“ロボット革命”で日本再興 経産省が具体的施策検討

日本再興戦略に基づきロボット技術を活用した新たな産業革命を目指そうと、経済産業省は具体的な施策の検討に入った。ロボット革命は、(1)センサー、AIなどの技術進歩により、従来はロボットと位置づけられてこなかったモノまでもロボット化(例えば、自動車、家電、携帯電話や住居までもがロボットの一つとなる)(2)製造現場から日常生活の様々な場面でロボットが活用されることにより(3)社会課題の解決やものづくり・サービスの国際競争力の強化を通じて、新たな付加価値を生み出し利便性と富をもたらす社会を実現する、ことを目指している。

この実現に向けて、(1)日本を世界のロボットイノベーション拠点とする「ロボット創出力の抜本強化」(2)世界一のロボット利活用社会を目指し、日本の津々浦々においてロボットがある日常を実現する「ロボットの活用・普及(ロボットショーケース化)」(3)ロボットが相互に接続しデータを自律的に蓄積・活用することを前提としたビジネスを推進するためのルールや国際標準の獲得などに加え、さらに広範な分野への発展を目指す「世界を見据えたロボット革命の展開・発展」の3つを柱として推進していく。

■民間投資を拡大
また、2020年までの5年間については、政府による規制改革などの制度環境整備を含めた多角的な政策的呼び水を最大限活用することにより、ロボット開発に関する民間投資の拡大を図り、1000億円規模のロボットプロジェクトの推進を目指している。

ロボット創出力の強化では、新たに産官学の「ロボット革命イニシアティブ協議会」を設立し、ニーズ・シーズのマッチングや国際標準の獲得、セキュリティへの対応、国際連携などを図る。

■福島に開発拠点
また、イノベーションのための場づくりとして、福島県において「福島浜通りロボット実証区域」(仮称)を設け、陸上、水中、空中のあらゆる分野におけるロボット開発の集積拠点となることを目指す。

さらに、データ駆動型社会において活躍できるロボットのためのコアテクノロジー(AI、センシング・認識、駆動・制御)について研究開発を強化するとともに、国際的な展開を見据えたミドルウェア(ロボットOS)などのソフトウェア・インターフェイスや通信などの機器間連携に関する規格化・標準化にも同時に取り組む。

■5分野で戦略目標
ロボットの活用・普及(ロボットショーケース化)では、ロボットの利活用推進によって日本全体の付加価値の向上や生産性の抜本的強化が期待される分野として、ものづくり、サービス、介護・医療、インフラ・災害対応・建設、農林水産業・食品産業の5分野ごとに20年に実現すべき戦略目標(KPI)を設定する。

■20年には2.4兆円
具体的には、ものづくり分野・サービス分野では、システムインテグレーターを活用し、様々な分野におけるロボット導入を支援するとともに、サービスロボットのベストプラクティス100例を選定・公表。また、多様なニーズに柔軟に対応できる「Easy to Use」なロボットの開発を推進し、ものづくりにおける段取りや組立プロセス、サービス業における物流や飲食・宿泊業などの裏方作業へのロボット導入を重点的に進め、20年には製造業で市場規模を2倍(6000億円↓1・2兆円)、非製造業で20倍(600億円↓1・2兆円)とするとともに、労働生産性の伸び2%以上を目指す。

■介護機器で500億円
介護・医療分野では、ロボット介護機器開発の重点分野(ベッドなどからの移し替え、歩行支援、排泄支援、認知症の人の見守り、入浴支援)に関する機器開発を進めるとともに、介護保険適用種目追加の要望受付・検討などの弾力化、地域医療介護総合確保基金による職場環境構築支援を通じて導入を促進する。

20年において、ロボット介護機器市場を500億円に拡大するとともに、介護施設において、移乗介助などに介護ロボットなどを活用し、介護者が腰痛を引き起こすハイリスク機会をゼロにすることを目指す。

また、医療分野においても、新医療機器の審査を迅速化するとともに、20年に向けてロボット技術を活用した医療関連機器の実用化支援を5年間で100件以上実施。

インフラ・災害対応・建設分野では、現場ニーズに沿った技術開発を進めるとともに、国自らが率先してロボットを活用する「モデル事業」の実施や、民間での保有が難しい特殊ロボットなどについての公的機関における計画的な配備など、導入を促進する。

さらに、インフラ維持管理などに係る現場検証結果を踏まえて、有用なロボットについての効果的・効率的な活用方法を定めることなどを実施する。20年までに情報化施工技術の普及率3割、国内の重要・老朽インフラの20%においてロボットなどの活用を目指す。

農林水産業・食品産業分野では、トラクターなどの農業機械の夜間や複数台同時の自動走行や、現在人手に頼っている重労働(収穫物の積み降ろし、除草、植林・育林、養殖網・船底清浄ロボット、弁当盛りつけ、自動搾乳・給餌など)の機械化・自動化、ロボットと高度なセンシング技術の連動による省力・高品質生産システムなどについて重点的に研究開発、現場導入実証を実施する。

■ロボット五輪開催
20年までに、自動走行トラクターの現場実装を実現するとともに、農林水産業・食品産業分野において省力化などに貢献する新たなロボットを20機種以上導入することを目指す。

そのほか、20年にロボットオリンピック(仮称)を開催し、日本のロボット技術を世界に発信することも予定している。

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