令和の販売員心得 黒川想介 (159)「スマホ認知症」回避には 市場の視点で物事を見る
今日では、キーワードさえわかれば一直線にそこへ行けるし、それが分かる。迷ったり、確かめたりしながら進まなくても、スマホさえあればなんでもすぐ分かる時代である。
アンディッシュ・ハンセン著の「スマホ脳」が日本語版で刊行されたのが2019年で、令和元年である。この本にはスマホの使いすぎによって脳に色々な障害が現れるだろうという注意が喚起されている。その後、脳に関する著述を目にすることが多くなり、昨今では若年層もスマホ認知症になると警告されている。
スマホ認知症とは、スマホを長時間眺めていると、いつしか膨大な情報が目から入り、それらの整理で脳が疲れてしまう。その結果、もの忘れやうっかりミス、つまらないことに固執する機能の低下だけでなく、思考力、集中力、遂行力、それにコミュニケーションといった深い機能にも影響を与えると言われている。この警告を他人事のように思ってしまう人は多く、実際の影響は数年先にならなければ分からないと高を括っている人も多い。
令和の販売店営業は、戦略的思考を研ぎ澄まさなくてはならないし、販売員はコミュニケーション力や遂行力を高めていかなくてはならない。だからスマホ認知症とも無縁でなければならない。
というのも、平成期までのFAマーケットは、大きく一つにくくれるマーケットであった。製造業であればどの業界にも制御商品の需要があり、FAマーケットとして一つにくくって営業活動ができたのだ。しかし令和期に入ると、GDPの増加やIT技術の影響で、大きくくくられていたFAのマーケットが分社化し、細かくなり始めている。だから、このことをどう捉え、どんな営業活動をするべきかを決めて動かなくてはならなくなっている。しかも、一直線の最短距離で正しいやり方に辿り着けるのではなく、迷ったり、確かめながら動くことになっている。これまでのFA販売店営業は、既存の受注ルート客が出してくる種々のテーマを追いかけていれば新しい商材付きの需要が発生して、いつしか新しい商材も増やすことができた。売上を伸ばすには、顧客を増やすか、商材を増やすかの二択であるが、これまでのFA販売店営業は商材が自然と増えていたため、成長に関しては戦略的思考で商材や顧客を真剣に検討する必要がなかったのだ。それが今の令和期の通じないとわかった時は、すでに手遅れになっているだろう。
成長がダウンしたり、売り上げ不振に陥ると、上司からは顧客と向き合えとか顧客の視点で物事を見ろといった号令がかかる。これは間違いではないが、この号令を聞いて販売員が動いても、変わり映えがしない顧客の情報が上がってくるだけである。なぜなら販売員はこれまでも顧客の言い分を聞いて営業してきたので、顧客の視点と言われても、通り一辺倒の顧客の要望が耳に入るくらいである。
もし言い方を変えて伝えるなら、「顧客」ではなく、「マーケット」の視点で物事を見ろと言えば販売員の理解は深まる。なぜなら、「FAマーケットの視点とはどういうことか?」という質問が販売員から出るからである。そうしたら、顧客のなかには色々なマーケットがあり、時代時代でマーケットは変わってきたという説明をして現状の理解を促し、FA販売員が実際に営業活動を仕掛けている相手は誰なのか、どの組織の人なのかということを改めて認識できるようになる。
現状のFA販売店営業のマーケットは、主として生産技術や設備保全技術である。現場では生産革新技術や情報システム技術のようなIT技術色の強い組織で合理化を進めている。ここにマーケットは生まれているし、技術とは無縁の管理部や製造部が主導して合理化を進めてもいる。これらの情報を肌で感じられる販売員がいないのは、すでにスマホ認知症気味と言われても仕方がないのだ。
-
ifm efector、IO-Linkデジタル出力モジュール「AL2637」発売、安全性と使いやすさを両立
-
川崎重工業(ブースE-12)塗装×外観検査の工程連携で良品率を向上【ロボットテクノロジージャパン特集】