企業リスクマネージメント 第49話 ~ピンチはチャンス? 本領発揮はいかに~ グローバル時代の生き残り戦略

偉い人の発言は本当に重いものである。まして国家を任されている政治家の発言は国を大きく左右するのだから、発言には細心の注意が必要である。

政治資金規正法違反容疑でついに小沢一郎民主党幹事長の元秘書らが逮捕された翌日、小沢氏は東京地検に対し「断固として戦っていく決意だ」と語り、当局を厳しく批判した。またそれを聞いた鳩山首相は「(小沢氏を)信じています。戦って下さい」と返した。そして民主党大会において幹事長は、「総理から大変心強い言葉をいただいた。その総理のお気持ちを、自らの支えとして全面的に対決して参りたい」とまとめた。

昔から政治と野球と宗教は論ずるなという。私もこういったテーマで自由に執筆すると、読者に意味を誤解され危険なので触れないほうがいいのかもしれない。しかし、実におもしろい展開なので黙ってはいられない。

実は、鳩山首相の発言については、以前からあまり思慮深くなく、思いつきで言っているように思えていた。昨年オバマ大統領に対して「プリーズ・トラスト・ミー」と言って、アメリカ人を信用させたくせに普天間問題を先伸ばしにした。アメリカ人に「トラスト・ミー」と言いきった度胸に力強さと信頼を感じたのに、アメリカ人だけでなく私までがっかりした。他にも首相は「小沢氏に会った」と述べ小沢氏は「首相には会ってない」とシラを切った不整合な場面もあった。今回のトップ2の2人の密談内容「戦って下さい」を首相が包み隠さずメディアにバラしたから、首相の発言問題で野党に噛みつかれてしまった。

小沢氏としては「総理から心強い言葉を頂いた」と開き直るしかない。一言多かったことが、結果的に猛烈な批判を招き、メディアが「異様」と書きたて、世論がそれに同調していく格好になってしまった。最悪の状態で通常国会に突入した今も、検察の捜査への干渉、圧力ととられてしまう発言や、「同志」や「一蓮托生」の使い方の曖昧さでしゃべればしゃべるほど状態は悪くなる。正直な人なのか、宇宙人のニュアンスは地球人と違うと思えばいいのか、気の毒なくらい叩かれている。会社でもそうだが、空気を読まない発言、思慮のない発言は、上司になればなるほど問題が大きくなり周りが迷惑なだけなので、自分も気をつけたいと思った。

さて、小沢氏だが、得意の雲隠れはせず、徹底抗戦すると党内に方向性を示したことはリーダーとして評価したい。そして怒りをあらわにする理由もわからなくもない。地検は、その強大な権力を笠に着て意図していたかのように国会目前の党大会の日にあわせて逮捕している。政権を取り戻したい、あるいは闇将軍的な存在の小沢氏を失脚させたい人が、地検に働きかけたのだと彼には映ったのであろう。違反容疑は事実を追及すればわかることだから見守ればいいことだ。私がもっと関心をもったことは、地検の働きの裏に政治家が関与したか否かだ。やりかたが汚いと言われる所以は、権力を使って捉えようとしている影の団体が小沢氏の嗅覚でわかっているからではないか。官僚主導でなく政治主導を掲げている彼らにとって、ここは勝負である。既得権益に切り込もうということなのか。

政権と検察、2大権力の全面対決の行く末は、いかに幕を閉じるのであろうか。誤解のないように申し添えるが、違法性を見逃せと言っているのではなく、どちらが強くて正しいかはっきりさせていただきたいのである。

これについては海外も、世界第3位の指導者と発表された彼のことを、“Monster""Kingmaker""ShadowShougun""Mastermind"等といろいろ名付け“戦い"の手腕ぶりに注目している。我が国の三権分立制とは何か、国民が考える良いきっかけである。

100年に一度の経済恐慌を受け苦しんだ日本、ようやく落ち着きを取り戻して再建を進める矢先の政治混乱、もう外科的手術をするしかない。膿を徹底的に出してほしいという期待は捨てられない。
(シュピンドラー株式会社
代表取締役シュピンドラー千恵子)

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