植物由来素材製品開発 ますます多様化する冷却方法 省エネ、環境対策と運動で展開 ソリューション提案を強化

システムラックには、サーバラック、ネットワークラックなどがある。サーバラックとはサーバ・ストレージなどを収納するためのラックで、ケージナット対応のマウントアングルが前後に装備され、ラックマウントタイプのサーバを確実に固定できる。

ネットワークラックとは、LAN構築用のネットワーク機器(パッチパネル・HUB・スイッチ・ルータ等)を専用に収納するラックで、外装パネルの取り外しやオプションによる配線処理を考慮した仕様になっている。

ラックなどの使用目的にあったものをホームページ上で簡単に選定できるサービスの提供、穴あけ加工を含めて供給する短納期体制などに注力しているメーカーもある。EMC対策にもメーカーは積極的である。電磁シールド付きなど品種をそろえている。

地球温暖化対策に結びつく、二酸化炭素排出量削減に有効な植物由来材料を活用した製品も開発されている。ポリ乳酸樹脂は、トウモロコシ、サツマイモ、サトウキビなど植物性の材料から抽出された乳酸から作られるもので、燃やしても二酸化炭素の排出量が少なく、堆肥などの中では約1週間で分解される。この樹脂を、通信機器などを収納するプラボックスのカバー・ボディーに利用する動きもある。

キャビネットの標準化推進に向けては、業界団体を設立した活動も行われている。電機・電子用機器を収納するキャビネットに関し、技術の向上並びに標準化を目的として、キャビネット及び関連パーツを製造販売する会社が中心となって設立されたキャビネット工業会では、キャビネット工業会規格「CA100」を制定している。低圧用の電機・電子機器等を収納する屋内及び屋外に使用される汎用の金属製キャビネットの引用規格、用語の定義、使用状態、種類、構造、材料、保護性能、機械的性能、耐候性、塗膜の機械的性質、耐熱性、耐寒性、構造試験、吊り上げ試験、耐震強度試験、電気的接続確認試験などについて細かく規定している。

同工業会では、地球環境問題へ国際的関心の高まる中、有害物質による環境汚染への取り組みを指針として明確にし、地球環境負荷軽減を推進することを目的に環境指針も定めている。

これは、低圧用の電気・電子機器等を収納する屋内及び屋外に使用される金属製キャビネットのうち、汎用目的のキャビネットに適用するもの。電機・電子機器を収納するためのキャビネットは分電盤、制御盤、弱電機器収納など使用目的も幅広く、設置場所も身近な家庭から学校、オフィス、病院など人の生活するあらゆる環境に設置されている。使用後については廃棄、リサイクル化など今後社会的に高まるであろう動向への考慮も必要になってくる。そのため、各種規制、基準に対しても例外でなく、これらの環境問題に積極的に取り組んでいく必要が出てくる。

キャビネットとしてこれら規制の対象になるのは、塗料の顔料に含まれる鉛、ねじなどの部品や鋼板のメッキ処理に含まれる六価クロム、合板から発生するホルムアルデヒドなどが考えられる。これら有害物質の削減にあたっては、各メーカーとも簡単に変更が出来るものではなく、対応するための関連企業などの代替技術構築や供給能力、代替技術がキャビネットに求められる性能を満足しているかの検証活動、また設計変更することによる部品のコストアップなど企業としては多くの負担となることが想定される。

しかし、工業会としては地球環境の保全や市場のニーズへの対応だけでなく、顧客に安心して選定、使用してもらえる製品を提供することを目的に、前向きに対応していくという。

キャビネット・ボックス、ラックは、単体だけでは、付加価値が付けづらく、価格競争になりがちである。このため、これらのメーカーはトータルシステム受注やソリューション提案活動を強めている。

キャビネット・ボックス、ラックを取り巻く周辺環境が年々複雑になってきていることが背景にある。
各社の技術ノウハウが
結集するデータセンター

その典型として挙げられるのがデータセンターだ。データセンターはコンピューターに集まった団地であるだけに、厳密な情報管理と24時間連続して稼働できることが求められる。企業のBCP(事業継続計画)策定上からも重要な要素となっている。データセンターは、防犯上のセキュリティ対策に加え、熱対策、地震対策、ノイズ対策など多岐にわたる信頼性が求められる。しかし、一方で省エネなどの環境面への配慮も必要なことから、いまコンピューターサーバーメーカーやラックメーカーが最も開発に力を入れているのが、この部分となっている。コンピューターサーバーの低消費電力化、ラックシステムの効率的な冷却方法への取り組みが進む中で、筐体メーカー各社は冷却方法の開発に意欲的に取り組んでいる。

ファンだけでなく、クーラー、水冷など冷却方式には各種あるが、それぞれの方式に特徴があることから、用途に応じて使い分けが行われている。同じ冷却方式でも、効率的な冷却のために、局所的冷却や2方式の併用など工夫も進んでいる。

一方、細かな部分であるが、筐体周辺のアクセサリーの充実を図って違いをアピールする動きも目立つ。ケーブル保護用のラバーやラックの密閉性を確保する部品など、筐体の機能をより引き出すことに繋がってくる。

市場が急速に回復を見せる中で、キャビネット・ボックス、ラック各社は、納期対応を確実に実行できる体制確立を強めている。

同時に現在の市況を外需が牽引していることに呼応して、海外への販売、生産、サポート体制確立も見据えつつある。

今後グローバル化がますます進むことが予想されており、国内、海外メーカーのアライアンスも具体化してくることが予想され、キャビネット・ボックス、ラック市場は新たな段階に入ってきそうだ。

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