- コラム・論説
- 2017年9月13日
【データで読み解く 日本産業の現実】Vol.1 世界市場の拡大と日本の停滞 -製造業はいま何を見誤っているのか
日本の製造業をどう見るか。国内にいると当たり前に見える景色も、海外市場や国際競争の文脈で見直すと、違った輪郭が浮かび上がる。本連載では、株式会社キーエンスで事業企画・海外事業開発を担当し、現在は外資系日本法人の経営に携わる立場から、日本の産業界の現実を公開データで読み解く。第1回は、世界市場の拡大と日本の停滞を取り上げる。
2000年以降、世界の産業構造は大きく変わった。変化の中心にあったのは、グローバル化とデジタル化である。市場は国内完結型から世界一体型へ広がり、企業は自国市場だけでなく、世界市場を前提に競争する時代に入った。世界の名目GDPはこの20年余りで大きく拡大し、海上輸送量も増加を続けている。市場の拡大は観念ではなく、物流量の増加という形で現実に進んできた。

日本の製造業をどう見るか。国内にいると当たり前に見える景色も、海外市場や国際競争の文脈で見直すと、違った輪郭が浮かび上がる。本連載では、株式会社キーエンスで事業企画・海外事業開発を担当し、現在は外資系日本法人の経営に携わる立場から、日本の産業界の現実を公開データで読み解く。第1回は、世界市場の拡大と日本の停滞を取り上げる。
2000年以降、世界の産業構造は大きく変わった。変化の中心にあったのは、グローバル化とデジタル化である。市場は国内完結型から世界一体型へ広がり、企業は自国市場だけでなく、世界市場を前提に競争する時代に入った。世界の名目GDPはこの20年余りで大きく拡大し、海上輸送量も増加を続けている。市場の拡大は観念ではなく、物流量の増加という形で現実に進んできた。

図2 グローバル化を支えた海上輸送量の拡大(UNCTADベース、十億トン)
この変化に適応してきた国の一つが中国である。巨大な国内市場を起点に、設計、製造、物流、販売を結びつけ、規模を武器に競争力を高めてきた。今や競争相手は単一の製品ではない。標準、供給網、量産力、価格、スピードを含めた「産業システム全体」で競争が行われている。従来型の延長線上で戦えば、どうしても消耗戦になりやすい。
もっとも、日本に力がないわけではない。品質を作り込む力、現場で安定稼働させる力、顧客要求にきめ細かく応える力は、依然として大きな強みである。重要なのは、その強みを国内市場の延長として使うのではなく、世界標準の上にどう重ねるかである。世界標準を受け入れ、その上で日本の品質、運用、サポートの価値を実装する。これが、これからの日本の製造業が取るべき現実的な方向性ではないだろうか。
今、問われているのは、製品の良し悪しだけではない。世界のルールが変わったことを前提に、自らの勝ち方そのものを更新できるかどうかである。
図表出典
・World Bank, GDP (current US$) 公開データ(世界、日本、米国、中国)
・UNCTAD, Review of Maritime Transport 2024
■著者紹介
村上 将(むらかみ・まさる)
イルメジャパン株式会社 代表取締役。株式会社キーエンスで事業企画、海外事業開発を担当し、現在は外資系日本法人の経営に携わる。国内外の産業界に広く触れてきた経験をもとに、日本の製造業が置かれた現実をファクトベースで捉え、課題と打ち手を考察。モジュラー制御システム開発アライアンスの幹事企業として、制御盤の標準化・モジュール化による生産性向上を提唱している。
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