FA・電機制御・機械主要商社 2022年度1Q決算まとめ 12社中8社が増収増益 自動化需要は継続中。唯一の懸念は納期遅延

FA・電機制御・機械の主要商社の2022年度第1四半期決算が出揃った。12社中8社が増収増益となり、うち6社は売上高・純利益ともに10%以上の伸びとなった。FA・生産財関連事業は、製造業の設備投資意欲は依然として高く、受注は好調。しかし納期遅延による機会損失が多く発生し、いち早い回復と正常化が望まれる。

2022年度1Qの経営環境

1Qの経営環境は、世界経済はコロナ禍から回復途上にあるが、ロシア・ウクライナ情勢の悪化、中国のロックダウン、原材料価格の高騰と半導体不足等による納期遅延等の逆風もあった。そんななかで製造業は国内・海外ともに自動化・省人化への需要は高く、設備投資意欲も強さを継続。特に自動車のEVと脱炭素関連、半導体と半導体製造技術関連、物流関連は熱く、それら関連需要は好調を持続している。しかしながらFA機器の納期遅延が足を引っ張り、特にPLCやコントローラでは深刻な状況が続いている。

各社のFA事業は好調

山善は増収減益。

生産財関連では、国内機械事業は自動車産業で脱炭素化に向けた設備投資が戻りつつあり、半導体製造技術や建設機械の部品加工向け等で工作機械の受注が伸長。海外でも受注・販売は好調。北米の医療・航空・石油産業等で設備投資が伸び、台湾はEMSが一服したが、全体の設備投資は堅調。中国はロックダウンがマイナス影響となったが、半導体・電子機器産業向けの切削・補要工具やメカトロ機器等が好調に推移。ASEANはEVの設備投資が順調で工作機械・工具共に堅調に推移した。

因幡電機産業は増収と大幅な増益。

産業機器事業は、デジタル関連需要や自動車業界のEV関連投資などの拡大を背景に半導体関連向けの販売が好調だったほか、製造業を中心とした設備投資が堅調で制御機器と電子部品の販売が増加した結果、売上高89億3700万円(13.7%増)となった。

菱電は大幅な増収と大幅な増益。

FAシステムは、半導体製造装置や工作機械など装置メーカー向けの需要が
好調。自動車関連を中心に製造業の設備投資案件も持ち直しがあった。一方で、半導体や材料不足、原材料の高騰などによりサプライチェーンの混乱が続き、PLCやインバータ、ACサーボ、CNC等主力取扱商品の納期長期化の影響を受けた。

立花エレテックは大幅な増収と大幅な増益。

FAシステム事業は、FA機器は半導体製造装置関連や物流関連等の設備投資は好調で、PLCや配電制御機器が堅調に推移。一方で海外でのロックダウンや半導体不足による部材納期の影響を受け、インバーター、ACサーボが減少。産業機械では、補助金効果によりレーザー加工機、放電加工機が大きく伸長。産業デバイスコンポーネントでは、子会社で接続機器等の販売が好調に推移し、タッチパネルモニターも大きく伸長した。

萩原電気ホールディングスは、大幅な増収と大幅な増益。

ソリューション事業は搬送・半導体設備関連の顧客の生産が好調に推移して組込分野での売上が増加。事業売上高は、53億5100万円(13.8%増)、営業利益は3億3900万円(80.2%増)となった。

サンワテクノスは大幅な増収と大幅な増益。

半導体と自動車、電子部品、産業機械等の市場の設備投資が積極的に行われ、半導体など部材の供給不足による生産影響を考慮した先行手配などが追い風となった。

日伝は大幅な増収と大幅な増益。

原材料コスト増やサプライチェーンの混乱、基幹部品の長納期化等の影響もあったが、強みである物流機能を活かした部材調達の改善や生産管理の効率化等、積極的な提案活動に取り組んだ。また6月には「FOOMA JAPAN2022」に出展し、食品製造向けのソリューション提案を進めた。

たけびしは大幅な増収と増益。

産業機器システム分野では、FA機器が半導体製造装置関連向け、産業メカトロニクスが5G関連向けで増加。さらに同社グループに加わった東南アジアでの電子部品・機器販売事業を展開するLe Champグループが装置システムの売上増に寄与した。半導体・デバイス分野では、食品関連及びパワーコンディショナー向け半導体の増加と、Le Champグループが寄与した。結果、FA・デバイス事業は、売上高172億6400万円(37.5%増、)、営業利益6億9100万円(15.8%増)となった。

カナデンは減収ながら大幅な増益。

FA分野は、緩やかに回復する設備投資により需要は増加しているが、半導体不足による納期長期化の影響によってコントローラやインバータが低調に推移。産業メカトロニクス分野は、レーザ加工機が案件増加して堅調。産業システム分野は、プラント設備機器や計測機器が堅調に推移して増加。FAシステム事業としては、2億3700万円の増収となり、経常利益も6900万円の増益となった。

スズデンは大幅な増収と大幅な増益。

電気機器・電子部品・産業機械業界で半導体等の部材不足の影響による供給懸念から一部で前倒し受注が増加し、1Q末にかけて商品入荷量が増加したことで好調に推移。FA機器はRFID、PLC、リレー、制御盤等が増加し、売上高は93億8700万円(18.2%増)と好調だった。

藤井産業は減収減益。

工場・生産現場向けの産業機器・生産部材を扱うインフラソリューションズカンパニーでは、産業システム事業は医療機器・半導体関連、各種製造装置メーカーを中心に設備更新需要が堅調となり、売上高は前期を上回る結果となった。

明治電機工業は減収減益。

自動車ビジネス強化に向けた体制整備、カーボンニュートラル、エンジニアリング事業強化などに努めるなか、1Qは受注は堅調だったが、半導体・部材の供給制約の影響で納期遅延が発生し、販売が減少した。

EC各社は好調持続

トラスコ中山は増収減益。

在庫施策と客先での置き工具MROストッカー、顧客とのシステム連携等で増収だったが、従業員の生活支援のための臨時賞与や販売費・一般管理費の増加によって減益となった。
モノタロウは大幅な増収と大幅な増益。
WEB広告の出稿やSEO対策、DM、カタログ発刊・送付等の販促活動による新規・既存顧客向け施策、WEB上の取扱商品数の増加、物流基盤の整備等を行い、4−6月機関で63万6978口座の新規顧客を獲得した。

ミスミは増収減益。

中国のロックダウン影響を大きく受け、中国の設備投資と工場稼働の低迷によって売上数量が減少。さらに原材料費と輸送費高騰があり、為替効果はあったものの吸収しきれなかった。

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