シュマルツ マテハン作業の負担軽減、搬送アシストという選択肢

2019年11月6日

重量物の搬送・ハンドリングは、人がやりたがらない重労働。ロボットで作業を代替させようという動きがあるが、導入ハードルが高かったりする。人手とロボットの中間となる半自動に位置し、それほどのコストをかけずに重労働を解決できるのが、真空バランサーなどのアシスト(助力)装置だ。

工場や倉庫内にあふれる重量物は箱物や袋物に限らず、板材など形も大きさもさまざま。アシスト装置はそうした違いにも柔軟に対応し、マテハンの作業性向上に加え、人手不足への解決策として有力な選択肢だ。

 

手動搬送営業部課長 山内大輔氏

「当社の真空バランサーは300キロまで運べる」

 

人手不足で高ニーズに

工場や倉庫内のあらゆる工程でマテハン作業があるが、入出荷などメインの工程以外や中小企業では、今も人手に頼っているケースがほとんど。特に重量物搬送は単純作業な上、重いワークで腰を痛めたり、精神的負担が多く、作業者からは嫌厭されがち。人手不足が深刻化しており、その対策が急務となっている。

重量物のハンドリングをサポートする装置はいくつかあり、昔から工場内物流や倉庫では採用されてきた。真空や電気式の各種バランサー、ホイスト・チェンブロック、ロボット、アシストスーツなど。それぞれに特長があり、利用シーンに合わせて適切なものが選ばれてきた。

例えばバランサーとホイスト・チェンブロック。両方ともワークを吊り上げて目的地まで移動させ、人の作業負荷を減らす製品だが、バランサー、特に真空バランサーは動作の速さに優れている。ワークに接すると瞬時に助力され、早いサイクルで搬送が可能。真空パッドで箱物や袋物を吸着できるほか、フックで引っ掛けたり、グリッパーで把持したりとハンドリングの種類も豊富。数十キログラムから100キログラム超の重量物を何度も繰り返して搬送するようなシーンに適している。

 

一方のホイスト・チェンブロックは、動作スピードこそバランサーに劣るが、より重いワークを得意とする。ハンドリング方法は真空バランサーと同様、豊富にあり、さらに金型のようなワークに対しても玉掛けして対応ができるというメリットがある。

真空機器メーカーでアシスト装置も取り扱うシュマルツ手動搬送営業部 山内大輔課長は「当社の真空バランサーは300キログラムまで持ち上げて運ぶことができ、1時間に100回以上も動作するような用途ですでに使われている。国内でもすでに当社の製品だけで1500台以上の納入実績があり、競合他社も合わせるとかなりの台数が使われている」とし、さらに「これまで人手で頑張っていた現場が多く、人手不足になって何とか解決策はないかという企業が増えている」という。

 

世界のトップメーカー

ロボットへの関心の高まりとともに、これまで人手でやっていたマテハン作業をロボットで代替したいという企業が増えてきている。また作業員が装着し、力を補助するアシストスーツも注目されている。重量物搬送の効率化ツールについて、人手からロボット・アシストスーツへと目が向きがちだが、山内氏によるとそこには難しさもあるという。

「ロボットはコストが高い上に、設置・稼働スペースを大きく取り、安全柵で区切らなければならず、導入ハードルは高めだ。また実際に使い始めた後の運用で、動きを変えるためのティーチングやメンテナンス・トラブル時の対応は、一定の研修を受けた人以外ではできない。そうした制約もある」と指摘する。

それに対してアシスト装置の場合、導入コストはロボットシステムの半分か3分の1程度で済み、特別な資格や免許はいらず誰でも使うことができる。機械に詳しくない人でも直感的に使いこなすことができるという。

「当社の場合、最も標準的なパッケージで200万円くらい。工事とアフターサービスは当社が行い、導入と運用のしやすさはロボットとの大きな違いだ」

 

またアシストスーツに対しても、「アシストスーツは人の手の届く範囲という制限がある。一方でアシスト装置は、板材やガラスのような巨大なものであっても吸着して自在に取り回しができる」という。

同社は真空機器のグローバルメーカーで、アシスト装置では真空バランサーと、ホイストやチェンブロックの先に取り付ける真空吸着式吊り具を開発・製造している。この分野で30年以上の歴史があり、販売実績は世界トップクラスだ。

真空バランサー「Jumbo」は最大300キログラムで可搬でき、5種類の操作ハンドルと、ワークに接するアタッチメントを豊富にそろえている。袋の素材や形、大きさなどアプリケーションに応じて、吸着パッドやグリッパー、フックなど最適な組み合わせを選ぶことができる。

真空吸着式吊り具「Vacumaster」は、金属や木材、ガラスなど平坦で大きな板材の搬送に適した搬送装置で、最大500キログラム可搬となっている。吸着跡を残さないようなアタッチメントや板材を垂直に立てて左右の傾きを調整できるような操作ハンドル等も用意されている。

またこれらの機器の取り付け方法も、旋回する範囲で使えるジブクレーンに加え、天井クレーン用の部材も提供し「お客さまのニーズや現場の状況に応じて対応していく」という。

 

実機を試せるテストスペース

10月ショールーム開設

10月には、本社内に実際の機器を使ってアシスト装置を試せるテストスペース「テストスペース」を開設する。ワークを持ち込んで自ら操作して体験できる。また簡易お試しツールも準備しており、客先で簡易テストや体験会を行うことも可能だ。

「自動化やロボットで対応できない場合でも、アシスト装置で何とかできるケースは多い。物流業や製造業の工場内物流、倉庫作業などへの提案を強化していく。世界での経験をもとに、国内でも展開していきたい」としている。