
カナデン 東北支店
電子・設備部 部長 谷津 弘志氏
電子・設備部 社会システム課 課長 吉川 彰氏
電子・設備部 社会システム課 菊地 一成氏
全国的に野生のクマの出没エリアが拡大し、地方では山間部だけでなく都市部や住宅地、工業団地や物流拠点など、場所を問わずクマの目撃情報が次々と上がってきている。クマの生息地に近い地域では、いまやクマは身近な災害になっており、企業にとっても従業員の安全確保やBCP(事業継続計画)における重要課題になりつつある。
拡大するクマの脅威に対し、カナデンは映像監視ソリューション「FAtis」をベースにクマを検知して発報する「クマ監視ソリューション」を開発。クマ被害が頻発している東北地方を中心に提案活動を実施し、順調に成果が上がっているという。クマ被害の最前線で提案を進めるカナデン 東北支店の谷津氏と吉川氏、菊地氏に話を聞いた。
もはや他人事ではないクマの脅威 都市部にも出没
――最近は山間部だけでなく、都市部でもクマの目撃情報が相次いでいると聞いています
以前は「クマ対策が必要なのは山奥の施設」というイメージがありましたが、現在は大きく状況が変わっています。例えば、当社の東北支店がある仙台市でも、行政の出没情報アプリを開くと地図上がクマのマークで埋め尽くされるような状況です。山沿いだけでなく、川沿いを伝って街中や海沿い近くまでクマが下りてくるケースも珍しくありません。同僚やお客様の間でも「うちの近所で出た」という話が日常的に交わされています。
―― 他人事ではないですね
特に郊外や山間部にある工場や物流センターでは、ほとんどの従業員がマイカー通勤で、駐車場から会社に向かいます。そうした場所はクマの生息地域に近く、危険と隣り合わせです。早朝や夜間の出勤・退勤時、敷地内の移動中に従業員がクマに遭遇することもあり得ないことではありません。
もしクマが出現したら従業員の安全確保のためにも工場は止めなければなりませんし、そうなった時には顧客や関連業者に説明して適切な代替手段をとる必要があります。また万が一、人身被害が出てしまったら企業は安全配慮義務が厳しく問われることになります。
だから今、東北地方の企業の多くはクマ対策に頭を悩ませています。

クマ対策の第一はすぐ発見して避難すること
――それこそ爆竹やクマスプレーなどの対策グッズに頼ればいいのでは?
スプレーなどの対策グッズは遭遇してしまった後の最終手段であり、一番理想的なのは、クマを寄せ付けないことですが、それができるツールは現在のところありません。爆竹を鳴らしてクマを追い払えると言いますが、クマは賢いので何度も爆竹を受けると、その音や光に適応してしまいます。そのためいま極めて有効なのは、「クマを早く発見して避難・対応すること」なのです。
そのために開発し、提案しているのが「クマ監視ソリューション」です。
AIでクマ出没を検知&発報 いち早く避難行動に
――「クマ監視ソリューション」とはどんなものですか?
クマ監視ソリューションは、主には「監視カメラ」「AIサーバー」「モニター」「回転表示灯」「スピーカー(音声告知)」「自動メール通知機能」で構成され、現場のカメラ映像をAIサーバーがリアルタイム解析し、クマの形状や動きをAIが検知すると、即座に現場の回転表示灯やスピーカーで発報して注意喚起を行うと同時に、事業所の担当者や責任者のスマートフォン・PCへアラートメールを送信して通知するというものです。
クマが画面内に侵入してからAIが画像処理を行って「クマ」と判別するまで、わずか数秒程度しかかかりません。捉えた瞬間に光と音で即座に周囲へ知らせることができるので、現場にいる従業員や関係者がいち早く避難行動に移ることができます。
またクマを捉えた映像にはブックマークが付き、逃げた方向などを後から簡単に確認できます。
既存の監視カメラシステムの活用で低コスト導入
―― 大がかりなシステムで、導入コストもかかりそうです
一からシステム構築するとなると前述のような構成になりますが、すでに設置済みの監視カメラシステムをそのまま活用でき、そうなると導入コストも100万円以下に抑えることも可能です。最近の工場や物流拠点であれば、駐車場や出入口に防犯用の監視カメラが設置されています。そこにAIサーバーをつなげば、低コストでスピーディーにクマ監視機能を後付けできます。カメラがない場合も予算や監視範囲に応じて最適なカメラの台数や配置選定などの提案をさせていただきます。
またこのシステムは、当社が開発した映像監視ソリューション「FAtis(フェイティス)」をベースとしているので、クマ監視だけでなく、人物の侵入検知や車両監視、工場内の作業確認といった一般的な防犯や生産管理目的と併せて使うことができます。クマ対策で高額な設備投資をするのではなく、年間を通じて工場・拠点の防犯・安全管理ソリューションとして複合的に活用できる設計になっています。
すぐに導入でき、具体的な対策が実行可能
――お客様の反応はいかがですか?
民間では物流センターやプラスチック製造業で採用いただきました。導入後は、現地で働くドライバー様や従事されているスタッフの皆様から「安心感を持って業務に取り組めるようになった」といったお声をいただいております。
――採用に至った決め手は何だったのでしょうか。
「即効性」と「BCP対応の具体化」です。製造業のお客様のケースでは、現場での提案・デモ実施から3日後には購入の意思決定をいただきました。岩手県の現場だったのですが、敷地付近までクマの脅威が差し迫っており、「万が一事故が起きてからでは遅い」という危機感が非常に強かったことが背景にあります。
また、物流センターのように夜間や早朝にトラックや作業員が行き交う拠点では、「夜間にクマが検知されたら責任者にメールが届き、翌朝の作業開始時間を遅らせる」「配送業者へ事前に警告連絡を入れる」「日中は回転表示灯が回ったら即座に建屋内へ避難する」といった、明確な現場運用ルール(BCPマニュアル)をセットで提案したことが高く評価されました。
このソリューションと似たようなものに自治体向けのクマ監視システムがありますが、それは大規模で導入までに膨大なコストと時間がかかります。当社のソリューションは「各事業所に特化した即応型」で、今すぐ安全を確保したいというニーズに対して数日から数週間で導入・運用開始まで持っていくことができます。既存の防犯カメラシステムにも機能追加できてコストが抑えられる点も喜ばれています。
東北から全国展開へ 現場の不安や課題に親身に寄り添う
――今後に向けて
いま提案している「クマ監視ソリューション」は、お客様の事業所における「働く人の安全確保」という本質的な課題を解決するための重要なアイテムです。クマの被害は東北だけの問題ではなく、関東、中部、近畿、中国地方など全国各地へ広がっています。地域ごとに抱える地形や敷地の課題に対し、お客様と一丸となって安心・安全な環境を作り上げ、共に発展していけるような関係を目指して普及活動を進めていきます。
現場の課題はお客様ごとに千差万別です。「予算を抑えて既存のカメラを使いたい」「夜間の防犯や生産ラインの異常監視も一緒に行いたい」など、どのようなご要望にも柔軟に応えられるのが当社の強みです。今後も現場の皆様の不安や課題に親身に寄り添い、真に役立つソリューションをお届けできるよう尽力していきます。







