「新しい商品を作った。どこに売ったらいいか教えてくれ」「⚪︎⚪︎が流行していると聞いた。ウチでも作ろうと思うが、売り方を考えてくれ」時折そんな相談に乗ることがある。そんな簡単にものが売れたら苦労はしないよと思いつつ話をするのだが、たまに相手に響かない場合がある。自分の実力不足とは言え、なかなかに辛いものがある。
響かないケースで共通するのが「仏作って魂入れず」のパターン。類似製品が市場では売れている、ニーズが高いという情報を聞き、それをもとに作って市場に新規参入したいというが、話を聞いていても中身が薄っぺらいことが多い。似たような製品は市場にあり、差別化や尖った部分がないので悲しくなる。一方で、仏像から魂のオーラが染み出しているような製品サービスは、何時間でも話をしていたくなるほどに盛り上がることが多い。やはり開発者をはじめ関係者の熱意が伝わってくるのだろう。たとえ製品の機能や性能に目を見張るものがなくても、売れそう/売れて欲しいという気持ちになるのが不思議なところだ。
マーケットを分析し、売れる市場を狙って製品サービスを練り上げていくのは当然のことだ。しかし、そちらばかりに固執し、自社のルーツや歴史で培った強みや特長を活かせない、魂が入っていないような製品では何の魅力も強みも見出せない。ましてや現場の営業や販売パートナーは動かないし、提案されたお客様も分かるだろう。「一念岩をも通す」。熱意は伝染する。技術部門が自信を持ち、営業やパートナーが売りたくなる製品を、売れる余地の多い市場に投入する。市場は開拓するものであることを忘れてはいけない。