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イーティーエィコンポーネンツ「盆栽キャビネット」が大手製造メーカーに採用コスト・スペース50%削減に貢献

イーティーエィコンポーネンツ(千葉県船橋市浜町2―1―1、TEL047―401―0200、江角敏史社長)の「盆栽キャビネット」=写真=(BonsaiCabinet:登録商標)がこのほど、大手メーカーの製造ラインに採用された。製造設備全体の50%という大幅なコストダウンを実現するとともに、ラインの省スペース化に繋がっており、注目を集めている。

盆栽キャビネットはケーブルの線積率が低く、エントロピの小さい制御盤。「小さくまとめて機能はそのまま」というコンセプトで、製品名はコンパクトにまとめ調和を大切にする日本の盆栽から由来している。

線積率とは、制御盤の容積に占めるケーブル率のことで、エントロピとは、熱源が散在している様子を表す。熱源となる機器やデバイスを密集させた画期的な制御盤で、盤のダウンサイジングが図れると同時に、盤内の冷却効果が高く、大幅なコストダウンを図ることができる。

熱源を密集させ実効表面積が小さくなっても、キャビネット内部の冷却が効率的な流れであれば、密集する機器同士の熱伝導により、全体の放熱効率が上がる原理になっている。

また、同キャビネットを構成する重要な要素として、ケーブルダクトが不要でグリッド配線が可能なジョーダクト(JawDuct:特許申請中)がある。

ジョーダクトは、内部が3つの部屋で構成。配線は各部屋ごと縦横に行うグリッド配線で、ターミナル間はケーブルダクトを使わず、直接接続し、仕様(AC/DC信号)により、ケーブルをグルーピングする。

メンテナンス時には、レールを45度倒し、部屋に直接アクセスできるので、上下のレールピッチが最小限に抑えられる。また、レールは希望寸法に切断可能で、金太郎飴のようにどこで切ってもヒンジ構造に影響しない。

従来のようにケーブルダクトがある場合は、ダクトの蓋の上に空間があっても利用できないデッドスペースだった。また、縦横のダクトで迂回配線するのでターミナル間の直線距離の3倍長のケーブルが必要であった。

グリッド配線によるジョーダクトを採用することで、余分なケーブルや左右の縦ダクトがなくなり、配線長が50%から70%削減でき、配線工数の削減に繋がる。

さらに、クーラの容量が下がることで制御盤が20%から40%小型化でき冷却効率が上昇する。

また、長いケーブルは電圧降下を発生させ、寄生キャパシタンスや異常トランジェントを誘発するが、ジョーダクトの採用で、こうした課題がなくなり、EMCのリスク面積を減少させることができる。

同社では、数年前から同キャビネットの本格的な販売を開始しており、このほど、その画期的な特徴が評価され、大手メーカーに採用された。

採用を決めたメーカーは現在、製造における付加価値の創造とコストダウンの連動、さらに設備全体の縮小と小型化を推進しており、盆栽キャビネットのコンセプトと、ベクトルがピッタリと合致した。

採用したメーカーでは、「当社は製造ライン全体で50%のコストダウンを目標にしている。盆栽キャビネットを採用することで1つの制御盤につき数万円のコストダウンが図れた。さらに、盤の幅が1200ミリから500ミリ、高さが約30センチダウンサイジングでき、製造設備全体として約50%のコストダウンと省スペース化を図ることに成功、目標を達成することができた」と、高い評価を与えている。

さらに、「ランニングコストの低減にも繋がり、今後はノイズが少ない効果も出てくるだろう」と指摘している。

同社では、今後も製造ラインのコストダウンや省電力、省配線に貢献する制御システムの開発に積極的に取り組む方針である。