分岐点

2010年8月11日

FA制御機器業界は生産がV字回復なのに、メーカーも商社も経営者の表情には緊張感が漂っている。半導体製造装置、建設機械などを客先に持つ企業の生産回復力は異常なほどに旺盛であるが、いずれも輸出向けであり、内需関連の需要回復に至っていないのが先行き不安感を拭いきれない原因である。2001年の不況が頭に残っているから再来の心配が先に来る。

前回の景気は99年1月が谷、翌年11月が山で戦後最短の拡張期であった。それ以降は後退期に入り、01年、02年の実質経済成長率は0・4%、0・1%と停滞が続く。アメリカのITバブル崩壊、それに伴う輸出低下が景気悪化をもたらし、景気刺激策から財政赤字の縮小策への転換が低迷期を長期化させた。

回復は短期で、不況と低迷が長期間続いた経験は先日の出来事のように頭を離れない。今回の急激な受注増加もまた、自律的な回復でなく輸出依存なのだから、先例を思い出し楽観できない。デフレもまだ脱却できそうもない。消費を拡大するか、供給を減らすか2通りの方法しかないが、少子高齢化社会ではお金を持っている高齢者の使途に限度があり需要をなかなか増やせない。

少子社会がデフレを長期化させているように思える。経営者には大変舵取りの難しい時代である。製造業は海外に出かけるか、国内のニッチ市場で高度な製品造りに活路を見つけるかの択一を迫られる。日本のように逆三角形の人口構成国はデフレに陥ると決め付けてしまうと、日本の消費拡大にささやかながら貢献したい気分になる。今宵もまた冷たい飲み物の消費量を増やす口実ができた。