別では、今と変わらず中国が市場を牽引する立場になりそうだ。

現在、中国では急速にオートメーション化が進み、ロボット業界史上最も目覚ましい発展を遂げている。14年の販売台数は、前年の56%増となる5万6000台で世界トップ。18年には13万台超に達し、世界のロボット販売台数の3分の1を占めると見られ、この勢いは当面続くと予測されている。

その背景にあるのが、中国のロボット普及率と導入できるキャパシティの差。1万人あたりのロボットの導入台数は、日本の315台、ドイツの292台に対し、中国ではまだ36台。日本やドイツと同程度の普及までにはかなりの余裕が残っている。

一方、日本やドイツ、アメリカといった先進国でも導入意欲は高く、市場としても拡大基調。アメリカは、国家施策として国内製造業の強化と国内回帰を掲げており、オートメーション化が進んでいる。アメリカの1万人あたりのロボット導入数は164台で、中国同様まだ伸びる余地がある。

ドイツはすでにロボット活用が進んでいるが、インダストリー4.0で国内製造業の強化を実践中で、ロボットの導入にも積極的だ。14年には10%増の2万100台を販売するなど、拡大基調が続いている。

■協働化、次々と新製品多関節進み自律移動も
日本はロボットメーカーの数が多く、ロボット大国と言われる。日本ロボット工業会の「ロボット産業需給動向2015年版」によると、14年の出荷台数13万7334台のうち、国内出荷台数は2万8609台。台数ベースでは輸出が8割超を占める。

とは言え、国内市場が成熟しきっているわけではなく、これから普及の本番を迎える。そこで課題となるのが、自動車や電子機器以外の分野と、中小企業への拡大。その分野をターゲットとして各社が取り組んでいるのが、安全柵で囲う必要がなく、人と並んで一緒に作業できる「協働ロボット」と呼ばれるものだ。

協働ロボットとは、作業者の労働安全に配慮した機能が盛り込まれ、人と一緒に作業しても安全だとリスクアセスメントで評価されたロボット。例えば、人や周辺の構造物に触れたら停止する機能や、衝突時の衝撃を和らげる安全カバーなどの安全機能を備えている。

これまで定格出力80Wを超える産業用ロボットを導入する場合は「労働安全衛生規則150の4」によって、一律で安全柵や囲いを設けなければならないと規定されていたが、昨年12月に国際規格に合わせる形で変更が決定。「リスクアセスメントにより危険の恐れがなくなったと評価できるときは協働作業が可能」とされ、労働安全が適切に確保できていれば人とロボットの協働作業ができるようになった。

これまでも協働ロボットやシステムは存在したが、最近は多関節の協働ロボットの動きが活発化。メーカー各社から次々と製品が投入され、今回のロボット展の目玉にもなっている。

国内メーカーでは、ファナックは“緑のロボット”「CR-35iA」を出品する。同製品は35キロの高可搬タイプで、全体が緑色のソフトカバーで覆われているのが特徴。このカバーによって衝撃を和らげ、挟み込みを防ぐ効果があるという。重量物の搬送や部品の組み付けなどの用途で作業効率に有効だとしている。

カワダロボティクス「NEXTAGE」は双腕タイプの協働ロボット。画像認識システムを標準搭載し、人ひとり分のスペースで設置できるオールインワンタイプ。80Wの低出力モーターを採用し、規定変更以前から電子部品の組み立てラインなどで採用されている。

海外メーカーでは、ABBが「YuMi」を出品。静電気対策が施されている双腕タイプで、スマートフォンやデジタル家電などの電子機器の組み立て工程を主要ターゲットとしている。

KUKAもインテリジェントな協働ロボット「LBR iiwa」を展開。ロボット展では、さらに進化して自律移動ができる「KBR iiwa」を出品する。

デンマークに本社があるユニバーサルロボット(日本総代理店・グリーネプランニング)は、小型軽量の6軸多関節タイプの協働ロボットを展開。フォルクスワーゲンやBMWといった世界的な自動車メーカで採用されている協働ロボットを展示する。

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