令和の販売員心得 黒川想介 (85)情報受信型より発信型営業に 顧客を見る目を作る基礎教育

機器部品の営業に足を踏み入れると最初に基本的な営業教育を受ける。

平成以前の最初の教育は顧客か設計する製品や製造現場で使用する機器機械装置には入力部と情報処理コントロール部と出力部がある。それらの各部のどこかに機器部品は使われているという基本的な教育から始めた。

まだこの業界の事がまったくわからない販売員にとってその基本的な教えは大雑把ではあるが顧客に関係ある内容であった。平成以降の新人教育ではこの様な基礎的な教育は大概ねなくなっている。機能の追加や複雑高度化した機器部品が次々と発表されるので新人には一日も早く戦力になって欲しいという願いを込めて商品に関する教えに終止している。どの業界でも新人教育で初めて受けた洗礼は強烈に覚えている。営業は現場に出ると、最初の教えを守ってスタートをし、経験を重ねていく。平成以前の教えを受けて営業をスタートすると自分達の販売する商品は一体どこに使われているのかという視点で顧客と接するようになる。だから情報収集が身につく情報受信型の営業になる。平成以降は商品に関する知識を詰め込まれて営業でスタートする。顧客にどのようなプレゼンをすれば気に入ってもらえるかという接し方になる。だから商品プレゼンが身につく情報発信型の営業になる。もち論、情報収集も情報提供も重要な営業活動であるが販売員としてスタートした時にどちらを主軸にして教えを受けたかによって、その後の育ち方に大きな違いが出てくる。平成以前の機器部品マーケットはまだ広がる余地があった。情報受信型の教えを受けた販売員は売り込む商品が顧客の製品や製造のどの部に使われたのかを聞き、仮にそこがコントロール部なら入力部や出力部はどうなっているのかを聞く営業をした。この様な営業経験を重ねていくと顧客に関係する物事を自然に覚えるようになる。平成以降では機器部品のマーケットの様相は大概がわかっているし、その上機器部品メーカーの競合は厳しくなっていたので、商品情報を早く顧客に伝える発信型の営業が定着した。この営業経験を重ねて、各々のマーケットに合った商品別の売り方が確立された。販売員は①顧客に関係して明るくなる事、②扱う商品に関して詳しくなる事が理想である。

 しかし多くの販売員は情報収集と情報提供のエキスパートには育っていない。新人営業でどちらかに片寄った教育の洗礼を受けるために両方のエキスパートになれるほどの器用な販売員はほどんど少ない。それではどちらに片寄った営業でスタートすればいいのかと言えば情報受信型営業のやり方の方がいい。なぜなら情報発信型営業が定着してしまうと情報受信型営業にもどすのがむずかしくなるからである。平成以降で育った販売員が顧客に「今日はどんな用事で来たのか」と問われると必ず商品情報の話になる。顧客から何も話が出ていなければ個人的雑談に移るといった例が多い。何かしらの顧客の物事を知ろうという雰囲気を作れないのが現実で、これがなかなか直せないものだ。社会も製造業も令和は平成とは違うだろう事は誰でも予想がつく。現実は徐々に変化していくために実感が持てない。それなら情報受信型の教育で育てた方がいい。情報入手を最優先することで情報に合った手が打てるからだ。商品知識の教育は顧客を担当させながら徐々に覚えていっても十分に間に合う。まずは昭和でやった入力・情報処理制御・出力から教えたような令和族の客先を見る目を作るための基礎教育が必要である。

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