日本政府は「日本再興戦略」のなかで、「ロボット革命」によるロボット技術の活用を通じて社会を豊かにしていく方針を決定した。国家の一大プロジェクトとしてロボット産業が明文化されたことは大きな一歩だ▼とはいえ、実現までのハードルはとても高い。あるロボットメーカの社長曰く「技術的には何の問題もない。世間で言われているようなことはすべて実現できる。しかし、問題はロボットを取り巻く”規制”だ。これさえクリアできればロボット産業は急速に拡大していく」と指摘する。具体的な規制とは、例えば道路交通法や航空法における移動型ロボットの取り扱い方、ロボットの遠隔操作や制御に使う電波帯域をどうするかといった電波法との兼ね合いなどだ。現行の法律は、ロボットがいま以上に生活に入り込むことを想定しておらず、それがロボット普及の妨げになっているという意見が多い▼これから規制の見直しを進めるに当たり、忘れてはいけないことがある。日本のロボット技術とサービスを海外市場に向けた輸出産業に育てる視点だ。世界が憧れ、真似をし、世界で採用されるようなロボットの利活用社会にならなければ”ガラパゴス”と揶揄された携帯電話の二の舞いになりかねない。日本社会、製造業復活のカギはロボットが握っている。必ず成功させなければならない。