混沌時代の販売情報力 黒川想介(98)

2014年1月29日

需要の拡大に応じて供給は増える。それが経済の原則的流れである。需要には日本国内で発生する内需と、海外への貿易という形で生まれる外需がある。日本は化石や鉱物資源の少ない国である。だからエネルギー源である化石や原材料となる資源を輸入して付加価値を高め、海外へ販売することで国力をつけてきた。だから外需への期待感は誰もが持っているし、これからもその路線は大きく変わることはない。これまでオイルショックやドルショックなどの障害はあったものの、外需拡大はうまく軌道に乗っていた。

21世紀に入ろうとした頃から、それまでの世界経済活動のパワーバランスは変化し出した。ベルリンの壁崩壊から冷戦経済構造が崩れ出してグローバル経済の時代になったからである。それで気づいたことは、かつて欧米諸国と外需摩擦を起こしていた日本が今やその位置にいることである。すでに購買力のある先進国の一員だったのだ。人口も世界で10番目の人口大国である。だから世界的に見ても需要の旺盛な国なのだ。グローバルでみると日本は海外からの購入規模が大きい魅力ある市場になっているのである。したがって外需、外需と外需一辺倒から脱出し、内需の拡大を積極的に行うことも大いに必要な国なのだ。そうすれば世界経済社会の中で一段と輝いた存在感のある国となる。

1990年のバブル経済崩壊後の日本は縮まった社会の中で歩んできた。昨年あたりから政府は戦略を転換し、雇用増を狙い内需拡大の重点4分野を示した。健康、エネルギー、農林水産、社会インフラの4分野である。この分野を中心に規制緩和等の手を打っているから投資は活発になる。政府系の投資は財政赤字という制約がある。だから政府系の投資は日本経済活性化の誘い水である。それによって景気の好況感を感じた民間がどのようなチャレンジ、ベンチャーをしていくかが内需拡大のキーとなるのだ。

ところで内需拡大の一因である製造部門の設備投資であるが、現状のままのものづくりでは設備がマクロ的に見て過剰の状態にある。このままでいくと企業の設備投資資金の流れは海外の設備に向かうことは否めない。ある機械装置メーカーでは、受注の割合が海外7対国内3であると言っている。それも海外のローカル企業からではなく、海外の日本工場へ納めるのがほとんどであるということだった。80年代には機械装置の輸出と言えば海外のローカル企業からの受注だったのだが、日本企業の海外進出が多いせいもあろうが、海外のローカル企業に納める話はあまり聞かなくなった。

先端技術を搭載している機械装置は別として、ローカル企業が使いやすい、そしてリーズナブルな機械装置を目指しているのだろうか。営業がローカル工場の的確な情報を日本に伝えているのだろうか、とにかく現地の工場に合った機械装置でなければやがて、アウト・アウトの取引になっていく。

ちょうど70年代の日本列島改造で、大都市圏から地方に工場が出ていった直後は機械装置のすべては大都市圏のベンダーが納入していた。やがて、地方で成長していった機械装置のベンダーが地方の工場に合わせた機械装置をつくって、一手に受注してきたようにである。これからの国内の製造部門においては自動化以外の設備投資の活発化にチャレンジしていくことになろう。CSRの分野や電力効率化の分野、あるいは通信制御の分野には積極的投資が行われるであろう。販売員は油断することなく、その方面にも目を配っていかねばならない。
(次回は2月12日付掲載)