安川電機 小笠原社長インタビュー 環境エネルギー、ロボティクスに注力 「安川版I4.0」を推進

安川電機は2016年度から小笠原浩新社長が就任し、新体制をスタートさせている。モーションコントロールとロボットの二つを大きな事業の柱にしながら、長期経営計画「2025年ビジョン」を立て、その最初の3年間を新中期計画「Dash25」として取り組んでいる。小笠原社長にこの計画の概要、インダストリー4.0(I4.0)など、新しいものづくり構想などについて聞いた。

■16年4月から3年間の中期経営計画「Dash25」をスタートされていますが、そのキーワードは何になりますか。

【小笠原社長】
基本は『環境エネルギー』と『ロボティクス』である。環境エネルギーでは、創エネ、風力発電、PV(太陽光発電)を中心にがんばっていく。

ただ、これらは日本にほとんど市場がないのが課題である。風力発電は欧州、PVはアメリカを中心に取り組み、それぞれ会社を買収して、強化している。環境エネルギーでは中国も重要で、大気汚染対策もあって中国政府も取り組みを強めている。

中国は風力、PVに、環境問題上からEV(電気自動車)も加える必要があり、その一環としてEVで中国に合弁会社を設立した。中国はガソリン車を規制するために、EVとPHV(プラグインハイブリッドカー)のみに補助金を出して普及に努めていることもあり、急速にEV・PHVの車の生産が増えている。

■もう一つのロボティクスはどう取り組みますか。

【小笠原社長】
ロボットというキーワードが変わりつつある。従来の産業用ロボットの垂直多関節やスカラなどをロボットと呼ぶだけでなく、動くものすべてをロボットと呼びだし始めている。

特に中国では複合機械の中にロボットを組み込み、一つの機械として登場してくることが予想され、中に入るロボットの形態も異なってくることになる。この流れは意外に速く10年で様変わりするかもしれず、そのために最初の3年間で仕込んでおく必要がある。

当社としては、これらの複合機械にサーボモータなどを、環境エネルギーにインバータを販売していく。ロボットは自動車などのように大量生産型では生産効率も上がり、品質も安定する。
ただ、日本には大量生産するものは少ないため、IoTやAIなどで駆使してロボットをインテリジェント化して、多能工化する必要がある。

■インダストリー4.0やIoTなど新しいものづくり構想の推進がなされていますが。

【小笠原社長】
これらの考えは作るものによって捉え方が異なり、IoTには製造業以外の部分も入ってくる。こうした点をしっかりと見ておく必要がある。当社も国内外で生産を行っていることもあり、これを今後どう展開していくかは常に考えている。

『安川版インダストリー4.0』では、サーボモータやインバータ、ロボットなどディスクリート製品を作る当社として、製品と生産ラインの二つの面をどう変えていくかである。『安川版インダストリー4.0』を生産ラインに導入して、当社製品を使った工場をショールーム化し、販売に活用していくために、入間工場(埼玉県入間市)やロボット工場(北九州市)を少しずつステップアップしていく。インダストリー4.0のキーワードはあるが、概念も変わってくるので、世の中に流れに合わせながら取り組んでいきたい。

■安川電機を今後どんな会社にしたいとお考えですか。

【小笠原社長】
創業100年を超えたが、次の200年につながるように、変化しながら過去の良いDNAを受け継いでいきたい。みんなが世界一などいろいろなこだわりを持ちながら、あまり規模を追わないで地に足の着いた身の丈にあった堅実な経営を続けたいと思う。

■ありがとうございました。

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