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日本の産業用機械業界を襲うIndustrie4.0に向けた新たな試練 その2 SAPジャパンの超リアルタイムビジネスが変える常識(3)

■変わるために必要なこと トップダウンで大胆な決断と実行
前回は「予測の優劣が競争優位を左右する」というテーマで、事業における競争優位のポイントが、事前予見や予測の精度に大きく左右されることをお伝えしました。今回は「変わるために必要なこと」というテーマでお届けします。

なぜ、日本企業は変われないのか

日本企業の特徴の一つが、ボトムアップ、あるいは合議制と呼ばれるものです。これに対し、多くのグローバル企業ではトップダウンによる大胆な変革を実現しています。例えば、先日出会ったある中国の産業用機械関連メーカーの場合、従来の中国向け製品は、カスタマイズされた独特のシステムによるものでしたが、このままではグローバル市場で通用しないことに気づき、これまでの製造方法をすべて捨て、新しい製造システムを導入しました。かくも大胆な決断と実行ができるのかと、大変衝撃を受けました。

■産業用機械業界における本質的な課題:BOMの刷新

実際にトップダウンによる変革を実現するために何が必要なのか。

リアルタイム予測に基づいて生産量や作業手順を柔軟に変更するためには、各現場に対応する仕組みが不可欠です。そこで重要な役割を果たすのがBOM(部品表)です。

BOMには品名、型式、メーカー名、数量、レファレンス番号、仕様、材質などの情報が必ず含まれています。マスターBOM、設計BOM、製造BOM、購買BOM、サービスBOMなどいくつかの種類があり、ものづくりに関わる設計からアフターフォローにいたるまでの、長年にわたる部品の総括管理データベースとなっています。

生産量や作業手順を柔軟に変えたり、新たに派生商品を製造したりするには、柔軟に対応できるような部品が受け皿として不可欠です。それがBOMに含まれていなければなりません。

ところが、日本企業の場合、実はここに大きな問題があります。その問題を生み出しているのが、以下の2点です。

●組織の壁

BOMはそれぞれの組織で別々に管理されています。設計BOMは設計部門、製造BOMは工場、購買BOMは調達部門、サービスBOMは保守管理部門といった具合です。多くの場合、相互に互換性を持たず、統合にはかなりの負荷を要します。

●「職人」の壁

各部品の仕様は「職人」の領域で、担当者の裁量などでその場に最適な仕様が決められるものが多く、こういった部品はほかへの転用が難しくなります。

重要なのは、品質や安全性などの条件をクリアしながら、柔軟な製造に対応できるかどうかです。BOMを刷新することが、次世代の産業用機械メーカーとして行うべき第一歩です。

■品質基準ポリシーは定められているか
BOMの刷新において、一番重要なポイントは品質基準です。部品の選定理由や要件などを全社基準として整備しなければなりません。この部分が曖昧な日本企業が多いのではないでしょうか。この土台がしっかりと構築されていれば、高度で柔軟な製造システムを維持することができます。また、熟練者のリタイアという問題にも十分応えることができるはずです。

品質基準を定めると各種BOMの機動的連携ができるようになり、連携範囲を、設計や製造だけでなく、保守メンテナンスを含むサービスにまで広げることができます。この統合データベースにより、事前予見や予測の結果を無駄なく設計や製造にフィードバックさせることができるようになるというわけです。

■今、日本の産業用機械業界は変わるしかない
2回目は、「Industrie4.0時代において、日本の産業用機械業界が競争力を維持・強化するポイントは何か」という視点から考察しました。一般的に日本企業はトップダウンでは変われない文化があり、現場重視の姿勢が時としてトップダウンを阻害する要因になっているという課題に言及しました。

これを解決するのが「BOMの刷新」であり、製品の品質、安全、製造者責任などを明確にできるような、全社統一の品質基準の存在です。標準化や透明化が実現できれば、もともと品質ではトップレベルの日本企業は、間違いなく世界のリーダーとして業界をけん引できるでしょう。これにより、インダストリー4.0のメリットを120%享受できるに違いありません。我々SAPも、皆さまのこうしたイニシアチブを強力に支援・推進すべく、引き続き活動を続けてまいりたいと思います。
(SAPジャパン 原田茂樹)

SAPジャパン「超リアルタイムビジネスが変える常識」
http://www.sapjp.com/blog/

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