最近、街中で外国人観光客の姿を多く見かけるようになった。政府観光局が毎月発表している最新の統計によると、2015年2月度は138万人を超え、過去最高を記録したという。14年3月から12カ月連続で100万人を超え、政府の誘致がうまくいっている様子がうかがえ、頼もしい限りだ▼円安の継続など外部要因もあるが、もっとも大きいのは、ソフト面の整備とその効果だ。ビザの緩和や政府によるPRだけでなく、民間でもスタッフやメニューの多言語対応など歩調を合わせて進めてきた。長い歴史に培われた独自の文化と、それを楽しんでもらうための仕組みづくり、さらに日本人の細やかなサービスが組み合わさって、日本を魅力的な観光国家に押し上げているといえる▼技術的優位性が薄れ、苦しむ日本の製造業も、観光業界にならってソフト面の整備・強化が復活のヒントにならないだろうか?
産業機器は予防保全、発生時の早期復旧、再発防止が大事だ。時には生産終了や一品ものの部品が故障し、単に部品交換だけで済まない場合もある。それはハードウェアだけではカバーできない。サービスやエンジニアの技術力といったソフト面がカギを握る▼時間と経験は金では買えない。また、正確さや几帳面さ、細やかさといった文化と社会が育む日本人的な資質も世界から見ればユニークであり、強みだ。日本が潜在的に持っているソフト面の力を忘れてはいけない。