混沌時代の販売情報力 双方向コミュニケーションへ相手の仕事を話題に

人は本来、誰かとしゃべりたいのである。しゃべる相手が少なくなってくるとテレビに向かって話しかけるようになる。頭に浮かんだ情景とひとり言をするようになる。これらのことは一般的に年齢が高くなると起こる現象のように言われているが、年齢とは関係ない。年齢が高くなってくると無駄話をする相手が減ってくるため起こるのであって、それほど年齢が高くなくとも、人との接触の少ない人は往々にして、何かに話しかけたくなるのである。集まって社会を構成する。社会生活を営むうえで人と人とが互いの気持ちや考え方を伝えるコミュニケーションを欠かすことはできない。

子供の頃は誰彼なしに遊び、遊びのためにコミュニケーションをとっている。子供にとって遊びが主体であり子供同士のコミュニケーションは従であるが、遊びを通じてコミュニケーションの重要さを学んでいる。自我が芽ばえてくると、やっかいである。子供の頃とは違って、誰彼なしに遊ぶことはなくなる。したがって誰彼なしにコミュニケーションをすることがない。まずコミュニケーションを先にして遊ぶ相手や行動をともにする人を選択するようになる。若さや活力のある時にはコミュニケーションをする相手を増やそうとして多くの人と進んで接触する。そうしているうちに自分と価値観を同じくする人や感情的にコミュニケーションをとりやすい人を選択して、範囲を限定していくようになる。

コミュニケーションには文字・身振り・音声による言葉がある。特に音声による言葉は相手に考え方や気持ちを伝える働きだけでなく、おしゃべりの効果として自分自身の不安やストレスを和らげる癒しの効果がある。だから人は誰かとしゃべりたくなるのである。しかしやっかいなことに子供の頃と違い、自我の芽ばえた人にとって、しゃべる相手が誰でもいいわけではなくなっている。コミュニケーションをする相手が周囲にいないと、ついつい架空の相手に向かってしゃべってしまう。しゃべることによって自分自身の感情を和らげたり、感情を納得させている場合が多い。話をする相手がいても、まだ打ち解ける間柄になっていなければ、互いに口数は少なく活発なコミュニケーションは期待できない。販売員がまだ打ち解けていない見込み客を相手にする時でも、互いのことがほとんど未知のままであるから、口数が少なくなるのは当然のことである。

コミュニケーションが活発に弾むには、一方通行でなく、双方向のやりとりが必要である。販売員が商材、会社のことを一方通行で話しても、受ける相手の口数が少なければ、コミュニケーションは不活発に終わる。わかっているはずなのだが、一方通行で押し通そうとして結果的に不活発に終わり引き下がる。見込み客も人であるから本来、誰かとしゃべりたいはずである。特に電気や機械、機器を相手に黙々と時間を過ごしているのが技術者だから、うまくコミュニケーションしてくれる販売員なら、歓迎してくれるはずだ。

うまいコミュニケーションをする販売員は、季節のあいさつなどのちょっとした会話を通して、大雑把な雰囲気をつかみ、相手の人柄に合わせて質問する。そうすれば双方向コミュニケーションは成立する。商材に関する諸々のこと以外に何を話題にして相手とコンタクトすればいいかわからない販売員が増えている。双方向コミュニケーションを心掛けるなら、まずは相手の仕事の内容や仕組みを話題に会話をすればいい。技術者も自分達のことだから口がゆるむにちがいない。
(次回は12月7日付掲載)

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