操作用スイッチ、最新技術で市場拡大へ

2014年4月16日

操作用スイッチの市場が堅調に拡大している。産業用から業民用、民生用など幅広い領域で市場を形成しており、現状はこのすべてで伸長を見せている。今後は震災復興やインフラの再構築といった面からビルや設備向けなどの受配電機器、制御設備向けの需要拡大も大きく見込まれている。DC機器普及に伴う高電流操作用スイッチや、機器にマッチしたデザイン性に配慮したスイッチ、ツリー検索に最適な多機能スイッチといった新たな市場創出を目指した製品も出てきており、今後の市場拡大につながるものとして期待が高まっている。

機器や装置のインターフェイスを担う操作用スイッチは、電源の入り切りや制御方法の変更などを行う重要部品として使用されている。

主に産業用や業民用に使用されるスイッチの出荷統計をまとめている日本電気制御機器工業会(NECA)によると、操作用スイッチの2013年度(13年4月~14年3月)見込みは、前年度比108・0%の389億円としている。国内が同104・3%の287億円、輸出が同120・0%の102億円で、輸出が大きく伸びている。ただ、前年に比べ、為替が円安に振れたことによる数字の底上げがあることから、実際は数字ほど大きな差はないものと推定される。 

これに、民生用や車載用などを加えると操作用スイッチとしての市場はさらに大きくなる。

国内市場では、インフラ整備に伴うビルの新築やリニューアル投資が活発で、受配電機器向けのスイッチが好調だ。また自動車、スマートフォンなどの生産拡大で工作機械や半導体製造装置、部品実装機の生産が増加、比例して操作用スイッチの需要が伸びている。

■エネルギー関連で新市場

インフラ向けでは、上下水道や鉄道、交通システム向けで継続的な需要が出ており、さらにエネルギー関連でのソーラーや風力発電周辺のパワーコンディショナー、スマートメーター、電源・蓄電関連、充電スタンドといった新しい市場も生まれつつある。

市場の山谷が大きいアミューズメント機器向けも、13年度は堅調に拡大して市場を底支えしている。

そのほか、ロボット関連、医療機器、セキュリティ機器なども着実に拡大を見せている。

操作用スイッチは、押しボタン、照光式押しボタン、セレクタ、カム、トグル、ロッカー、フット、多方向、デジタル・DIP、シートキーボード、タクティルのほか、イネーブルやセーフティなど安全関連で、多種多様なスイッチが使用用途によって使い分けされている。

■小型・薄型・短胴化進む

用途で使い分けされることからスイッチの機能そのものには大きな変化は見られない。それでも小型・薄型・短胴化が顕著で、安全性、信頼性、保護構造、デザイン性などの向上が進んでいる。

中でもデザインと保護構造の進展は著しい。機能を果たせば良いとされていた操作用スイッチであるが、最近は搭載機器とのマッチングを重視する傾向が強まってきている。スイッチ筐体をメタル調の素材にすることで、樹脂素材と一見異なるような風合いにして、機器全体の高級感を演出しようとしている。筐体だけでなく、表面も操作部分も鏡のような状態にすることで、機器が稼働していない時のデザイン、稼働している時のデザインといったように、使用している周囲環境に配慮した製品も発売されている。

■著しいLEDの高輝度化

押しボタンスイッチでは、操作部分の高さを抑えた薄型タイプが浸透している。薄いことによるデザイン性の良さだけでなく、凸凹の少ない操作パネル面は、食品機械や半導体製造装置においてゴミや埃の付着を防ぐとともに、パネル面の突起部分を抑えることで誤操作などの危険性を低くする目的もある。

表示灯とスイッチが一体化した照光式スイッチは、スペース性の良さから操作用スイッチの中で最も使用されているが、ここで使用されるLEDの高輝度化も著しい。LEDは高輝度、長寿命、低消費電力が大きな特徴であるが、特に低消費電力は大きな魅力で、装置全体でスイッチを多数使用する場合、メリットが大きい。高輝度LEDの開発で視認性が向上し、また、少ないLEDチップ数でも輝度を確保できることに伴い、スイッチの薄型化や小型化をさらに進める効果につながっている。

光源はLEDだけでなく、液晶や有機ELなどの採用も増えてきている。ここでは光源というよりは、文字や数字、キャラクターなどのメッセージを表現することに利用している。一つのスイッチの表面に表示されるメッセージなどが操作するたびに内容が変わることで、限られたスペースの中で、多機能な伝達が可能になる。

■ディスプレイとして機能

さらに動画なども表示できる機能を内蔵することで、スイッチがディスプレイとして機能することにもなる。この種のスイッチは、今までは集合して使用しても個々に独立した表示であったが、最近開発の有機ELスイッチでは、複数スイッチを集合してひとつの画面として表示する時のスイッチ枠を大幅に細くしたことで、違和感のない大きな表示画面を実現している。今後のアプリケーションによっては面白い活用ができる。

タクティルスイッチは、プリント基板に直付けし、シートキーボードスイッチやパネルスイッチなどと組み合わせて使用することが多く、特に携帯電話の多機能化に伴い、需要が拡大している。低背化、インチピッチを採用した端子が特徴で、丸洗い可能な密閉構造や照光タイプなどもあり、確実な操作感が得られる。

DIPスイッチやデジタルスイッチは、OA・情報・通信機器などで数多く使用されている。中でもDIPスイッチは、一般的に一度設定するとその後はあまり操作しないことから、接触信頼性の確保が求められる。ナイフエッジ構造などにより、フラックスなどの浸入による接触不良の解消を図るとともに、プリント基板実装後の洗浄もシールテープなしで可能である。

ロッカースイッチは、電源のON―OFFなどに良く使われる最も一般的なスイッチ。比較的大電流の入り切りを行うため、操作時の突入電流による接点やハウジング対策が重要となっている。機器の小型化が進む中で、シーソースイッチの小型化も進んでいる。同時に屋外や環境の悪いところでの使用に対応して、防塵・防水対策を施した製品も増えている。

ソーラー発電や充電スタンドなどの普及に伴い、DC(直流)機器が普及している。シーソースイッチもこうした用途での使用が多いが、DC12Vや24Vといった定電圧ではさほどスイッチは問題にならないが、DC400Vや600V、さらには1000Vといった高圧なDC機器のスイッチの開閉で、大きなアークの発生など接点への負荷が大きくスイッチの構造に高度な技術が求められる。材質や回路設計など、各社が工夫を凝らした開発に取り組んでいる。

トグルスイッチは、IP67相当の保護構造を実現しており、水のかかる用途でも高い信頼性で使用できるようになっている。

操作レバーを全面照光式にした製品もあり、暗い場所でもON・OFFが操作レバーの位置で確認できる。一部のトグルスイッチやスライドスイッチは、スナップアクション方式を採用。クイックな動作で出力の安定を図り、接触信頼性を高めると同時に長寿命化を実現。

多方向スイッチは、1本のレバーで多くの開閉が可能で、細かな操作を行う用途に最適である。

カムスイッチは、多くの回路とノッチが得られるため、複雑な開閉などに対応できる。用途によって操作開閉頻度に大きな差があるため、接触信頼性の確保が最優先で求められている。

■防浸・防水性能が向上

フットスイッチは防浸・防水性能が向上して、水中での使用や、医療分野、食品分野でも安心して使用できる。安全操作の面でも、3ポジションタイプのほか、安全ロックレバーを搭載したタイプや、ペダルの高さを低くしたタイプなどが出てきている。同時にワイヤレスタイプのフットスイッチも注目されている。Bluetoothなどを使用し、スイッチの配線をなくしており、医療現場などたくさんの機器が使用されている中で、ケーブルがあることによるトラブルを防げる。

操作用スイッチは成熟市場と言われながらも、最新の技術を取り入れながら市場拡大を図ろうとしている。市場のグローバル化で今後、各国のローカルニーズに合わせた開発が進んでいき、さらに多様なスイッチが開発されることが予想される。全般的に単価の下落があるものの、こうした新機軸のスイッチの開発がスイッチ全体の市場拡大につながることが期待されている。