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これからの現場の技術者の役割・仕事とは?ものづくりを作る人になれ!

工作機械や産業用ロボットをはじめ、生産設備、産業用機械の進化は著しい。最近は操作性や使いやすさを高めて、誰でも簡単に動かすことができるようにするのがトレンドだ。差別化の本丸は、速度や精度といった機械の基本性能の高さから周辺の性能へと移っている。人手不足で熟練者が減り、それでもこれまで通りかそれ以上の生産を続けなければいけないなかで、そこを機械でアシストしたり自動化したりするのは当然と言えば当然のこと。とは言え、機械の高度化によって誰でも簡単に熟練者のように作業ができるようになるなら、現場の技術者の未来はどうなるのか?何を目指せばいいのだろうか?
機械の性能が上がって誰でも高精度に作業ができるようになる、またはAIやロボットで事が足りるのなら、人が現場で働く意味はない。また苦労して技術を磨く意味もない。これに対し、よく識者と言われる人が「これからは人の特性を活かしてクリエイティブな仕事をするようになる」という主張をしているが、クリエイティブな仕事って具体的に何だ?その仕事でどうやって企業は利益を上げ、ビジネスを拡大していくのか?識者からその答えが明言されることはなく、耳ざわりの良い曖昧な言葉で逃げているのが現実だ。
しかし、その答えは明確だ。現場の技術者のこれからの役割は、単なるいち作業者から脱却し、「その時々に応じた最適な工程を作る人」になることだ。ただひたすらに製品を作っていればいい時代は終わった。顧客の要望に応じた製品を作る、カーボンニュートラルに向けてエネルギー消費を少なく製品を作る、事故なく安全に作る、不良を出さずに効率的に作るなど、顧客や市場、社会情勢刻々と変わっていて、考慮すべき要素も多く複雑になっている。その時々の変化に合わせて、気づき、発想し、最適な工程へと作り込んでいく。これは現場の技術者でなければできないこと。今の製造業に不足していて、これからに必要なのは「ものづくりを作る人」、いわゆる生産技術部門の充実だ。ものづくりは現場が支えている。その現場を構想し、作ったのは生産技術。生産技術の拡充と進化が、現場の人手不足を解消し、生産性を高め、企業の競争力を強化するのだ。