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多摩川精機 「長期視点で航空機に注力」 関重夫代表取締役社長

多摩川精機 関 重夫代表取締役社長

多摩川精機 関 重夫代表取締役社長

当社の2015年度は、特に民間航空機関連事業が大きな伸びを示した。ロボット向けサーボモータは、中国市場などを中心に好調に推移、これにハイブリッド車向けモータ角度センサも加わって、重点的に取り組んだそれぞれの事業は、一定の成果を収めることができた。市況としては、昨年中国の景気減速が騒がれたが、14年春ごろから変調は見えていた。

市場が巨大であることは紛れもない事実であるが、頼りすぎて国内企業の力が落ちてしまってはいけない。製造力を鍛え直して強くする良い機会だと感じている。

ただし、鍛え直すための投資対象を明確にする必要がある。国内では金融緩和が続き銀行の資金は潤沢なはずなので、政府はもっと投資の方向性を明示してほしい。

当社は、民間航空機関連事業に集中しているが、この市場は開発計画が集中しているここ数年が重要な時期になる。そこで昨年11月には民間航空機事業本部を立ち上げた。「技術開発」「製造」「営業」を1カ所に集約し、独立した事業部体制で、トップの迅速な判断と行動のもと、事業の拡大を狙いたい。

航空機分野は品質基準や参入障壁が高いが、ライフサイクルも長く、20年後には市場規模も2倍になるといわれている。MRJや、ホンダジェットなどにも当社製品が多数採用されており、今のがんばりで近い将来には、50~70億円規模の事業に育て上げたい。

また、昨年は宇宙分野でも、衛星「あかつき」の金星軌道への再投入成功や、「はやぶさ2号」の地球の重力を利用したスイングバイの成功など明るいニュースがあった。

これらにも当社製品が搭載されており、高い信頼性を証明することができたと実感している。今後も長期的な視点での投資を行い、強みを磨き、雇用確保を含め地域社会に貢献していきたい。