DXの本質

2020年7月29日

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がはやっているが、定義は各社さまざまで実態をつかむのが難しい。しかし先日、東芝デジタルソリューションズの島田太郎社長の就任会見のなかでDXについて興味深いコメントがあった。

いわく、DXで重要なのはビジネスモデルそのもの。ソフトウエアを使うかどうかは関係ない。既存の顧客とずらすことが大事。ハードウエアを売らず、サービスを売る。お客さまの仕事を奪うことを考えていこうというものだ。

ソフトウエアは関係ないと言いつつも、実際にはデジタル技術、CPSをフル活用して新しいビジネスに挑戦し始めている。それでもデジタル技術はツール、目的は収益力強化という姿勢が明確に伝わってきた。

 

DXというと、モノ売りからコト売りへ、製造業のサービス化、劇的な変化(トランスフォーメーション)といったお題目で、現在のビジネスモデルを否定し、新しいものに変えていかなければいけないという論調が強い。しかし実際には、現段階ではDX関連サービスの収益は既存事業の数%にも満たない。まだまだ微々たるものであり、これから育てていくもの。

いま企業として正しいのは、収益が上がっている既存のビジネスはそのままに、新たな商材で新たな価値を提供し、新たな顧客層を広げていくことだ。本業を守りつつ、新たな領域に踏み出し、育て柱とする。既存事業を変えることが目的ではなく、既存事業と新規事業を含めて収益を上げる。そのための最も有効なツールとしてデジタル技術があることを今は忘れてはいけない。

 

DXの本質を丁寧に表すと、デジタル時代に合わせた収益体制、ビジネスモデルへと自社を変えていくことだ。だからといってサブスクリプションやシェアだけが正解ではない。例えば町工場が自社技術を生かして作った小物をSNSを通じて販売するといったことも立派なデジタル時代の新サービス。

ビジネスモデルはモノ売りのままでもパートナー企業と組んで新たな価値を提供してビジネスモデルが強固になればそれもDXだ。

デジタル技術を導入したり、サービス化をしても収益につながらなければ意味がない。企業の本質は収益を上げ、経営を継続すること。DXでは既存事業を大事にしながら、新たな収益の柱をスピード感をもって作っていくことが大切。それを忘れてはいけない。