「イノベーション創出が重要」 一般社団法人日本電機工業会 津田純嗣会長

2016年1月13日

日本電機工業会 津田純嗣会長

日本電機工業会
津田純嗣会長

新年、あけましておめでとうございます。

経済産業省をはじめ、関係省庁、関連団体、会員の皆さまには、日ごろより当工業会の活動に多大なるご支援、ご尽力をいただき、心より御礼申し上げます。

2016年の年頭にあたり、謹んで所感を申し上げます。

昨年の日本経済は、夏以降の中国経済減速およびその影響を受けた新興国向け輸出の伸び悩みなどから景気全体としては横ばい状態で推移してきているものの、7~9月期の実質GDP成長率が前期比+0.3%とプラス成長に転じております。

今年は、中国、新興国の経済減速の影響は今しばらく続くと思われますが、円安傾向、原油安は継続する見込みであります。世界経済を、昨年末利上げを実施した米国がけん引し、日本経済として着実に景気回復に向かい、来年4月に予定される消費増税をしっかり実施していただき、東京オリンピック・パラリンピックに向かいさらに上向いていくよう、大いに期待しているところであります。

このような経済見通しの中、今年の電機業界の課題であるエネルギー・環境問題への具体的推進、電機産業としてのイノベーション創出、国際標準化、グローバル展開についてお話し申し上げます。

エネルギー・環境問題については、昨年大きな進展としてわが国の2030年における「エネルギー長期需給見通し」および「温暖化ガス削減目標」が決まり、その具体的施策の議論が進捗しており、電機業界としてもこの実現に対ししっかり取り組んで参ります。

最大限の導入を進める再生可能エネルギーについては、固定価格買い取り制度見直しに向けた意見提言、太陽光・風力・燃料電池など各システムの性能向上やコスト低減の推進に加え、蓄電池・電気自動車など含め運用が多様化する技術的課題にも引き続き取り組んで参ります。今後も大きな役割を担う火力発電については、世界最高レベルの高効率かつ環境負荷低減技術をさらに飛躍的に向上させる次世代火力の開発・実用化を加速させて参ります。原子力発電につきましては、昨年東日本大震災後初めて新規制基準をクリアした原子力発電所の再稼働が実現し、大きな前進を果たしました。引き続き福島第一原子力発電所の廃炉、汚染水対策、および産業界としての安全対策に継続して取り組むとともに、核燃料サイクル維持の重要性、放射性廃棄物処分の解決、競争環境下における原子力事業の在り方などに対する意見発信、そして原子力導入を進める海外各国への日本技術の提供を進めて参ります。

地球温暖化対策については、昨年末COP21において、全ての国が参加する20年以降の新たな枠組みである「パリ協定」が採択されました。電機業界と致しましても、産業界の一員として電機・電子業界の自主行動計画である「低炭素社会実行計画」の中で、「生産プロセスにおけるエネルギー原単位改善」、および製品貢献として発電プラント、または昨年4月に新たな省エネ基準が適用されたモータ、今年省エネ基準見直しが予定されている冷蔵庫などトップランナー制度も活用したCO2排出削減を進めて参ります。

次に、電機産業の成長戦略を実現する上で、イノベーションの創出が最も重要と考えております。課題先進国としてのわが国において、エネルギー・環境問題以外に、自然災害、テロ脅威に対する強靱な安全・安心な社会、高齢化・人口減少が進む中で健康で快適なライフスタイルをサポートする社会の実現に向け、世界に先駆けた高い付加価値の電機製品を創出し、お客さまの価値を最大化するサービス事業としての展開も進めていきたいと考えております。そのなかで、昨年は新たなモノづくり、サービス産業の革命として欧米で先行して進められている「IoT」、「CPS」そして「インダストリー4.0」に関する動きが国内でも一気に活発化しました。昨年12月に当工業会が主催したシステムコントロールフェアにおきましても、「スマートマニュファクチュアリング」をテーマに、さまざまな企画を盛り込みましたが、前回を30%以上上回る来場者を記録し、大変活発な意見発信・議論の場を提供することができました。今年は、これら議論をベースに、多くの業界を跨がる広い連携でのプラットフォーム構築、さまざまなユースケースの創出、国際標準化などの課題に対し具体的施策を推進して参ります。

成長戦略を実現する上で、国際標準化・グローバル展開も重要な課題です。当工業会では、電機に関する国際標準化活動並びに世界に通用する認証基盤強化の実現に向けた取り組みを積極的に推進しております。例えば白物家電では昨年2月に冷蔵庫の消費電力試験方法に関する日本提案が採用されたIEC規格が発行され、またASEAN各国でのIEC規格の採用を広げる活動にも取り組み、着実に普及拡大しております。

通商問題に関しては、昨年TPP大筋合意が実現し、参加国内での貿易円滑化や大幅な関税削減効果が見込まれ、電機業界にとって大きな一歩となりました。今後、TPPの速やかな発効に向けて各国の国内手続きが円滑に進むよう、また、これを契機に交渉中の日中韓FTAやRCEPなどが早期に締結することを期待しております。電機業界としては、公的資金支援の継続が世界的に合意された高効率新設石炭火力発電を含め、官民で連携してインフラシステム輸出を強化し日本の高性能・高品質な製品・システムのグローバル展開を拡大して参ります。

このように電機業界として、これらの課題にしっかり取り組んで参る所存であり、関係省庁や関係機関との連携のもと会員の皆さまと一丸となり、電機産業の発展、そして、日本の経済成長を確固とする年にしたいと思います。

最後になりますが、この一年の皆さま方のご発展と一層のご活躍を祈念致しまして、私の新年のごあいさつとさせていただきます。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。