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企業リスクマネジメント第63話 ~国家が招いた人災-機能しなかった安全管理組織 グローバル時代の生き残り戦略

千年に一度といわれる東日本大震災を経験した私たちは、震災から1カ月の間で、一気にいろいろなことを学び、考え、悩み、行動してきた。

地震や津波で壊滅的になった一部の地域は、天災の恐ろしさと人間の無力さを教えられ、二次災害である福島第一原発の崩壊は、我が国の安全管理の甘さと、国のいい加減な仕組みが問題であったことが、日を追うごとに明らかになっている。そもそも原発事故の責任はどこにあるのか。今回の問題がなければ、原子力安全にかかわる組織が複数あることを知らなかった人も多いであろう。

原子力安全委員会、原子力安全・保安院、(独)原子力安全基盤機構、この3組織は原子力安全にかかわる仕事をしているのは分かるのだが、各役割が分かりづらい。

テレビ等でよく解説している組織は原子力安全・保安院だが、説明している人は原子力の専門家ではなく、経済産業省の他部署から転任したばかりの人。この組織を理解するためホームページを覗きに行ったら、原子力安全・保安院(NuclearandIndustrialSafety
Agency/通称NISA)は原子力の安全の確保を図るための機関であると書いてある。また、原子力などのエネルギー施設の安全を確保するために一元的な規制を行うことを使命とし、2001年の省庁再編によって設立され、原子力事業者に対して厳格な安全規制を行っているとも書かれている。

では、原子力安全委員会や原子力安全基盤機構は何なのか。組織概要図には次のように示されていた。原子力安全委員会(Nuclear
SafetyCommissionofJapan/通称NSC)は、1978年に旧原子力委員会の機能のうち安全規制を独立して安全強化するために内閣府に設置された。原子力安全確保のための企画、審議、決定を行い、NISAがそれをダブルチェックする。NISAと連携している(独)原子力安全基盤機構(JapanNuclearEnergySafetyOrganization/通称JNES)は、役員の半分が通産省出身で検査業務部や耐震安全部を持ち、技術検査などでNISAを支援すると示されている。

それぞれの役割が理解できただろうか?
英文組織名にしたところで分かりづらさは変わらない。私なりに解釈すると、NSCが原子力安全に関する安全指針や規格を制定し、JNESが技術的安全基準の適合性を検査する。この二つの組織は原発のプロ集団といえる。NISAは役所的管理を行い、人事異動により3年足らずで担当が変わる認証機関のようなものか。但し、東電やJNESと人事交流があり中立性・独立性のない機関といえる。原子力の安全に責任を持つ行政機関として安全規制を行うらしいが、原子力事業者が安全確保を行うことが大前提だと責任者ではないと言いたげである。

メディアは、東京電力ばかりを悪者にするが、本当に東電のシングルフェイルなのか。原発の安全管理をする機関が日本に3つもありながら、安全対策・管理責任が曖昧なまま、最悪の事態が起きてしまったのは、国の責任だ。被災地に行って謝罪するのは東電ではなく、NISAであるべきである。東電社長は辞任し、従業員まで給料をカットされるのに、行政は何も痛まない。機能しない安全管理システムを作った役人は何の責任もとらないばかりか、増税しようとしたり、民間に経済負担させたりと、自分たちの後始末を国民にさせようとする最低な国家だということをこの震災を通じて学んだ。1600人以上で形成される3団体も必要なのか。しかも東電を天下り先にし、高給を受け取り続けられる仕組みまである。それを許した国家が、海外から鎖国され、経済成長を失い、国民の健康被害を脅かし続けるこの悲劇を生んだのだ。「がんばろう」「みんなで乗り越えられる」といった類のスローガンを唱えても解決しない。洗脳し続ける国、恐ろしいほど他人事のように冷静であり続ける日本人は私には不気味に映る。ある社長が「国の言うことは信用できない、我が身(会社)は自分で守る」と、東京本社を西に移転した。その決断力には敬服した。長期にわたる原発問題、またその責任者であるこの国とどう向き合っていくのか。自分で決めて行動するしかない。

(シュピンドラー株式会社
代表取締役シュピンドラー千恵子)

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