堅調な回復見せるFAセンサ 半導体・電子部品実装分野で安定した需要 高伸長の継続が期待される新興国向け ますます期待高まる3品分野保護特性IP69K製品登場 開発進むMEMSセンサ非FA分野での用途開拓顕著

FAセンサの市場が堅調な回復を見せている。特にリーマンショック後、急減していた半導体・液晶製造装置分野、自動車関連分野、工作機械分野、電子部品実装分野などが急回復している。日本電気制御機器工業会(NECA)の検出用スイッチの出荷統計も、2009年度は前年比14・2%減の824億円であったが、10年度は上期(4~9月)が前年同期比72%増の577億円と大幅増で、第3四半期も同21・9%増と堅調な動きを示している。輸出も中国・アジア向けや新興国市場向けに好調に推移している。製品傾向では、MEMS技術搭載のセンサが注目されているほか、太陽光発電システムなど新エネルギー分野、さらにスマートグリッド分野などに向けての製品開発が活発化している。
FAセンサ市場は、昨年からの半導体・液晶製造装置、自動車関連、電子部品実装関連などでの設備投資を背景に、堅調な回復を見せている。

関連市場の動きを見ると、日本自動車工業会による10年(1~12月)までの四輪車の生産台数は、同21・3%増の962万台で、3年ぶりに前年同期を上回った。また、輸出も同33・8%増の483万台で2年ぶりに前年を上回っている。半導体製造装置は、日本半導体製造装置協会による日本製同装置の受注額のBBレシオでは、一昨年6月以降1・0以上を維持しており、高水準で推移している。工作機械の受注は、日本工作機械工業会の受注統計によると、10年の累計額が同137・6%増と大幅な伸びを示し、9786億円となった。今年1月の受注総額も前月比5・6%増、前年同月比89・4%増となっており、依然として好調に推移している。

ロボット関連市場は、日本ロボット工業会による10年10~12月までの生産額が、前年同期比93・8%増の1207億円で4四半期連続のプラス成長が続き、受注額も5四半期連続でプラス成長となっている。国内出荷は、自動車産業向けが同90・4%増でほぼ倍増、電子・電気機械産業向けも同71・0%増で4四半期連続プラスとなっている。

食品・医薬品・化粧品の3品業界は、依然として堅調な動きを見せており、食品や医薬品などの製造ラインには各種の認識・識別センサの採用が拡大しており、各センサメーカーでもこうした分野に向け、新製品を積極的に投入している。

太陽光発電関連の動きも活発化している。全国の公立小中学校に太陽光発電の導入を図るという施策に対応した動きや、電気事業連合会や日本電機工業会などの太陽光発電関連団体が、太陽光発電の普及拡大に向け積極的な活動を開始している。電力会社が本格的な太陽光発電所建設に動き出しているほか、公共施設、工場、ビル、倉庫、大規模店舗、ソーラーハウスなどで太陽光発電システム導入に向けた動きが活発化しており、FAセンサ分野にも大きな需要が見込まれている。

FAセンサの代表的製品といえる光電センサは、LEDや半導体レーザを光源にした非接触センサで、検出方式は透過型、回帰反射型、拡散反射型などがある。長距離検出には透過型が最適である。回帰反射型は、透過型で必要だった投光部と受光部の配線が不要で、配線工数や設置工数を半減できるメリットがある。そのほか超小型ヘッドで取り付けスペースが小さいアンプ分離型、DC電源で使え応答速度が速いアンプ内蔵型、AC電源で使え取り扱いが容易な電源内蔵型、取り付け場所を選ばず微小物体も検出できる光ファイバー式などがある。FA分野では、隙間などにも取り付けられ、光ファイバー部を交換するだけで様々な用途に対応できる光ファイバー式のアンプ分離型の需要が多い。

半導体や液晶製造装置では、微小物体検出用として、高精度、ローコスト、取り扱いやすいなどの理由から光電センサの使用個数が増加、大きな市場を形成しており、小型化と長距離検出、高い保護特性などが著しく、検出距離50メートル、保護特性IP69Kといった製品も登場している。

食品機械などの光沢検出、包装機械などでのマーク検出といった分野では、より精度の高い検出を実現した製品の開発が進んでおり、カメラ、照明、カラーモニターを一体化したローエンドセンサの需要が伸びている。同センサは、色面積や印字有無判別、シール有無判別、シール異種混入判別、文字認識などが容易に行える。

化粧品・薬品・飲料・食品などの3品業界では、このようにユーザーのニーズに合わせた用途限定センサ、提案解決型センサなど専用センサの需要が高まっており、余分な機能を省くことでローコストを実現している。食品分野は製品安全対策向上の観点から、トレーサビリティを念頭に置いた需要が高まっている。

最近の光電センサは、オートチューニングなど使いやすさを追求した機能が一般化している。また、多点制御や差動検出など入光量をアナログ的に制御できるアナログ出力の光ファイバ式光電スイッチなどもある。新しい機能であるデュアル感度補正機能は、ファイバー先端に汚れによる光量低減が生じても自動的に感度を補正するだけでなく、先端部の清掃を行った後も自動で元の感度に復帰するもので、再ティーチングの必要がないという特徴を持つ。

あらゆる対象物のインライン形状計測を実現した2次元形状計測センサは、帯状に広げたレーザ光を対象物に照射し、その反射光をCCDで撮像し、断面形状を計測する非接触型センサで、撮像情報から形状のプロファイルを生成し、対象物の断面形状(2次元形状)から、高さ・段差・幅・位置・交点・傾きなどの寸法形状を瞬時に計測する。

水検出センサでは、検出能力向上で従来10mWだった出力を100mWに引き上げており、不透明容器内の水、及び水を含む液体を確実に検出することができる。

近接センサは、耐環境性が良く、高温・多湿、防爆雰囲気、水中など、他のセンサに比べ独自の特徴を有し、工作機械、ロボット向けなどを中心に使用されている。最近では、振動や衝撃による緩みを防止できるタイプや、6ミリ角の超小型タイプ、オールメタルタイプなども増え、金属体、非金属体の混流ラインでも使用できる。検出距離は、数ミリから数10ミリが一般的だが、300ミリぐらいまで対応できるタイプが製品化されているほか、リニア近接タイプでは検出距離を0、50、100ミリと調節することができる。近接センサの磁気検出方式を応用したものでは傾斜センサがあり、磁気式のほか光式、メカニカル式などがある。超音波を利用し、液晶のフィルム基板や透明シートのエッジ検出を行うエッジセンサも開発され、アプリケーションが拡大している。可飽和コイルを用いた磁気センサでは、高感度であることからケースに厚みを持たせることができるので、防水仕様のセンサに応用した場合、ケーブル引き出し部に工夫を凝らすことで、最大耐圧仕様が9・8MPa・1000メートル防水が保証できる技術を確立。さらに特注仕様では19・6MPa・2000メートル防水以上も可能としており、センサとしてさらなる可能性が拡大している。

安全対策用センサは、エリアセンサやマットスイッチ、ライトカーテンなど、接触式、非接触式など多様なセンサが使用用途に応じ使い分けされている。さらに防犯対策の高まりから、各種の防犯用センサも伸長している。安全センサの応用製品で、外部ハウジングにテープスイッチを内蔵したセーフティエッジセンサは、エレベーター、車両、住宅ドア、高速シャッタードアといった自動ドアや、各種機械類の挟まれ防止、医療機器などの非常停止、無人車両などの衝突感知センサとして採用が増えている。

ロータリーエンコーダーは、回転角変位をデジタル量に変換するセンサで、工作機械、加工機械、ロボット、半導体製造装置、検査装置などのセットメーカーのほか、自動車関連、電気・電子、機械・精密の生産ライン向けも堅調に推移しており、車載関連や建設機械、防爆関連、介護用ロボットなど新規需要も拡大。
圧力センサは、小型・軽量化、使い勝手の良さ、低価格化、耐環境性や温度特性の向上などの改良が進んでいる。ミストを含んだ空気、水、油などの流体や、使用環境を選ばないハイエンド圧力センサなども登場し多分野で採用されている。半導体抵抗素子や静電容量素子を用いた電子式圧力センサの需要も増えている。

レベルセンサは、液面や粉体面が設定レベルになった時に信号を出力するセンサで、一般的にタンクや容器内の内容物のレベルを検出する用途が多いが、河川や湖沼の水位・水量測定、下水や排水の液面測定などにも利用される。最近では、災害防止の観点から設備を強化する取り組みが行われており、レベルセンサが重要な働きをしている。さらには、自動車などのオイル系統の管理や、外食産業などにも採用され、用途が広がっている。レベルセンサに温度センサを内蔵して一体化することで、スペースの削減とトータルコストの低減を実現したものも注目されている。

ロボット関連では、知能ロボット向けにレンジ(測域)センサの需要が拡大している。レンジセンサは、周囲の障害物などの状況をレーザ光で対象物までの距離を測定し把握するセンサとして、270度の視野に対して自分を中心とした平面地図のような測域情報を得ることができる。長距離で高感度の検出が可能で、最近では立体駐車場での車両のはみ出し検出や、トンネル前における車両の高さ検出など、様々な分野に用途が拡大している。ロボットアームなどを中心に動き続ける運動体の角度や角速度が容易に検出できるジャイロセンサ内蔵のスイングセンサなども発売されている。

FAセンサの堅調な市場として物流業界も挙げられる。物流業界はFA分野と非FA分野両方の領域を兼ね備えており、バーコードリーダーやRFIDなど、自動認識関連のFAセンサ需要が拡大している。

また、非FA分野では、有料道路のETC(料金自動収受システム)や、鉄道などICカードを採り入れた自動改札システム、さらに、各種防犯設備などで市場が拡大している。特に各種の赤外線を使った人体検出センサは防犯効果が高く伸長が著しい。

MEMS技術を応用したセンサでは、フローセンサ、加速度センサ、非接触温度センサなどが登場している。フローセンサの場合、外乱の影響が少なくなり、高速応答を実現している。また、高感度のMEMS非接触温度センサは、広い空間でも人のセンシングが可能で、照明環境に強く静止している人もセンシングする。従来比7倍の高感度化でセンシングエリアも7倍に拡大。店舗や駅構内など、人の混雑状況をリアルタイムにセンシングすることで空調制御などのほか、防犯対策に活用できる。最近では、製造ラインやエアコンなどの機器、さらに自動車などから発生する音や振動エネルギーの異常振動を察知し、不良品の検出や予知保全に応用するMEMSセンサシステムも開発されており、FAセンサに求められる可能性がさらに拡大している。

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