中国地区は、瀬戸内海の臨海部に複数のコンビナートを擁し、石油、鉄鋼、化学、木材などの基礎素材型産業や、自動車、造船などの加工組み立て型産業を中心に、国内屈指の産業集積地として発展してきた。これにより、世界有数のシェアを誇る製造業が多数立地しており、産業において国際競争力の高い地域として国内の経済を支えている。このうち、特に第2次産業が盛んな岡山県、広島県、山口県、香川県の産業動向を探る。

■岡山県

岡山県は、造船、自動車、農業機械のほか、近年は精密機械や半導体、高度医療機器、ITなどの先端的、高付加価値型産業も順調に育っている。さらに、繊維産業や製鉄関連の耐火物や石灰産業、県中北部では木材産業などにおいて、大手企業が集積している。

現在、岡山県の産業出荷額は年間約7兆6000億円規模で、全国都道府県で十数番目にランクしており、その約50%が水島臨海工業地帯で生産されている。同工業地帯は、鉄鋼、石油化学などの基礎素材型、ハイテク技術や高度な生産技術を保有する大企業が多く、岡山県産業の牽引車的な役割を果たすとともに、国内を代表する工業地帯となっている。

交通は、東西に中国自動車道と山陽自動車道の2本、南北に米子・岡山・瀬戸中央・高松・高知を結ぶ1本の高速道路や、鉄道併用橋の瀬戸大橋などがあり、同県は中四国地区のクロスポイントになっており、阪神・福岡地域までをカバーする西日本の広域交通網の結節点として機能している。

さらに、岡山県総合流通センターなどの大規模物流拠点や、岡山空港、水島港などの物流関連インフラも整備され、物流面での拠点性が高まっている。こうしたことから、瀬戸内3橋で結ばれた中心に位置する岡山県は、物流を軸に、地域や環境とも調和する「先進物流拠点・岡山」の実現を目指している。

岡山県の物流キーステーションである岡山空港は、中四国の国際物流拠点として機能させるため、航空貨物ターミナルを整備。国際定期便も週18往復就航している。水島港は取り扱い貨物量が2010年で8908万トン(全国第6位)と、中四国で最大の取り扱い貨物量を誇る。大規模物流拠点として、岡山県総合流通センターには、100社を超える企業が立地、操業している。また、国際競争の激化などで厳しい環境に直面している産業を活性化させるため、ベンチャー企業の育成、人的ネットワークの形成、技術支援、資金支援などを進めており、バイオマスや新エネルギーなど新産業の創出にも取り組んでいる。

一方、同県が全国に先駆け、整備を進めてきた高速通信回線「岡山情報ハイウェイ構想」は、県庁と県内の各県民局、及び地域事務所間を光ファイバーで接続し、県庁WAN(広域通信網)で構築するもので、02年に県内すべての市町村との接続を完了し、医療・福祉・産業などの面で活用が進んでいる。

03年には、地方自治体として世界で初めて、次世代インターネット技術IPv6を基幹回線網に導入し、地方自治体として国内最速(最大10ギガ)の高速大容量ネットワーク化を実現。生活の様々な面でITの恩恵が実感できる「ユビキタス・フィールド岡山」構想を進めている。

■山口県

山口県の瀬戸内海沿岸部では、大正時代から造船、化学、機械、金属などの工場が次々に進出した。

第2次大戦後は、石油化学コンビナートが形成され、全国有数の工業県に発展している。

宇部市や山陽小野田市などの西部地域は、美祢市のカルスト台地から産出する石灰石を原材料とするセメント製造工場が立地している。周南市、岩国市など東部地域の石油精製コンビナートは、ソーダなど化学製品を生産する企業が集中し発展している。

山口県は、こうした基礎素材型産業に加え、自動車のマツダ、鉄道車両の日立製作所、造船の三菱重工業など、大手輸送用機械メーカーが立地し、その周辺に関連産業が集積している。特に、メカトロニクス、電子部品関連産業や、港湾・空港・高速道路網を生かした流通業も発展している。近年では医薬品や環境分野の進出が目覚ましい。医薬品では、多くの医薬品製造施設が立地しており、年間の医薬品生産額は全国トップクラスである。

さらに、宇部市を中心に、光・照明・医療の産業クラスター形成を目指す「やまぐち・うべ・メディカル・イノベーション・クラスター構想」が産学公連携で進んでいるほか、環境分野では「環境産業マルチパーク構想」のもと、産学公連携による新たな環境ビジネスが続々と誕生している。

■香川県

香川県は、本州の岡山県と連絡するため瀬戸内海の島々を伝う形で架けられた瀬戸大橋により道路・鉄道が結ばれ、岡山県や鳴門海峡を越えた近畿地方とのつながりが深い。特に岡山県とは、民間テレビの放送局が同一のエリアになるほどである。

農業や水産業が盛んだが、第2次産業も盛んである。坂出市には、瀬戸内海工業地域の一翼を担う番の州(ばんのす)臨海工業団地があり、造船、石油などの企業が立地している。

また、四国地方に対する物資の集散地となっている高松市には、運輸、卸売を主とした企業が香西地区などの沿岸部に集積し、食品や印刷など市場志向型、軽工業系の工場も、その周辺に位置している。

工業分野の製造品出荷額は、番の州を擁する坂出市が県内で突出して多く7685億円、次いで高松市の3296億円、三菱マテリアル製錬所がある直島町が2392億円となっている。製造業従事者が占める比率は四国最大であり、中四国でも広島県、岡山県に次いで3番目である。

■広島県

広島県は、戦前から呉の海軍工廠など多くの軍需施設が置かれていたが、戦後もこれらに携わった技術者らにより技術が継承され、ものづくりが発展した。自動車産業や造船、鉄鋼を中心に、瀬戸内工業地域の中核として発展し、工業出荷額は1994年まで、中四国・九州地区17県でトップを維持した。

バブル経済崩壊で重厚長大産業が大きな影響を受け、トップの座を降りたが、その後の景気回復や中国市場向けの特需などにより、04年の製造品出荷額は21兆7468億円と、10年ぶりに関西以西でトップに返り咲いた。以後は重厚長大産業に偏重することなく、半導体関連やIT、デジタル関連機器メーカーを積極的に誘致している。

広島県は素材型産業から組み立て産業まで一貫生産を支える多様な産業構造を備えている。

現在でもトップシェアを誇る伝統的産業と、新しい発想による技術改良や新産業などが融合し合い、多様な工業が発展している。

これらの発展を支えてきたのは、部品調達力に加え、異業種による共同技術開発までを可能とする気風や、研究開発のチームワークの成果であり、これらを基本に高度な技術が蓄積された重層な産業構造を形成してきた。

現在も、大手企業からハイテク企業まで、専門領域で存在感を示すナンバーワン企業、オンリーワン企業が多数集積しており、技術革新や事業の拡大に必要な技術・人材・情報などにおいて、企業間での交流や技術提携、共同開発が盛んに行われている。

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