国立大学にモーターやオートメーションなどの学科がなくなりつつあると聞いた。理由は学生に人気がなく、志願者がなかなか集まらないことが大きな要因だという。聞いて意外な感じを受けると同時に、なぜ人気がないのか不思議に思った。よく聞いてみると、どうも地味な分野なため、先端技術のようなハイテクなイメージがないらしい。いまの理系の学生はコンピューターやクラウド、半導体などといった、華やかなところを希望しているようだ▼モーターはあらゆる電機機器の駆動源となる重要な部分を支えている。工業分野で消費されている電気の3分の2はモーターで消費されていると言われるぐらい、良い意味でも悪い意味でもモーターは大きな役割を果たしている。モーターを含めたメカトロ機器はオートメーション化を進めるうえでも技術の中枢を支えており、この機能や技術変革がものづくり環境を変えるような大きな鍵を握っている▼この分野でも日本企業は世界のトップ水準を走っているようであるが、諸外国でも目を見張るような面白い技術が開発され、世界に広がろうとしている。基礎技術を学び研究する国立大学でこうした機会が失われつつあることは、日本の将来が心配になってくる。ハイテクな研究もいいが、ローテクとも言えそうなモーターやオートメーションの分野も、時代に流されることなく学べる環境を残しておきたいと思う。