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ディーラーヘルプを考える 黒川想介 (26)

マーケティング営業導入
ディーラーヘルプチームの役割再考も

マーケティングという概念は経営全般に関わるだけに、わかりにくいものである。そこで、営業に関わるマーケティングをセリング(販売)と対比しながら考察してみる。

販売員が目標とするものは当期・当月の売上予算達成である。各種の販売ツールや商品に関する知識、販売テクニックを使って商談発見・決着に全力を出す。つまり強力なセリングで今日の糧を追い続けている。

経済学者ドラッカーは、究極のマーケティングはセリングを不要にすると言った。マーケティングはそのくらいの重要性を持っているということなのだ。

かつて部品や機器商品市場は小さく、製造設備が未成熟だった頃、販売員は製造現場の声をたくさん聞き、その中で関心を持ったことを後方にいるメーカーの技術にささやいた。ものづくり業界が未成熟なこともあって、今日の糧を追求するセリングだけでは商談は少なかったため、明日の糧も視野に入れたマーケティングマインドを持った販売行為をやっていたのである。

販売員である以上、毎期の売上予算達成に向けた積極的売り込み活動は第一にやるべきことだ。しかし企業が持続的に成長し、生き残っていくためには明日の糧に焦点を当てたマーケティング販売活動を欠かすことはできない。昨今ではマーケティング活動はマーケティングを専門とする部門がやるので、営業は販売力を上げて売り込む活動に専念すればいいと思っているようだ。

確かにドラッカーが言う究極のマーケティングができるなら、市場にある潜在・顕在のニーズに合わせて、競合優位の製品を将来に渡って出し続けることができるかもしれない。そうなれば販売力を持った営業もいらなくなって、物流がしっかりしていればいいということになるだろう。

しかし、いかに優れたマーケティング部があるからと言って、営業を不要だと思う人はいない。販売員に求められる仕事は商品の売り込みや商談決着に関することだけでなく、マーケティングマインドを持って市場や顧客の変化を捕らえる活動など幅広い仕事であるからだ。

マーケティング部は大所高所から市場を見る力は優れているが、販売員は市場や顧客に一番近いところにいる。現場の需要が変わろうとしている現状を見る力は営業の方が優れている。企業のアンテナの役目をし、情報を入手する営業の役割はますます重要になるだろう。

かつて、部品や機器商品市場の黎明期には需要が少なかったため、売り上げはノルマ的に厳しく管理された。それなのに明日への糧にも関心を持ち、結果的にマーケティングマインドを持てたのは、市場が未成熟で需要が少ないという好運な環境だったからだ。

その後、業界は成長・成熟し、営業が売上予算を達成するには競合各社との激烈な競争に勝利せねばならなくなり、強力なセリングの時代になった。そのためメーカーの販売員だけでなく、販売店の販売員にも競合メーカーを強く意識した商品販売力を上げるための教育が徹底されている。

このような環境下では、販売活動を通じて自然にマーケティングマインドが身についていくわけがない。仮にマーケティング営業を導入しようとしてOFF-JT研修を行ったとしても、売り上げが切羽詰まっているわけではないから、そう簡易に舵を切れるものではない。

したがって、このような時代には強い意思を持ってマーケティング営業を導入すべきだ。特に販売店営業は、多方面へのアンテナを持っているからアンテナに引っかかる新需要情報は多くなるが、セリング一本でやっていると見逃してしまう。ディーラーヘルプチームの役割を再考するのも解決策の一つである。

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