ディーラーヘルプを 考える 黒川想介 (20)

ディーラーヘルプもひとつのチーム キーワード見つけ時間かけ醸成

どのような職業にもスランプはあるし迷うことがある。そんな時に出てくる言葉は「原点に戻れ」や「基本に戻ろう」、あるいは近年流行している言葉でいえば「顧客ファースト」などがある。

誰しもが入社時には夢や希望を持って入ってくる。無我夢中で仕事を覚える。経験を積んで一通りの仕事ができるようになる。ここで一服してしまうか、さらにチャレンジしていくかで道は分かれる。大体の人は一服した経験がベースになって、年を重ねベテランとなる。

昨今ではベテランになるまで待てないという事情があって、仕事をシステム化し、マニュアルを覚えさせ型通りやる仕事が増えている。しかし最初からマニュアルで覚えてしまうと、フレキシブルな動きができなくなる。

営業という仕事は人を相手にする仕事である。本来「顧客ファースト」ならマニュアル的であってはならないはずであるが、ファストフード店のような店頭販売員ならいざ知らず、部品・機器販売員もマニュアルこそないが型通りの営業に陥っているように見える。無我夢中で営業の仕事を覚え、一通りの営業ができる状態のままの経験を継続しているからである。

確かにベテランになるまではいくつかの営業研修を受けている。しかし当初やってきた営業の型を崩すことはない。せいぜいメーカーでやる商品勉強の知識が増えるくらいである。理由は、営業研修で学んだことを積極的に実践する販売員は少ないからである。

昨今の販売員は顧客から案件名としてもらったテーマや要求をミスなくこなせば、なんとか売り上げは稼げることを経験してきた。つまりその会社の実力通りの売り上げ確保営業はそつなくできているため、あえて慣れないことからは遠ざかる。会社としては販売員の力量で会社の実力を上げてもらいたいから研修に出すのである。結果的には知識のみの勉強で終わり、実践は伴わない。

営業はスポーツや武芸と同じで、理論がわかり知識が増えても実践しなければ力量は上がらない。厳しい風土で育った販売員でも、それまで積み上げてきた経験とは違った研修を受けてきて、現場に戻って新しいことに挑戦してみるが、やはり1、2度で止めてしまい元の経験に戻る。

営業は知識を得たからできるというものではない。近年、弱いチームが急に強くなってマスコミを騒がせたスポーツ界で、箱根駅伝の青山学院大学とラグビーの日本代表チームがある。青山学院大学の原晋監督と、ラグビーチームを強くしたといわれているチームのメンタルトレーナーの荒木香織さんは、強くなったキーワードとして選手の自主性を挙げている。

スポーツは勝ち負けのはっきりした世界であるから、悔しさや栄光がバネとなって厳しい練習に耐えることができる。しかし厳しい練習メニューをこなし耐えていると、それをやれば満足の領域に入り、勝っても負けても時の運的な気持ちが芽生えることがあるようだ。

そんな気持ちを打ち破るのは選手たちの自主性だという。強くなりたいために指導を受けて厳しい練習メニューをこなしてきたのに、突然自主性を持てといっても戸惑うばかりである。監督とトレーナーの大変な辛抱と努力によって選手が自主性を持つという風土ができたのであって、簡単ではないから語り草になっているのだ。

ディーラーヘルプという組織体も1つのチームである。一人ひとりは入社以来、会社の実力で売っていく営業の型から脱しきれなくても、ディーラーヘルプチームでやれば会社の実力以上の営業ができるようになる。

駅伝やラグビーの成功のキーワードが自主性に求められたように、ディーラーヘルプというチームもキーワードを見つけ、頼もしい戦力となるように時間をかけて醸成すべきであろう。

NTTデータGSL

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