不連続戦線に異状なし 黒川想介 (45)

■元気の出る戦略を持つ 「みなぎる精神」で改革成長へ

とにかく行動というスローガンの下に、真面目で一生懸命やっていれば売り上げが伸びていったのは日本が経済成長していた時であった。

しっかりした戦略がなくても売り上げが伸びたという、まさに至福の時代であった。しかしそのような例外を除けば会社が売り上げを伸ばして成長を持続させるには戦略がいる。

昨今ではまさに戦略なくして成長なしの時代である。どのような企業でもこのままでいい、このままを維持したいと思った時から衰退が始まる。伸ばそうという意欲がみなぎってなければ衰退に向かうのである。

歴史上で見ると、国民精神がみなぎっている国は外へ外へと発展した。大帝国をつくったローマはドナウ河とライン河まで進み両大河を国境として止まった。ジンギスカンのモンゴル帝国はロシア平原を突っ切ってヨーロッパの森で止まった。

日本の豊臣政権は国内統一の余力を駆って、明時代の中国へ進撃したが、韓国のソウル付近で進軍が止まった。近代のイギリスは世界の七つの海に制海権をにぎり覇権大国として君臨したが、覇権主義というシステムが古くなり、技術革新も他国に先んじられて伸びは止まった。

伸びが止まると改革が行われる。みなぎっている国民精神に余力があれば、改革を断行してさらに成長軌道に乗れる。中興の祖といわれる人が出てきて改革を成功させているのは、国民精神の健全性に余力が残っているからである。

国民精神がすぼんでしまうと、それまでに利権を享受している人が邪魔をして、改革が断行できなくなる。混乱が起こって、政権の交代や、膨れ上った規模がすぼんで小ぶりになってしまう。

遠い昔の日本人は歴史を鏡と言って、大鏡や増鏡という歴史書を書いている。国家レベルの栄枯盛衰には、時代をつくってきた人々の、みなぎる精神が映し出されているのが見える。

現代の企業レベルでも同様に栄枯盛衰はある。その根底にあるのが、企業を構成する、社員の健全な精神や企業家精神である。多少の戦略ミスも、これらの精神がみなぎっていればそのミスを糧としてさらに前進することができる。企業は人なりとはこれらの精神が醸成されている企業風土から優秀なリーダーが生まれるということなのだ。またその逆にカリスマ的なリーダーは企業家精神を育む風土をつくれるということなのである。

昨今の企業で企業家精神や健全な精神を持つ企業は元気のでる戦略を持っている。

それらの企業には大分類すると3種類あり、(1)海外を視野に入れた販路の拡大型、(2)国内の新しいマーケットづくりに向けて技術の種類の開拓・開発型、(3)従来のマーケットに君臨するため、Q・C・Dを革命的につくり込む製造技術型である。

もっとも元気に成長を持続させている企業は(1)販路、(2)製品開発技術、(3)製造技術の3点に並々ならぬ力を入れている企業である。しかし創業して間もない企業や、国内の件数では圧倒的に多い中小企業などが元気はつらつしている様を見ると、基本戦略としてどれかに重点を置いていることが見てとれる。

まれに(2)に重点を置いている中小や中堅企業がいる。これまでも従来つくってきた製品の周辺機を増やしたり、従来品を使用してシステム化した製品をつくったりしてきた。

しかし昨今で特に目をひくのは、従来製品に関する技術以外の技術にチャレンジして新たなる製品をつくろうとしている小規模企業が増えてきたことだ。部品や機器商品営業は自らも元気になるために、これらの企業を発見し、しっかり人脈を構築しておくことが明日へつながるのだ。

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