急回復見せるFAセンサ市場 主力需用分野の動き活発用途も拡大し、安定市場形成へ 期待高まるMEMS技術

2010年11月24日

各種の産業用・FAセンサは、幅広い市場を形成している。FA分野は半導体製造装置分野や液晶製造装置分野、自動車関連分野、工作機械分野、さらに電子部品分野を中心にセンシング機器として中枢を成している。国内市場は、2008年9月のリーマンショック以降、急速に市場を回復しており、日本電気制御機器工業会(NECA)の検出用スイッチの出荷統計では、09年度は前年比14・2%減の824億円であったが、10年度は上期(4~9月)実績が前年同期比72%増の577億円となっており急速な回復度合を示している。国内市場は半導体関連や自動車関連、さらに電子部品関連の設備投資が活発化したことが大きな需要回復の要因で、輸出も中国・アジア向けを中心に好調である。しかし5月以降、円高が進行していることや、世界的に今後の経済状況が見えにくいこともあって9月以降、伸びは鈍化している。一方、輸出は来年も中国をはじめ新興国向けに堅調に推移するものと見られている。製品の傾向では、MEMS技術搭載のセンサが注目されているほか太陽光発電システムなど新エネルギー分野、さらにスマートグリッド分野でのアプリケーション拡大などに期待がかかる。
産業用・FAセンサ市場は、最近の半導体製造装置分野、自動車関連分野、電子部品関連分野の活発な設備投資を背景に、昨年の第1四半期(4~6月)を底に順調に回復している。NECAの検出用スイッチの出荷統計によると、09年度は824億円・前年比142%減となったが、10年度は上期(4~9月)の実績が前年同期比72%増の577億円となっており、急速な回復度合を示している。内訳は国内が同54%増の373億円、輸出が118%増の205億円で、輸出の回復が大きい。

NECAでは、10年度の電気制御機器全体の出荷額を通期で同26・9%増の5700億円と予測しているが、6000億円台乗せも現実的になっている。

ただし、5月以降の急激な円高の進行が輸出産業を大きく圧迫、さらに、自動車のエコカーポイント制度も終了するところが多い上、世界的に来年度の経済予測が立てにくいことから、来年1月から3月までの第4四半期の状態はよくわからない状況となっている。

個々の市場の動きでは、昨年秋から自動車関連、半導体製造装置関連、さらに電子部品関連での設備投資が旺盛なほか、工作機械も大きく回復しており、FAセンサの需要回復に大きく貢献している。

日本自動車工業会による今年9月の四輪車生産台数は92万台で、前年同月比11・4%の増加と11カ月連続で前年同月を上回っている。また、10年度上半期(4~9月)の四輪車生産台数は、478万台・前年同期比24・1%増で2年ぶりに前年同期を上回った。

半導体製造装置関連は、日本半導体製造装置協会による日本製同装置の受注額のBBレシオでは、昨年6月以降1以上を更新しており、今年に入ってからも1以上の高水準で推移しているが、9月以降伸びは鈍化してきた。

また、FAセンサの大きな市場である工作機械の受注金額は、日本工作機械工業会の受注統計によると、10年10月の受注総額は801億円で前月比では12・9%減だが、前年同月比では70・9%増加している。年間累計は7831億円で前年同期比157・4%増となっている。

一方、ロボット関連市場は、日本ロボット工業会による今年7月から9月までの出荷統計額では、前年同期比86・1%増の1059億円となり、伸び率は減少しているが4四半期連続でプラス成長が続いている。国内出荷額は2四半期連続でプラス、輸出額は3四半期連続でプラス成長となっている。特に、国内では自動車産業向けが8四半期ぶりにプラスに転じ、電子・電気機械産業向けは3四半期連続でプラスとなっている。

また、食品・医薬品・化粧品の3品業界は、依然として堅調な動きを見せており、FAセンサの大きな市場に成長している。食品や医薬品などの製造ラインでは各種の認識・識別センサの採用が拡大しており、各センサメーカーでもこうした分野に向け、新製品を積極的に投入している。

また、太陽光発電関連の動きも活発化している。全国の公立小中学校に太陽光発電の導入を図るという施策に対応するほか、電気事業連合会や日本電機工業会などの太陽光発電関連団体が、太陽光発電の普及拡大に向け積極的な活動を開始している。

具体的には、国内の電力メーカーが本格的な太陽光発電所建設に動き出しているほか、各公共施設、工場、ビル、倉庫、大規模店舗、ソーラーハウスなどで太陽光発電システム導入に向けた動きが活発化しており、FAセンサ分野にも大きな波及効果が見込まれる。

FAセンサの種類別シェアでは、NECA統計によると、光電センサが約300億円で検出用スイッチの中で最も割合が高い。続いてマイクロスイッチが約160億円、近接センサが約120億円、リミットスイッチが約120億円などとなっている。

また、検出用スイッチの主な産業分野別需要では、半導体製造装置が約100億円で最も多く、続いて工作機械約60億円、運搬機械約50億円、自動車製造設備約50億円、ロボット約15億円、食品・包装機械約20億円となっている。

FAセンサの代表的製品といえる光電センサは、LEDや半導体レーザを光源にした非接触センサで、検出方式は透過型、回帰反射型、拡散反射型などがある。長距離検出には透過型が最適である。回帰反射型は、透過型で必要だった投光部と受光部の配線が不要で、配線工数や設置工数を半減できるメリットがある。そのほか超小型ヘッドで取り付けスペースが小さいアンプ分離型、DC電源で使え応答速度が速いアンプ内蔵型、AC電源で使え取り扱いが容易な電源内蔵型、取り付け場所を選ばず微小物体も検出できる光ファイバー式などがある。FA分野では、隙間などにも取り付けられ、光ファイバー部を交換するだけで様々な用途に対応できる光ファイバー式のアンプ分離型の需要が多い。

半導体や液晶製造装置では、微小物体検出用として、高精度、ローコスト、取り扱いやすいなどの理由から光電センサの使用個数が増加、大きな市場を形成しており、小型化と長距離検出、高い保護特性などが著しく、検出距離50メートル、保護特性IP69Kといった製品も登場している。

食品機械などの光沢検出、包装機械などでのマーク検出といった分野では、より精度の高い検出を実現した製品の開発が進んでおり、カメラ、照明、カラーモニターを一体化したローエンドセンサの需要が伸びている。同センサは、色面積や印字有無判別、シール有無判別、シール異種混入判別、文字認識などが容易に行える。

化粧品・薬品・飲料・食品などいわゆる3品業界では、このようにユーザーのニーズに合わせた用途限定センサ、提案解決型センサなど専用センサの需要が高まっており、余分な機能を省くことでローコストを実現している。また、食品分野は製品安全対策向上の観点から、トレーサビリティを念頭に置いた需要が高まっている。

最近の光電センサは、オートチューニング機能など使いやすさを追求した機能が一般化している。また、多点制御や差動検出など入光量をアナログ的に制御できるアナログ出力の光ファイバ式光電スイッチなどもある。

新しい機能であるデュアル感度補正機能は、ファイバー先端で汚れによる光量低減が生じても自動的に感度を補正するだけでなく、先端部の清掃を行った後も自動で元の感度に復帰するもので、再ティーチングの必要がないという特徴を持つ。

また、あらゆる対象物のインライン形状計測を実現した2次元形状計測センサは、帯状に広げたレーザ光を対象物に照射し、その反射光をCCDで撮像し、断面形状を計測する非接触型センサで、撮像情報から形状のプロファイルを生成し、対象物の断面形状(2次元形状)から、高さ・段差・幅・位置・交点・傾きなどの寸法形状を瞬時に計測する。

水検出センサでは、検出能力向上のため、従来10mWだった出力を100mWに引き上げており、不透明容器内の水、及び水を含む液体を確実に検出することができる。

近接センサは、耐環境性が良く、高温・多湿、防爆雰囲気、水中など、他のセンサにはない独自の特徴から、工作機械、ロボット向けなどを中心に光電センサとは異なった市場・用途を形成している。最近では、振動や衝撃による緩みを防止できるタイプや、6ミリ角の超小型タイプも製品化されている。また、オールメタルタイプも増え、検出物体の制限はより小さくなっており、金属体、非金属体の混流ラインでも使用できる。

検出距離は、数ミリから数10ミリが一般的だが、300ミリぐらいまで対応できるタイプが製品化されているほか、リニア近接タイプでは検出距離を0、50、100ミリと調節することができる。近接センサの磁気検出方式を応用したものでは傾斜センサがあり、磁気式のほか光式、メカニカル式などがある。

最近では超音波を利用し、液晶のフィルム基板や透明シートのエッジ検出を行うエッジセンサも開発され、アプリケーションが拡大している。
安全対策用センサは、安全重視の思想が国際的に広がる中で需要が拡大している。エリアセンサーやマットスイッチ、ライトカーテンなど、接触式、非接触式など多様なセンサが使用用途に応じ使い分けされている。さらに防犯対策の高まりから、各種の防犯用センサも伸長している。

また、安全センサの応用製品で、外部ハウジングにテープスイッチを内蔵したセーフティエッジセンサは、エレベーター、車両、住宅ドア、高速シャッタードアといった自動ドアや、各種機械類の挟まれ防止、医療機器などの非常停止、無人車両などの衝突感知センサとして採用が増えている。

ロータリーエンコーダーは、回転角変位をデジタル量に変換するセンサで、工作機械、加工機械、ロボット、半導体製造装置、検査装置などのセットメーカーのほか、自動車関連、電気・電子、機械・精密の生産ライン向けも堅調に推移しており、車載関連や建設機械、防爆関連、介護用ロボットなど新規需要も拡大している。

圧力センサは、小型・軽量化、使い勝手の良さ、低価格化、耐環境性や温度特性の向上などの改良が進んでいる。ミストを含んだ空気、水、油など、流体や環境を選ばないハイエンド圧力センサなども登場し多分野で採用されている。また、新規市場では半導体抵抗素子や静電容量素子を用いた電子式圧力センサの需要が拡大している。

レベルセンサは、液面や粉体面のレベルが設定レベルになった時に信号を出力するセンサで、一般的にタンクや容器内の内容物のレベルを検出する用途が多いが、河川や湖沼の水位・水量測定、下水や排水の液面測定などにも利用される。最近では、災害防止の観点から設備を強化する取り組みが行われており、レベルセンサが重要な働きをしている。

さらに、自動車などのオイル系統の管理に採用されているほか、外食産業用にも採用され、新規市場への浸透が進んでいる。ユニークなのは、レベルセンサに温度センサを内蔵して一体化することで、スペースの削減とトータルコストの低減を実現したものも注目されている。

需要が高まっている流量センサは、高温液体を使用する金型温調器の流量管理、冷却水を使用するダイカスト金型や、焼き入れ装置のコイル冷却水の流量管理、ビンの洗浄に使用される精製水の供給管理、純水や薬液を使用するウエハー洗浄液、基板洗浄液の供給管理などの分野で活躍している。

半導体や液晶の製造工程分野では、基板などますます大型化するガラス素材の表面コーティング斑(むら)を、確実に検査するニューロ視覚センサがある。

ロボット関連では、知能ロボット向けに測域センサの開発が進んでいる。測域センサは、周囲の障害物などの状況を把握するセンサで、知能ロボットには必要欠くべからざるセンサ。レーザ光線で対象物までの距離を測定し、270度の視野に対して自分を中心とした平面地図のような測域情報を得ることができる。同センサは、長距離で高感度の検出が可能なので、最近では立体駐車場での車両のはみ出し検出や、トンネル前における車両の高さ検出など、様々な分野で用途が拡大している。

また、ロボットアームなどを中心に動き続ける運動体の角度や角速度が容易に検出できるジャイロセンサ内蔵のスイングセンサなども発売されている。

そのほか、FAセンサの堅調な市場として物流業界が挙げられる。物流業界はFA分野と非FA分野両方の領域を兼ね備えており、バーコードリーダーやRFIDなど、自動認識関連のFAセンサ需要が拡大している。

また、非FA分野では、有料道路のETC(料金自動収受システム)や、鉄道などICカードを採り入れた自動改札システム、さらに、各種防犯設備などで市場が拡大している。特に各種の赤外線を使った人体検出センサは防犯効果が高く伸長が著しい。

MEMS技術を応用したセンサでは、フローセンサ、加速度センサ、さらに非接触温度センサなどが登場している。フローセンサの場合、外乱の影響が少なくなり、高速応答を実現している。また、高感度のMEMS非接触温度センサは、広い空間でも人のセンシングが可能で、照明環境に強く静止している人もセンシングする。従来比7倍の高感度化でセンシングエリアも7倍に拡大。店舗や駅構内など、人の混雑状況をリアルタイムにセンシングすることで空調制御などのほか、防犯対策へ活用できる。

最近では、製造ラインやエアコンなどの機器、さらに自動車などから発生する音や振動エネルギーの異常振動を察知し、不良品の検出や予知保全に応用するMEMSセンサシステムも開発されており、FAセンサに秘められた可能性は今後もさらに拡大するだろう。