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温度調節器市場 上昇基調 攻勢強め中国・韓国メーカー 販売競争、一段と激化 半導体・液晶製造装置、ソーラーパネル関連好調 小型・短胴化、表示の見やすさ 高速処理、ネットワーク対応進む 温度機能内蔵のPLC増える

温度調節器(計)市場は、国内では半導体・液晶製造装置やソーラーパネル関連、海外では、中国を中心としたアジア地域が牽引役になって一段と上昇基調となってきている。特に海外では自動車やスマートフォンなどの生産拡大で成型機の需要が増加しており、温度調節器(計)の市場拡大につながっている。しかし、一方では海外メーカー、特に中国や韓国のローカルメーカーも攻勢を強めており、販売競争は一層激化しつつある。製品傾向は小型・短胴化と表示の見やすさ、高速処理やネットワーク対応などを重点にした開発に取り組んでいる。カスタム化などで付加価値を高めて、利益重視の取り組みも見られる一方、最近の円安傾向を背景に海外市場で中国のローカルメーカーとの販売競争に挑むメーカーもある。温度調節器(計)市場は欧米メーカーのシェアが低いだけに、日本メーカーとアジアメーカーがグローバル市場で取り組みを図る構図が顕著と言える。
製品の歩留まりを左右

温度調節器(計)は、温度・湿度・圧力など各種センサから取り込んだ測定値を必要とする設定値と比較して、その差を修正する信号をリレーやアクチュエータなどへ出力することで、対象物の温度や湿度を調節する制御機器・システムとして、重要性を高めている。温度管理はものづくりにおいて非常に重要な位置を有しており、製品の品質や歩留まりなどに大きな影響を与える。

半導体関係では、温度計測精度の向上など高性能の温度調節器が求められており、温度調節器の性能次第で製品の歩留まりが大きく左右される。食品関連では味覚や品質管理上から温度調整を頻繁に行うことで最もおいしく、安全・安心な食べものをつくりだすことにつながってくる。

現在は電子式が主流

温度調節器(計)は、半導体技術を利用した電子方式が現在は主流になっており、メカ式などに比べ、温度精度が格段に向上し、より緻密な温度制御を可能にした。同時に半導体の量産化などで価格が大幅に安くなったことで温度調節器(計)の単価は飛躍的に下がったが、その分使用台数が増加し、結果的に市場の増大につながった。

温度調節器(計)の市場規模は、2012年が日本だけで300億~350億円と推定され、前年比微増とみられる。このうち、海外販売比率は約40%を占め、年々増加している。

温度調節器(計)のグローバル市場規模は、メーカー筋などの話を総合すると700億円ぐらいと推定され、従って日本メーカーのグローバルシェアは45~50%となり、欧州、中国、韓国、北米などのメーカーが残りをシェアしているものと見られる。

海外では中国市場の景気が徐々に回復を示してきており、成形機や押し出し機などの需要が伸びている。自動車関連がアジア全体で大きな設備投資を行っていることや、スマートフォンなどの携帯電話関連での設備投資拡大も大きい。

中国製品の品質向上

中国では簡単な成型品加工などの生産が日本などからシフトする傾向があり、温度調節器(計)市場は一層拡大基調を強めている。これに対応して、中国や韓国などのローカルメーカーも販売攻勢をかけ、価格を前面に出した戦略で一定のシェアを獲得しつつある。中国ローカルメーカーの温度調節器(計)は日本メーカー品をコピーした製品が多いが、品質レベルは年々向上しており、ユーザーでは「そこそこの温度精度が出れば問題ないので、安い中国メーカー製を採用する」ところも増えつつあるようだ。日本では大手メーカーが温度調節器(計)の海外生産を行っているが、ほとんどの専業メーカーは国内生産を主力にしているため、このところの円安基調は競争力を高めるチャンスになっている。

有望な有機EL、電池関連

国内市場も、リーマンショックでの落ち込みから回復しつつあり、停滞していた主力市場の半導体・液晶製造装置が前年同期を上回り始めたことや、ソーラーパネル関連も家庭用からメガソーラー向けまで、需要が堅調に拡大して温度調節器(計)需要にとって追い風になっている。有機ELや、電池関連なども今後の需要増につながる有望市場だ。

もうひとつの温度調節器(計)の大きな市場である食品機械、包装関連も依然堅調な動きで推移している。中でも食品機械は内需型産業として国内での生産を維持していることが大きい。食品機械の海外販売比率がまだ10%前後と他の業種に比べ低いことから、今後海外市場の開拓も見込め、温度調節器(計)メーカーにとっても、期待市場と言える。
機器の省スペース化に貢献

最近の温度調節器(計)の製品傾向は、軽薄短小化、高速・高機能化、視認性や操作性の向上、ネットワーク化対応、入力種別のマルチ化などが進んでいる。

外形寸法は、DINサイズの96ミリ角から、48×24ミリまで各種あるが、搭載機器・装置の小型化傾向に合わせ小型・薄型化傾向が強まっている。特に薄型(短胴)化については、最近は60ミリを切る製品も増えており、機器の省スペース化につながっている。

視認性では、文字が遠くからでもハッキリ確認できるように数字表示部の大型化傾向が目立つ。表示素子はLED表示が多いが、LCDとバックライトを組み合わせた表示もあり、グラフやメッセージなどの表示も容易になる。

11セグメントのアルファベット表示機能、制御設定値やパラメータ設定、出力値アナログバー、偏差値トレンド記録表示、偏差アナログバー表示などのほか、5桁3段の表示も可能で表示の情報量が増大し、新規の顧客開拓につながっている。表示色も赤、緑、黄などカラフルになっており、状況判断をしやすくしている。この表示色を変化させることで、安全性向上を図るタイプもある。

高速で高精度な処理ニーズに対して、各温度調節器(計)メーカーとも、独自の特徴を出したアルゴリズムで制御技術をアピールしている。

例えば「RSS(ランプ・ソーク・スタビライザー)機能」は、ランプ制御開始時の追従性向上とソーク制御移行時のオーバーシュート抑制を同時に行うことで、プログラムの制御性を一段と向上させている。また、植物のザゼンソウが有するフィードバック形発熱制御の特性などを応用し、省エネ化などにつながる制御アルゴリズムも開発されている。

操作性でもダイレクト操作が可能なキーの搭載や、サポートソフトウェアの充実などが進んでいる。保守の簡単化のために、長寿命のリレー出力により、メンテナンスサイクルの長期化や、予防保全をサポートする制御出力のON/OFF回数のカウント機能などを備えている。

選定の簡単化では、アプリケーションの違いで入力センサが異なる場合でも対応が容易なマルチ入力機能や、各国の船舶規格に対応するなどグローバルなサポートサービス体制の強化などが挙げられる。

設計の自由度がアップ

最近は、PLC(プログラマブル・コントローラ)のI/Oモジュールのひとつとして温度調節機能内蔵タイプも増加している。既存の温度調節器(計)と競合する面もあるものの、省スペースと省配線、設定ミスを低減する効果などが評価されている。

多くの場所で温度制御する場合、一つずつ設定していてはミスも発生し、コストもかかる。温度制御をPLCに統合することで、多点での制御状態が一目で確認でき、設定も簡単になる。

ハードウェアとソフトウェア両面でPLCのコストダウンを図ることが可能となり、温調機能の信頼性と機能アップ、部分最適から全体最適へという設計自由度のアップも図られる。

さらに、プログラマブル表示器などと組み合わせ使用する表示部のないモジュールタイプやボードタイプなどは、温度制御点数が多い用途では、制御部品の削減と設置スペースを抑えることにつながる。

製造現場の熱処理工程は、工業炉など様々な分野で高度な温度制御が必要とされており、このため温度調節器や周辺機器の用途拡大につながっている。

半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造工程では、ステッパー、コータ・デベロッパーの高安定温度制御、チャンバーの高応答温度制御、ワイヤボンダーの温度制御、FPD焼成炉の多点温度制御、ウエットステーション薬液の温度・レベル管理、拡散炉の温度制御などに温度調節器が使用されている。ステッパー、コータ・デベロッパーには、1000分の1℃の分解能を持ち、電源電圧のわずかな変動にも対応する温度調節器が使用されている

シリコンウエハの熱処理が可能な拡散炉は、多数枚のウエハを処理容器内に収納し、ヒータで加熱して1000℃前後の熱処理をすることから、炉内の温度分布を均一にする必要があり、高性能の温度制御が必要になっている。

恒温恒湿の状態を保つための温度制御は、こうしたハイテク分野の製造工程だけでなく、あらゆる産業において、品質を向上させながら生産性を高めるものづくりに欠かせない要素になっている。

包装機械では、原料を処理する際にヒータによる加熱温度の調節・管理が重要である。ファジィ制御とPID制御で温度を安定させるため、デジタル入力によるオートチューニングの開始・停止指令のほか、ヒータ断線警報や温度警報機能が付いており、高品位な成形が可能となっている。

このところの節電・省エネ対応から、温度調節の分野でも対策が顕著になっている。工業炉や食品機械などでは、予熱管理や待機電力などが生じるが、この電力を効率化できるかどうかが大きなエネルギー低減につながる。

この課題に対応するため、EthernetやModbusに対応し、PLCやコントローラなどとのネットワーク化が進んでいる。温度管理を装置ごとに連携し制御することで、最適なタイミングでの温度調節が可能となり、余分な電力消費などが防げる。

パソコンでパラメータ設定

さらに、赤外線通信で簡単にセットアップでき、各種パラメータの読み書きやCAV形式でファイルの保存などが可能なタイプや、光通信タイプ、温調ボードとシーケンス制御・プロセス制御を組み合わせたシステムボードなどもあり、温度調節器(計)のパラメータ設定や管理などをパソコンで行うことも一般化している。

また、熱電対や測温抵抗体などのセンサからマルチ入力による温度制御も増加しており、入力種別によるマルチ化が進んでいる。直流電圧・電流にも対応可能で、湿度や圧力のアナログ量の制御を始め、ヒータ断線検知・警報機能、多点制御、カスケード制御、比例制御などが可能で、市場拡大につながっている。

付加価値追求した取り組み

日本及びグローバル市場で強い競争力を発揮している日本の温度調節器(計)であるが、今後はますます中国、韓国などのメーカーとの販売競争が強まってくる。専業メーカーでも海外生産を検討せざるを得ない状況も予想される。

こうしたローコスト品と一線を画して、プロセス制御や工業炉などの高精度制御が求められる分野で、エンジニアリングと一体となった付加価値を追求した取り組みも強まってきそうだ。新興国では社会インフラ整備の一環としてこうしたニーズはこれからますます高まるものと見られ、温度調節器(計)市場は二分化傾向を強めていくことが予想される。

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