旺盛な設備投資背景に急増の光電・近接センサ 半導体・液晶製造装置、電子部品実装関連機器、工作機械関連が牽引 非製造用途のアプリケーションも拡大 食品など特定用途向け開発進展耐環境性向上で高い信頼確立

光電・近接センサ市場は、国内外の旺盛な設備投資を背景に急速な回復を見せている。特に、大きな用途となっている半導体・液晶製造装置や電子部品実装関連機器、工作機械関連が大きな牽引役となっている。製品的にも小型化、簡単操作などを基調にインテリジェント化が著しい。工場などの製造用途だけでなく、セキュリティや再生可能エネルギーといった非製造用途でのアプリケーションも拡大している。簡単操作で、信頼性の高いセンサとして中心的役割りを果たしている。
光電・近接センサの市場は、日本電気制御機器工業会(NECA)の検出用スイッチの出荷統計によると、2009年度の出荷額は約320億円で前年度比約25%減少した。しかし、10年度は市場が急速に回復しており、光電・近接センサを含む検出用スイッチの出荷額は同38・4%増の1140億円となっている。この金額から推定すると、10年度の光電・近接センサ市場は同約40%増の500億円近くまで伸長したものと見られる。

10年度の検出用スイッチ出荷額のうち、国内は同30・1%増の741億円に対し、輸出は同57・2%増の399億円と輸出が急速に伸びている。輸出比率も前年度から約5ポイント上昇して35%と大幅に比率を高めた。

このように国内外で光電・近接センサをはじめとして検出用スイッチの出荷が拡大したのは、低迷していた工作機械の受注が前年度比倍増になったことが大きい。また、半導体・液晶製造装置も堅調に推移したほか、電子部品実装装置やロボット関連も伸びるなど、光電・近接センサの中核的需要分野が軒並み堅調であったことが大きく貢献した。

国内では半導体関連以外は設備投資が低調であるものの、中国をはじめとしたアジアの新興国の設備投資が、自動車を中心に旺盛に継続して需要を牽引している。

今後、東日本大震災の影響が市場動向にどのような影響を及ぼしてくるか不確定要素が多いものの、グローバル市場で見れば、日本市場以外はリーマンショック後の停滞からほぼ脱しており、不安要素は少なく堅調な拡大が継続していくものと見られる。

国内も新エネルギー関連向けのほか、安全・防犯分野などでも需要が今後拡大してくることが予想される。

光電センサの最も大きな需要先は半導体製造装置で、続いて輸送機械、自動車製造装置関連、工作機械などとなっている。これに対して、近接センサは、工作機械が最も多い。09年度に工作機械の受注が3分の1まで減少したことで近接センサの需要も大きな影響を受けたが、10年度に倍増したことで、再び最も大きな需要先になったものと見られる。続いて半導体製造装置、自動車製造装置関連が大きな割合を占めているものと見られる。

光電・近接センサの市場としては、食品機械、包装機械、運搬機械なども大きな割合を占める。なかでも食品、包装機械市場は、比較的景気の影響を受けづらい安定した需要を形成している。メーカーの中には、この市場にスポットを当てた専用機種を投入しているところもある。

そのほか、再生可能エネルギー関連用途での需要にも期待がかかっている。

光電センサは、LEDや半導体レーザーを光源にした非接触センサで、検出方式は透過型、回帰反射型、拡散反射型などがある。長距離検出には透過型が最適である。回帰反射型は、透過型で必要だった投光部と受光部の配線が不要で、配線工数や設置工数を半減できるメリットがある。そのほか超小型ヘッドで取り付けスペースが小さいアンプ分離型、DC電源で使え応答速度が速いアンプ内蔵型、AC電源で使えて取り扱いが容易な電源内蔵型、取り付け場所を選ばず微小物体も検出できる光ファイバー式などがある。FA分野では、隙間などにも取り付けられ、光ファイバー部を交換するだけで様々な用途に対応できる光ファイバー式のアンプ分離型の需要が多い。アンプ部を共通とし、光ファイバー部を用途ごとに多数そろえることで、幅広い用途展開に対応している。

半導体や液晶製造装置では、微小物体検出用として、高精度、ローコスト、取り扱い易いなどの理由から光電センサの使用個数が増加、大きな市場を形成している。微小物体検出用では、これ以外でも小型化が進む機器の組み立て装置分野や、小型電子部品の製造装置などでも大きなニーズがある。

小型化と長い検出距離、高い保護特性などが著しく、検出距離55メートル、保護特性IP69Kといった製品も登場している。取り付けも端子台やアタッチメントなどを使用しているものが多いが、最近は埋め込み取り付けが可能なタイプも出ており、より狭小な場所にも取り付けが可能になっている。
より精度の高い検査を実
現した製品の開発が進展

食品機械などの光沢検出、包装機械などでのマーク検出といった分野では、従来品を改良し、より精度の高い検出を実現した製品の開発が進んでいる。関連する光電センサでは、カメラ、照明、カラーモニターを一体化したローエンドの色面積センサなどがある。同センサは、印字有無判別、シール有無判別、シール異種混入判別、文字認識などが容易に行える。

化粧品・薬品・食品などいわゆる3品業界では、このようにユーザーのニーズに合わせた用途限定のローエンドセンサ、提案解決型センサといった専用センサの需要が高まっている。ある限定された検出項目だけに対応することで余分な機能を省き、その分ローコストである。中でもローエンド画像センサは、このところ各センサメーカーが販売に注力している。

また、食品分野は食品偽装問題や製品安全対策向上の観点から、トレーサビリティを念頭に置いた需要が高まっている。人間の目以上の精度で確実に検査できることは、トレーサビリティを推進する上で重要な不良品防止に繋がり一層効果を発揮する。こうした効果への期待から、各企業で検査工程の自動化投資に意欲的に取り組むところが増えている

最近の光電センサは、オートチューニング機能など使い易さを追求した機能が一般化しているほか、多点制御や差動検出など入光量をアナログ的に制御できるアナログ出力の光ファイバー式光電スイッチなどもある。アンプ内蔵型では小型化が著しく、相互干渉防止機能などにより密着取り付けしても誤動作を解消できるようになっている。

このところ増えているデュアル感度補正機能は、ファイバー先端に汚れによる光量低減が生じても自動的に感度を補正するだけでなく、先端部の清掃を行った後も自動で元の感度に復帰するもので、再ティーチングの必要がないという特徴を持つ。

ピッキング用として、使用する距離によってリフレクタ形と拡散反射形が選択できる薄型ワイドセンサも好評である。省スペースで高輝度の大形表示灯が付いており、ピッキング作業の効率化が図れる。

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