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ディーラーヘルプを 考える(8)黒川想介

メーカーと販売店の戦略統合 本音出し合う環境づくりを

「仏作って魂入れず」「画竜点睛を欠く」という言葉がある。両方とも同じ意味で使われ、見た目は完成しているのだが、最も大事な部分が抜けているため、全体が台無しになっているという意味である。いろいろな場面でハッと気づかされる言葉だ。

販売店の営業が「最近キャンペーンが多くて」とか、「キャンペーン中なのは知っていたが、どんなキャンペーンだったかはっきりは覚えていない」などと愚痴っぽく言っていることを耳にする。

メーカーではいろいろな意図にもとづいてキャンペーンのための企画書やポスター、その他の販売ツールを準備し、説明会まで行ってスタートする。しかしキャンペーンの実動部隊である販売店営業の身が入らないような愚痴が出るのは、まさに「仏作って魂入れず」と言える。

チャネル販売型の営業体系をとっているメーカーにとって、販売店がどう動くかは重要なことである。そのためにディーラーヘルプという概念を取り入れていろいろな販売店支援策を実行してきた。国内産業の成長期には、支援策がうまく機能し、メーカーと販売店は同じ目標に向かってそれぞれの役割を果たしてきた。しかし、メーカーがウィンウィンという言葉を使い始めた頃から、メーカーと販売店の関係が少しずつ変わり始めた。国内産業が成長期から成熟期に入る序章であるかのように、ウィンウィンの関係という言葉がいたるところで使われ始めたのと時期を同じくしている。

物流の変革がネットの普及で流通形態が変わり、情報の発信や入手の形態も変わった。メーカーが直販促部隊の強化に向かい、販売店が多メーカー扱いの方に向かったのは時代にあった流れであった。それでも販売チャネル型の営業体系をとっているメーカーにとって販売店の重要さは変わらない。メーカーは以前通り支援策を実行しているのに、それぞれの役割を果たしていた蜜月時代に比べれば関係は事務的であり、格段に劣る。ディーラーヘルプの根幹である2通りの基本が崩れているからである。

ディーラーヘルプの根幹の一つ目は「信頼関係」である。ビジネス上の信頼関係はできているつもりでも、日々強めていく努力を怠れば、いつしか弱くなっているものだ。再度強めていくには結婚披露宴時のケーキ入刀ではないが、共同作業の第一歩から始めることだ。共同作業とは、メーカーと販売店の戦略統合である。メーカーの期待と販売店の期待を統合することである。

かつて成長期には、とにかく売り上げ拡大に向けて売れる商品を作ってほしいという期待と、売れる市場をどんどん広げてほしいという期待で戦略統合をしていた。国内産業は成長期であったから、お互いの期待通りに進行し、信頼関係は強くなっていった。

市場はどんどん広がらないし、売れる商品も出にくくなっている昨今の戦略統合はどうやればいいのか。現状を見れば、戦略統合と称してメーカー側の一方的な期待を、販売店が形だけ受け取って終了している。お互いの都合もある昨今である。互いの都合を理解し、本音で期待を出し合って、努力してできることとできないことを探り合いながら戦略統合することである。

かつて戦略統合がうまくいっていたのは、成長期という事情の他に、本音を出し合う環境を作ってきたことも要因となっているのだ。本音を出し合う環境は、日々の戦いの中で育まれてきた賜物である。最初から親しく共同で戦ってきたわけではない。お互いに関心を持って接していたからお互いの往来が頻繁であった。往来のたびに相手を観察し、聞くべきことを傾聴するから共感する部分が増え続けた。互いの事情ものみ込めた。そこから本音を出し合える環境づくりが始まったのである。

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