「知恵」「自助」「共助」で需要創造「ものづくりに」こそ日本復活の道

2013年1月9日

新年明けましておめでとうございます。

2013年の年頭に当たり一言ご挨拶を申し上げます。

一昨年の3月に「東日本大震災」が発生してから早くも2年の歳月が過ぎようとしておりますが、原発問題は依然として出口が見えないなど、被災地が復旧し復興するまでには未だ遠き道程が残されております。とかく、日本人は熱しやすく冷めやすいと揶揄やゆされますが、「千里同風」、即ち遠く離れていても被災地に吹いている逆境の風を忘れることなく、被災した人々が希望を捨てずに生き抜いていけるよう、復旧・復興事業を些いささかでも加速させることが強く求められております。

ところで、昨年の我が国経済を顧みますと、前半は復興関連需要などを背景に堅調に推移してきた「内需」が牽引し、景気は緩やかに持ち直してきました。一方、米国の「超金融緩和策」の導入、欧州の南欧国債の無制限購入などが市場の動揺を抑え、世界経済が最悪の事態に至ることは回避されました。然しかし、中国などの新興諸国の景気が減速し、「尖閣問題」を巡る日中関係の悪化も重なって「外需」は不振となり、昨年10月の実質輸出は6カ月連続で前月を下回りました。私どもの業界でも年央頃から出荷の鈍化傾向が顕著になり、12年度上期の期初予想を下方修正するに止まらず、通期の業績予想も下方修正する会員企業が相次ぎました。

昨年11月に、内閣府が発表した12年7~9期の実質GDPは、年率換算でマイナス3・5%と3四半期振りにマイナス成長になり、景気の基調判断も「足踏み」から「下方への局面変化」へと修正されました。また、政府が公表した月例経済報告でも、景気の基調判断を「世界経済の減速などを背景として、このところ弱い動きとなっている」と4カ月連続で下方修正されたことから、景気は既に後退局面に入ったとの見方が強まりました。

このような経済情勢の中で、政府・日銀は景気の下振れに備え、補正予算の編成、資産買い入れ基金の増額などの景気対策を実施してきましたが、エコカー補助金の終了などが個人消費、雇用、設備投資などを低迷させ、内需の先行きにも厳しさが増してきております。従って、現在は世界経済の減速により不振な外需の好転を期待せざるを得ません。16年までに製造業で100万人の新規雇用を創出することを掲げた2期目のオバマ政権、20年のGDPを10年比で倍増することを掲げた習近平総書記をトップとする新指導部などによる強力な景気対策が求められるところですが、米国は減税失効と歳出削減が重なる、いわゆる「財政の崖」、中国は権力の腐敗や貧富の格差に対する不満、そして欧州は依然としてくすぶる債務問題などの影響が懸念され、未だ先行きの不安は払拭されておりません。実際に、経済協力開発機構(OECD)は13年成長率の予測を日米欧全てで下方修正しております。

また、デフレ脱却が遠退のく我が国経済の再生には、19年振りに越年編成となった13年度予算の執行、円高の是正、強力な経済政策、国家戦略の大転換などが新内閣に強く望まれるところですが、「決定できない、実現できない」政治に依存し過ぎても決して難局は克服できません。

君主論の著者であるマキァヴェリが述べているように、「見たい現実だけ見ている」のではなく、下手をすれば滅びかねないような厳しい現実を直視し、冷徹に環境を見つめる必要があります。何故ならば、見つめて得られた事実こそが難局を克服する「知恵」を生み出すからであります。即ち、生還できないような死地を彷徨し、絶体絶命の状況に追い込まれたときに初めて、本当に役立つ「知恵」は生まれてくるのであります。飽食し平和惚けした状況からは、不満や愚痴しか出てきません。況ましてや逆境に負けない「知恵」など生まれてくるはずがありません。

ケネディ元大統領は就任したときに、「あなたがたが国に何を求めるかではなく、あなたがたは国に何ができるかを問いなさい」と演説しております。イギリスの著述家であるサミュエル・スマイルズも自助論で、「天は自ら助くる者を助く」、即ち自ら逆境や試練を乗り越え、勤勉と努力を忍耐強く重ねることが成功に至る唯一の道であると「自助」の精神の大切さを唱えております。また、日本には関東大震災、敗戦など、過去幾多の困難をも結束し連携して乗り越えてきたという「共助」の精神があります。

今こそ、フルードパワー産業は、生き残るための「知恵」、自らの強靭さを養う「自助」、そして健全な競争をしながらも結束して助け合う「共助」とで、グローバル化への対応をしながら、更には地球温暖化への課題を省エネ技術などで解決しながら、景気の回復を漫然と待つのではなく、自ら需要を創出することで発展していくことが望まれていると存じます。

また、フルードパワー産業は日本の「経済」と「ものづくり」を支える重要な産業であります。資源のない日本はオーストラリアやブラジルのような資源立国には成り得ませんし、金融ノウハウもない日本は欧米のような金融立国になることもできません。これからも、日本は「ものづくり」立国としての産業を維持・発展させていく他に道はありません。従って、「ものづくり」が復活しない限り、日本経済の復活はありえないと私は信じて疑いません。

各需要業界の皆様方には更なるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。