混沌時代の販売情報力 黒川想介 個人的戦略思考の準備

2010年2月24日

グローバル化が叫ばれて久しい感がある。その間に、国内の製造業の事業所数は激減してきた。海外に移転した企業や中・後進国の方が有利な事業は国内から姿を消してきた。

ある統計によると、10年前に従業員4人以上の事務所が37万3000カ所あったが、07年には25万8000カ所に減っているという。一方、製造品出荷額は10年前は305兆8000億円であったが、一時269兆3000億円まで減少し、その後じわじわと回復し、2007年には335兆8000億円に増加している。ということは一事業所当たりの出荷額が、増加していることになる。これは生産性のアップだけでなく、新しい技術による付加価値の高い新製品の増加でグローバル化に対応してきた結果だと考えられる。素材の変革や素子の集積度の向上、微細化技術、それに情報通信技術やデジタル技術などの先進技術は多くの新しい製品を生みだしてきた。そして、これらの先進技術はベンチャー事業や企業をたくさん生んでいる。

営業の現場でもそうした変化は感じられる。例えば、数年前の企業名簿を基にして少し顧客開拓をやろうと思い立った販売店が工業団地を回ってみて、廃業したりなくなってしまっている工場が結構多いという販売員の報告を聞く。取引先の顧客でも面識のない技術者から、ある資料を持って来て欲しい旨の連絡が入り、訪問して名刺交換してみるとカタカナの部署名だったり、意味のわからない部署名が書いてあったという話を耳にすることも多くなっている。

こうした変化は、21世紀に入って特に顕著になっているはずである。現場の変化を感じ、その対応をしていくのは販売員であるから産業用電気、電子部品業界にいる販売員も個人的戦略思考を持たなければならない。
戦略思考を持って営業活動するにあたって、前回2つの心得を銘記することの必要性を述べた。1つ目は、「とりあえず○○するという考えを捨てること」、2つ目には「とりあえず」の反対で「まず考えて準備をした後に行動に移ること」であった。何を考え、何を準備するのかは、その都度の営業現場状況次第である。

成熟期にある電気・電子部品を販売する販売員が日常やっている代表的な営業活動の一例を挙げて説明してきたが、もう一つ例を挙げてみよう。販売員は猟犬の如く、そこに売り上げがあれば突き進む習性を持っている。だから「当月は売り上げ強化月間のために、何としても売り上げ目標を死守せよ」という檄が飛べば、案件探しに走り回る。

売れそうな商品を売り込むために顧客を訪問し、提案したり商品の良さをPRしながら少しでも売り上げを増やそうと努力する。目標達成が見えなくても、かくの如くして24時間戦いましたという販売員は頼もしく見える。

上司が販売員であった頃は、この業界も成長期であったので、訪問回数や滞在時間に比例して売り上げが上がった。販売員が顧客に向かって必要性を喚起できる分野が多かったし、顧客からも次々と必要が湧き出てきた。

しかし、現在の営業現場の状況は、まるで違ってきた。今日では、行動力や活動量を上げても目標達成が非常に困難であるとわかったら個人的戦略思考が必要になる。現状の顧客以外にまで、売り込む枠を広げなければならないことに気付かねばならない時もある。

そのための準備を考えることが、個人的戦略思考である。たくさん準備することはあると思うが、まず第一は単純に日頃お世話になっている人々から他部門の人を紹介してもらう準備から始動すればよい。
(次回は3月10日掲載)