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電磁開閉器(マグネットスイッチ)の市場が上昇基調で推移している。電磁開閉器の主要需要先業界の拡大が継続していることが大きな追い風になっている。単価が下がっていることもあり、金額的な伸びは低いものの、数量的には過去最高を更新した状況が続いているものと思われる。製品開発も、小型化と低消費電力化をポイントに改良が加えられている。今後も地産地消的な動きが強まるものとみられ、生産と市場のグローバル化が進みそうだ。

電気回路の開閉制御を行う役割を果たす電磁開閉器は、電磁石で接点を開閉する電磁接触器(コンタクタ)と、電動機の過負荷保護を行うために熱を利用して動作する熱動型過負荷継電器(サーマルリレー)を組み合わせている。モーターなどを使用した機械、装置、設備には必須の機器として使われている。

負荷のON/OFFや、過負荷電流が流れて機器の回路が焼損する事故を防止する大きな役割を果たしている。

工作機械、半導体・液晶製造装置、エレベーター、空調機器、配電盤など幅広い分野で、モーターの起動・停止、照明・ヒーターなどのON/OFFなどで使用されている。

JEMAの出荷統計によると、2013年の生産は5・3%増の263億円、14年は6・5%の279億円となっている。1990年頃には400億円前後の市場規模があったが、現在はその当時と比べると減少しているものの、海外への生産移管、単価の下落などが進んでいることで、金額面での国内出荷は減少となっている。しかし、台数では90年頃やリーマン前を超えた状況が続いている。
このところ電磁開閉器の主要需要先は好調な市場状況が続いている。工作機械はこのところ月ベースで1200億~1300億円の出荷が継続し、年間出荷額も過去2番目の1兆5000億円を超えている。今年度は過去のピークを超えることが予想されている。

半導体製造装置も、14年度は14・7%増の1兆2940億円、15年度は5・4%増の1兆3635億円の出荷が見込まれている。

■東京五輪関連の需要も
また、インフラの老朽化や省エネ化対応、さらには2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、関連施設、交通網の整備なども加わり、ビル、公共施設、病院の新築やリニューアル、リニアモーターカー建設関連などといった投資が集中している。特にビルや施設建設に絡んでエレベーターやエスカレータ、空調設備向けの受配電機器のひとつとして電磁開閉器にも旺盛な需要が継続している。

■パワコンや接続箱需要も
さらに、PV(太陽光発電)に絡んだパワーコンディショナーや接続箱でも、電磁開閉器に波及した需要が出て市場を押し上げている。PVは発電の申請のみを行い、実際に着工していないところがかなりあるとして、取り消しの処置が発令されることに対する駆け込み着工や、逆に電力会社の買い取り制限、買い取り価格のダウンなど、PVを取り巻く環境の変化が激しいが、しばらくは需要が継続するという見方が大勢で、依然期待は高い。

PVに限らず、風力や地熱など自然エネルギーの普及は今後着実に広がり、高圧な直流(DC)制御に対応したり、低消費電力な制御ニーズに対応した電磁開閉器の需要はさらに高まることが予想されている。

また、次の新市場として水素充電ステーションへの期待が高まっている。水素充電ステーションは、爆発の危険性があることなどから施設の建設費用が高い。水素充電施設としても大がかりな投資になるが、今後対応した自動車が普及することで全国各地に建設されることになるだけに、動向が注目されている。

■海外メーカーも堅調
こうした基調はグローバル市場でも継続しており、電磁開閉器の海外メーカーも堅調な伸びを続けている。欧州には大手メーカーが多いが、中国やアジアの新興国の成長が続いていることから、韓国などアジアメーカーも一定のシェアを確保している。

従ってグローバルな市場規模は、日本市場の約10倍の3000億円前後を形成しているものと推定される。

電磁開閉器は技術的に完成の域にあると言われながらも、依然開発・改良が進められている。最近のポイントは小型化、省エネ化、グローバル化対応、省配線化と配線作業性の向上、安全対策などに重点が置かれている。

■環境配慮と素材の節約
小型化への取り組みは、制御盤の小型・薄型化に対応したもので、10Aフレーム以下の小容量タイプでは、横幅36ミリを実現して、収納スペースの削減と、駆動電力の低減を図っている。小型化・低消費電力化は、環境配慮と素材の節約にもつながる。電力消費量の削減では、電磁石の改良も行っており、電磁石容量で約15~30%の省電力化を実現している。

省配線化と配線作業性の向上では、端子の配線ネジを外さなくても配線できるようにしたり、バネを使って仮止めが容易にできるようにしたりと、知恵を絞っている。この端子構造は、日本と海外では異なっていることから、使われる地域の実情に応じて選択できるように、棒、先開き、丸型、スプリング、ファストンなど多彩に用意している。

作業性の良さでは欧州タイプの圧着端子を使わないで、棒線、より線がそのまま使用できる接続方式が有利と言われているが、日本では電力や官公庁向けで、圧着端子の使用を求めているところが多く、納入先ごとに仕様を変えているのが実情だ。今のところこの流れに変化はなく、日本独自の状況が継続しそうだ。

省配線化の一環として、電磁開閉器の主回路の高さを統一することで、専用ブスバーによる一次側渡り配線ができるようになっている。これにより、配線数が大幅に減らせ、配線作業時間の短縮と誤配線の防止につながる。

さらに、可逆型電磁接触器に、電気的インターロック用配線を内蔵したタイプも開発されており、インターロック配線が不要になるほか、スペースもほとんど同じで済むため、内蔵スペースを有効に生かせる。

安全対策では、端子部に不用意に接触しないように感電防止構造を採用した製品が一般化、不用意な接触によって誤作動したり、異物が本体に侵入したりしないように保護カバーを標準で装備している。

さらに、制御回路と主回路の誤配線を防ぐために、それぞれの端子色を変えることで分かりやすくしたり、主回路と補助回路の端子配線の干渉防止と作業性向上へ端子配列を工夫した設計も行われている。電磁開閉器の接点溶着が発生した場合でも、安全開離機構(ミラーコンタクト)として、補助接点が確実に作動する機能も内蔵しており、事故の防止を図っている。

■コスト、安全性に重点
一時は盛んに取り組まれた長寿命化も電気的開閉耐久性は200万回、機械的開閉耐久性は2000万回を標準仕様にしている製品が増えた中で、ストップしている。最近、DC化対応機器が増える中で、以前のように頻繁に入り切りして開閉する用途が減少気味と言われ、さほど長寿命性が重要でなくなりつつあることも背景にある。むしろ、コストや安全性に重点を求めるニーズ高まっている。

開閉が少ないことで長く使用できることになるが、JEMAでは事故を防ぐために、適切な時期に電磁開閉器の点検と更新を推奨している。

電磁開閉器の故障例としては、溶着による焼損、短絡、ゴムや樹脂部品の経年劣化による破損、硫化銀生成による接点導通不良などが挙げられる。

JEMAでは、このほど「電磁開閉器更新ガイダンス」と題したパンフレットを初めて作成し、電磁開閉器による重大な事故発生防止の啓蒙を行っている。

特に使用開始から10年が経過したり、製品規定の開閉寿命を経過した電磁開閉器の更新を促すほか、10年以下でも(1)電磁開閉器が異常に熱くなっている(2)電磁開閉器から異臭や異音がする(3)電磁開閉器の外観が変色している(4)電磁開閉器の周辺に塵埃が堆積している(5)サーマルリレーのテストボタンで、トリップ・リセット動作ができない場合がある、などの事象があればメーカーなどに相談することを求めている。

電磁開閉器を交換することで、事故の未然防止につながるだけでなく、事故発生時の復旧、原因追求や対策などの労力やコストを抑えることもできる。

電磁開閉器は、機器に内蔵して使用されることから、実際に使用される国に対応した規格の取得が求められる。JIS・JEMやIEC、VDE・DIN、BS・ENなどをはじめ、UL、CSA、CE、TUV、GB・CCCなどが代表的な規格として取得や準拠している製品が多い。

市場のグローバル化が著しいだけに、この傾向は国際標準化の一環としてとらえられているが、規格によっては設計変更が必要なことから、販売地域に限定した設計にすることで、コスト低減を図ろうとする動きもある。

電気回路には、配線用遮断器、電磁接触器、サーマルリレーが使われ、短絡事故からの電線保護、電動機の過負荷保護などを行っているが、これらの省スペース化と省配線化を実現できるモータスタータの動向が日本でも注目されている。配線用遮断器、電磁接触器、サーマルリレーの代わりに、モータブレーカと直流低消費電力型の電磁接触器を採用することによって取り付け面積を、従来の3分の1まで削減することができる。

モータブレーカと電磁接触器を専用パーツで一体化しているために、従来の配線用遮断器と電磁接触器を電線1本1本で配線する作業も不要になり、配線時間を従来の半分に削減することが可能になるなど、トータルコストダウンに効果を発揮する。欧米を中心にこの方式が普及しているが、日本では配線方式や電圧の違いなどからあまり普及していない。しかし、市場のグローバル化で日本から海外市場に向けて輸出する機械が増加する中で、今後対応が求められることが予想され、市場への浸透が注目される。

■新たな付加価値を追求
電磁開閉器各社は、成熟した製品の中でも新たな付加価値を追求して、販売競争を有利にしようと取り組んでいる。コストダウンでは、ロボットなどの自動化機器を駆使して、生産効率を上げる動きが定着してきた。また、2次元バーコードなどを使って、製品のトレーサビリティ管理を行うことで、製品トラブル時の対応がスムーズに行える取り組みも出てきている。

電磁開閉器市場は、旺盛な需要を背景に台数だけでなく金額面でも伸長しており、過去のピークまで戻るかが注目されている。

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