2010年モノづくり白書「主要製造業の課題と展望」⑭プラント・エンジニアリング産業国競争力確保へ三位一体

1、現状

プラント・エンジニアリング産業は、多数の部品、装置などをシステムとして構築し供給する産業であり、社会インフラの整備及び各種産業設備の供給を通じて、国の経済社会活動の根幹を担う基盤的産業である。事業の性格上、製造、資金調達、運営など多様な機能を統合することが求められることから、幅広い業態の事業者から構成されている。

主要な事業者としては、専業エンジニアリング事業者、製造企業系列エンジニアリング事業者のほか、重電、重機、重工、電機、鉄道車両、化学、鉄鋼、情報通信、生活・環境などの分野の各種プラントメーカー、機器製造事業者及び商社が挙げられる。海外でのプラント・エンジニアリング成約実績の推移を見ると、2008年度は前年度比33・1%減の157・9億ドルとなったが、本邦輸出分(日本からの機器輸出と役務提供)については、6年連続で100億ドル超の水準を維持している。これは、大型案件(成約額1億ドル以上)の成約件数が28件(前年度50件)、成約額が102・6億ドル(前年度比37・4%減)と大幅に減少したことが主な要因である。

また、08年度の特徴としては、地域別に見ると、アフリカ、北米の成約額が増加したものの、それ以外のすべての地域(中東、アジア、西欧、その他<ロシア等の旧ソ連、東欧諸国等>、中南米、大洋州)の成約額は減少したことである。中でも中東では、前年度比38・9億ドル減少の26・4億ドル、アジアでは、同25・3億ドル減少の45・4億ドルとなった。

分野別に見ると、生活関連・環境プラントの成約額はわずかに増加したものの、それ以外の機種(発電プラント、化学プラント、情報・通信プラント、鉄鋼プラント、交通インフラ、一般プラント、エネルギープラント)の成約額は減少した。発電プラントでは、前年度比38・6億ドル減少の70億ドル、アジアでは、同19・7億ドル減少の24・7億ドルとなった。

2、我が国産業の強みと弱み

(1)強み

我が国エンジニアリング産業は、プラント建設において設計、調達、建設を一括受注するEPC(Engineering
Procurement
Construction)契約によって実績を挙げてきている。また、受注した案件に関して、プロジェクトの企画から設計、建設、機能保証に至るビジネスの遂行に求められるプロジェクトマネジメント能力が、優れていると評価されている。

(2)弱み

活発な事業再編により寡占化を進行させている欧米と、低価格を強みとする中国・韓国などが競争力を増している国際市場において、厳しい受注競争に直面している。

海外市場における知名度と比べ、日本国内一般での知名度が低いことから新卒人材の確保には苦労している。

3、世界市場の展望

世界的な景気悪化の影響により、プロジェクト発注の遅延、見直し等が発生していたところだが、産油産ガス国やアジアを中心にプロジェクトに動きが出始めている。

資機材価格の高騰や労働者不足・人件費高騰は一時期よりは解消され始めるなど、プロジェクトコストの高騰も落ち着きを見せ始めたところで、今後の動きを注視していく必要がある。

4、我が国産業の展望と課題

(1)今後の競争力強化に向けた対応

我が国プラント・エンジニアリング産業が厳しい国際競争環境の中で今後発展していくためには、各企業は、他社と差別化しうる事業提案力、プロジェクト遂行力の醸成、効率的なプロジェクト遂行による信頼されるマネジメント能力の強化、持続可能な成長を確保するための新たなビジネスへの展開等に取り組むことが求められる。業界としては、情報発信、プロジェクトマネジメントに係わる人材育成等に取り組み、官は、F/S(Feasibility
Study:事業化調査)予算の強化・充実、新興市場への官民ミッションの派遣、世界的なビジネス環境整備の促進に取り組むなど、企業、業界全体及び官が三位一体となって取り組むことが重要である。

(2)グローバル展開、ローカリゼーションへの対応

我が国企業が引き続き国際競争力を確保していくためには、技術移転ニーズへの対応、海外人材の積極活用、海外拠点の拡充、プロジェクトリスクを分散させるための現地企業との協業など、現地企業、ライバル企業との連携を視野に入れた戦略を構築していく必要がある。

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