ジャパンユニックスのはんだ付技術基礎知識(16)

 

はんだ付マーケットレポート(前篇)

◆急激な成長を見せるASEAN

急激な成長を見せるASEAN諸国。各国の特徴とはんだ付事情とは?
世界の製造業を支える一大エリアとして存在感が高まるASEAN地域。特に、土地や人件費など生産拠点としてのコストメリットはもちろん、アジアという巨大マーケットに近い国で生産、販売をする「地産地消」の観点からASEANを重視する企業も増えている。今回は、ASEANに属する国々の特徴とはんだ付事情を見ていく。

1.シンガポール
シンガポールは、一人あたりのGDPが高く、ASEAN地域の中でも特出した存在だ。世界トップクラスの外国為替市場、金融センターとして、アジア金融市場を代表する。マレー半島の先端という恵まれた地理で、港湾取り扱い貨物量では世界の1、2位を争う。製造業、生産拠点としてのイメージは薄いが、バイオなど研究開発も盛んで、欧米企業を中心に多くの生産、研究開発拠点がある。
シンガポールは、政治的、経済的に安定しているため、先進国と同等の製造工程が特徴。特に、国を挙げてコピー防止や権利保護に力を入れており、進出企業にとっては技術保護というメリットが大きい。そのため、他国などで技術流出に悩んだメーカーが、移行する例もある。人件費は高く、ロボットや自動化設備の導入が進む。特に、医療機器の製造では、アジアの中心となっている。
同国では、医療機器や先端技術の製造拠点のため、実装部品の狭小化、高密度基板など、といった高難度化する傾向が見られる。そのため、こて付のみならず、レーザーはんだ付など、高品質なはんだ付を要求される。
2.タイ
早くより、ASEAN製造業をリードしてきた同国。自動車、家電業界が生産拠点を開設。日系企業では、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど白物家電が目立つ。ハードディスクは、世界の約9割が、タイで生産されており、世界的なメーカーであるWesternDigitalやSeagateといったHDDメーカーが進出している。ミネベアや日本電産など国内大手モータメーカーも進出しており、半導体や通信機器、EMS大手の工場も数多く存在する。
タイの人々は、離職率が低く、製造業の経験も豊富で、工場運営能力が非常に高い。しかし、シンガポールに次ぐ人件費の高さで、人材確保の競争が激しくなっている。シンガポール同様、ロボット化、自動化工場が増える一方、ラオス、カンボジア、ミャンマーなど、隣国からの労働者で簡易作業の人材をまかなっている側面もある。
タイでは、日系車載メーカーも多いため、高熱容量を必要とするアプリケーションが多く、ハイパワーヒーターを搭載した卓上型ロボットや多関節型はんだ付ロボットの導入が多い。また、車載という要求品質の高さから、高出力レーザーを導入し、安定かつ高品質なはんだ付を求める声も多い。(続く)

■ジャパンユニックス■
(東京都港区、河野正三社長)
1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。
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