分岐点

2010年12月1日

「Fa機器専門メーカーとして決断をいたしました。会社の継続性を考え、対象市場をアジアに広げることにしました。金も人も少なく、有るのは技術と商品だけの当社が世界中の企業と競い合うには、どうしても皆さんのお力を借りるしかありません。国内すべての顧客、市場は皆様に依頼します」と、経営者は主要な代理店経営者を前に真摯な態度で説明した▼会場は一瞬、緊張感が走った。この会社の国内市場を守り拡大するのは、商社にとって大変な重荷である。参加の経営者が「御社はこれまで商社との関係を大切にしてこられた。その会社の将来のカギを握るのだから、協力のし甲斐がある」と言い切った。それからは、メーカーと商社の信頼感がより一層強まった▼メーカーは社内体制を一変させた。年間の生産量を6カ月で製造した。アジア向け商品も整った。操作は簡単に、機能は単純に、故障対策は交換し易いユニットにして低価格品を作り上げた。現地在庫、売上金回収も日系企業に依頼することができた。OEM形式にしたからである▼1年の半分は、営業、生産、開発人員の大半を新興国の販売に投入し、見知らぬ海外でOEM製品を自分たちで売り歩いた。全員が半年生産、半年販売に携わって3年後。自社ブランドで売れるようになり、現地に代理店網も構築した。国内外の代理店経営者が集う年1回の会議では笑顔が充満していた。ある中小専門メーカーの物語である。