不連続戦線に異状なし(50) 黒川想介

■伸び悩み「原点に戻る」 基本動作と自己管理の実践

人はスランプになると「原点に戻る」という言葉を見つける。

企業や事業で原点に戻るという言葉が出てきたら、なんとなく自信が持てずに迷っていることになる。人や組織が自信に満ちている時やぐんぐん成長している時から一変して、スランプや迷いの時期に入ると、原点に戻ろうという言葉が往々にして出てくる。そんなスランプや迷いに遭遇した時に輝いていた当時のやり方や施策のような手段を焼き直してやってもしょうがない。人は当時から見れば年齢を重ねているし、会社や事業を取り巻く環境は大きく変わっている。

しかし原点に戻るということはとても大事なことには違いない。原点に戻るというのは単なる手段を戻すことではなく、原点に戻って考えることにあるからだ。

事業に関していえば、順調にいっていた事業が踊り場でうろうろしている時に、よく使われるのが原点に戻るという言葉である。この場合に事業の草創期に戻って考えることが重要なのだが、結論を急ぐとどうしても成長している時のことが脳裏をかすめてしまう。それでどうしてもそれにとらわれる。とらわれれば視野は広がらずに成長期をモデルにした少しばかり目新しい手段になってしまう。踊り場に置かれた状況によっては事業を推進するエンジン検索をする必要もあろう。だからこそ結論を急がず草創期に戻り、現在までの歩みをたどって考えるのが一番である。

事業や組織を構成する人の場合はどうであろうか。スランプになったり、伸び悩んでいる時にやはり原点に戻ろうと思う。銀座のクラブに来店するビジネスマンを長年観察したママは、出世する人には幾つかの特徴があるとつづっている。(1)大きな声であいさつができている。(2)相手の話をしっかり聞ける。(3)名前を忘れない。(4)相手によって態度を変えない。(5)自分の匂いに敏感。いずれも人として大切なことばかりである。(5)の匂いは職業柄なのか、目に見えないことへの気の配り方で、その人の自己管理力があると洞察しているはさすがである。

ビジネスマンにスランプや迷いが生じて、原点に戻るというのは相手への気遣いと自己管理をしっかりしろという教えであろう。

野球の神様といわれた巨人軍の川上哲治監督は、試合後のミーティングでは試合のことや野球の話ではなく、人として社会人としての生き方の話が中心であったといわれている。野球をする人の原点は人間学にあるという教訓である。

同様のことだが、正月の箱根駅伝で有名になった青山学院大学の原晋監督は、強くなった理由は何かという質問に答えている。箱根に出るチームは厳しい練習メニューをこなしてきた大学ばかりである。勝つためにそれ以上の特別な練習メニューを課したことは無い。ただ選手としての自己管理を教え、社会人としての行為や生き方を教えただけと答えている。ビジネスもスポーツも原点に戻れというのは社会に生きる人としての在り方と自己管理をせよと成功した先人たちは教えている。

古来、戦いに勝利する戦力には共通点がある。戦力とは軍団が決定した戦略、戦術があって、軍を指揮する指揮官と兵士の技量の積として表すことができる。現代の営業が伸び悩み、踊り場的現場が見えたら、原点に戻るという方針と共に戦力強化が叫ばれる。戦力強化といえば営業マンの数と行動強化にいきなり取り組むのでなく、まず戦略戦術を草創期からたどって考えることにある。次に、営業マンの技量の原点に戻り基本動作と、自己管理の実践をする。これを飛ばして手段を持っても壁は立ちはだかり課題は乗り越えられない。部門長の遂行力に関しては檄を飛ばす前に原点に戻り、営業マンと共に基本動作と自己管理の実践をすることなのだ。

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