温度調節器(計)特集〜半導体製造装置 好調を反映、増加基調で推移〜

温度調節器(計)市場は、半導体製造装置の好調を反映し、増加基調で推移している。食品・薬品・化粧品の3品市場も堅調に推移するなど総じて明るい状況が継続している。海外でもアジア市場を中心に日本メーカーの競争力の強さが目立ち、依然高いシェアを確保している。技術的には、見やすさに配慮した表示素子の改良と文字サイズの拡大、測定データの活用を考慮した通信ネットワークやパソコンとの親和性、さらには、省スペース性、環境特性などを中心に改良が加えられている。

電子式が主流 温度精度が向上

温度調節器(計)は、温度・湿度・圧力など各種センサから取り込んだ測定値を、あらかじめプログラムした設定値と比較し、その差を修正する信号をリレーやアクチュエータなどへ出力することで、対象物の温度や湿度を調節する制御機器・システム。
温度の調節は目標値を入力し目標値に対して動作をさせるが、制御対象の特性によりすぐに安定させることは難しい。一般的に早く目標値に到達させる制御をしようとすると現在温度が目標値を行き過ぎたり、温度が上下に動いたりする。これをなくすには、目標値に遅く達する方法を選択せざるを得ない。
こうした微妙な温度の調節は、製品品質に大きな影響を与え、半導体や液晶パネル、小型成型部品などの製造では、温度制御を正確に行わないと不良品が発生し、製品の歩留まり率が悪化する。食品加工でも温度調整を微妙にコントロールすることで、もっともおいしいと思える味を生み出すことができる。
現在の温度調節器(計)は、半導体技術を利用した電子式が主流。機械式などに比べ、温度精度が格段に向上し、より緻密な温度制御が可能。半導体の量産化などで価格が大幅に安くなったことで温度調節器(計)の単価は飛躍的に下がり、その分使用台数が増加し、市場拡大につながった。

2次電池の需要が市場の新たな分野

温度調節器(計)の市場規模は、国内メーカーだけで350億円前後と推定されているが、リーマン・ショックの後遺症の影響も徐々に薄れ、回復を続けている。特にここ1年はスマートフォンやタブレットPC、画像センサなどの需要増を背景に半導体・液晶製造装置の市場が拡大していることもあり、温度調節器(計)の需要にとっても大きな追い風になっている。電池関連も2次電池に対する需要が拡大傾向となっており、温度調節器(計)市場の新たな分野として期待されている。
一方、PV(太陽光発電)関連の需要が停滞しており、温度調節器(計)の需要にもマイナスの影響を与えている。食品機械、包装機械も生活に必要な部分であることから、景気変動の大きな影響も受けずに安定した動きが継続している。

日本メーカー海外でシェア拡大

為替も多少円高ではあるものの、輸出環境に大きな影響を与えるほどではないことで、輸出へ与える影響は少ない。温度調節器(計)メーカーの大手数社は海外での生産にシフトしており、為替変動に左右されない営業体制を敷いていることもあり、競争力の発揮につながっている。
技術力を付けた中国、韓国メーカーとの販売競争も依然激しいが、為替の安定や、日本メーカーの海外生産の増加、より精度の高い温度特性が求められる半導体・液晶製造装置向けの需要拡大などもあり、日本メーカーのシェアは高まりつつあるようだ。
日本の温度調節器(計)メーカーは、輸出の重点を中国、台湾、韓国、シンガポールなどに置いていたが、中国市場が生産拠点から消費地に変わりつつあることや、相対的な生産コスト上昇のリスクを避けるために、中国以外への立地に取り組み始めている。タイをターゲットにしているメーカーが多いが、将来の市場規模拡大の可能性などに期待して、インドなども視野に入れ始めている。インドで開催されるプラスチック成型やものづくり関連の展示会に出展をし始めており、温度調節器(計)における日本メーカーの国際的競争力の強さが発揮されようとしている。温度調節器(計)の世界市場の規模は750億円と推定され、日本メーカーの世界でのシェアが高まりつつあるといえる。

PLCユニット1台で複数の制御

温度調節器(計)を分類すると、汎用タイプ、警報器タイプ、エコノミータイプ、モジュールタイプ、PLCユニットタイプ、盤用ユニットタイプなどに分けられる。
汎用タイプは、高速で簡単設定、見やすい表示などが特徴で、食品機械・包装機械・成形機・半導体製造装置などの幅広い用途に対応する。警報器タイプは、過昇温防止、装置保護での異常温度監視などの用途に特化した温度警報器。
エコノミータイプは、比較的単純な機能に特化した経済性を重視した温度調節器。警報用途にも使用できる。モジュールタイプは、いろんなタイプのアプリケーションに柔軟に対応し、思い通りの温度制御を無理なく簡単に実現する。
PLCユニットタイプは、PLCの温度調節ユニット。ユニット1台で複数の温度制御が可能。盤用ユニットタイプは、制御盤の温度の自動コントロールと、異常温度検知に使用される。

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